ロケットDECA開発の背景
宇宙輸送システムは今後大きく成長が見込まれる宇宙市場の産業基盤を支えるインフラであり、SpaceX社(米国)を筆頭とした民間企業の参入により世界的に競争が激化しているという。
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インターステラテクノロジズによると、日本が独自の打ち上げ手段を失う場合、自立的な宇宙へのアクセスができなくなることによる国益の損失は甚大であるとして、自国での低コストで国際競争力のある宇宙輸送システム確保の重要性は増しているという。
国は2022年7月に公表した「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会取りまとめ」において、民間との連携により従来の10分の1以下と抜本的に低コスト化を図ったロケットを開発するとしている。
同社が今後開発するDECAは、これまでに3度の宇宙到達実績がある観測ロケット「MOMO」、初号機打上げを目指して開発している超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」の開発・製造で実証・蓄積してきた低コストロケットの技術を活用し、最先端の再使用技術も取り入れることで抜本的に低コスト化を図るとしている。それにより、国内の宇宙輸送能力増強に寄与していくという。
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ロケットDECA、3つの強み
DECAは、小型衛星コンステレーション形成のみならず、大型衛星の軌道投入や宇宙ステーションへの物資輸送などにも対応可能な大型ロケットで、日本の宇宙輸送能力拡大に貢献するという。人工衛星開発のインターステラテクノロジズ100%子会社Our Stars株式会社が目指す衛星コンステレーションの構築も担い、「ロケット×人工衛星」の垂直統合の強みを最大限に発揮した自由度の高い大量打上げを行う。
インターステラテクノロジズのロケットはMOMO、ZEROともに、設計上の工夫や生産技術の革新により抜本的な低コスト化を図っており、DECAでもそのコンセプトを継承している。
また、ZEROのような小型ロケットではコストメリットが小さかった再使用技術を大型化に伴って新たに採用、従来より一桁安い価格で、国際競争力のある宇宙輸送サービスを国内に構築してるとしている。
飛躍的に伸びている世界の宇宙輸送
世界の宇宙市場は年々拡大しており、衛星の需要は大きく伸びている。中でも小型衛星コンステレーションの構築は、インターネット通信の普及や、衛星データを活用した「超スマート社会」の実現といった宇宙利用の普及に向けて欠かせない技術だという。
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ロケットは衛星を運ぶための唯一の手段であり、アメリカや中国を中心に世界の打上げ回数は年々、飛躍的に増えている。一方、2022年の日本の打上げ回数は世界全体174回に対して0回(下図参照)で、国内の衛星打上げ需要の多くが海外に流出しているという。
さらに、ウクライナ戦争の影響で、世界の宇宙輸送の約1割を占めているロシアのロケットを日本や欧米諸国は使えなくなり、経済安全保障の観点からも国内への宇宙輸送能力の増強が求められている。
ロケットDECA、命名の由来
DECAは国際単位系(SI)において、基礎となる単位の10倍の量であることを示すSI接頭語。ロケットDECAはZERO(=0)に続くロケットにあたること、大量輸送を担うという一桁上の進化を目指すことから命名された。本社を置く北海道十勝地方の「十」、2023年がインターステラテクノロジズ事業開始「10」年の節目であることなども加味しているという。