内閣府と国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下:JAMSTEC)による共同主催イベントで、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還カプセルの実物や、JAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型、2020年有人試験飛行を成功したSkyDriveの「SD-03」をはじめ、展示内容は見応えたっぷりだ。
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メイン展示は、1階にあるJAXA、JAMSTECの展示と、4階に設置された特設パビリオンで、会期は7月15日から28日まで。迫力ある大画面の映像をバックに、宇宙や深海の探査に使われるさまざまな真近に機器を見られ、没入感あるリアルイベントだ。
JAXAとJAMSTECの中間に設けられた企業ブースには、民間の月面探査プロジェクト「HAKUTO-R」を手がけるispaceや、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去に挑むアストロスケールといった、日本を代表する宇宙ベンチャーの展示があり、こちらは7月19日まで。また、「Society 5.0」への軌跡を示した天望回廊はサブ展示として9月5日まで、サイバー展示は7月17日から9月5日まで開催予定だ。
そして、4階の特設パビリオンには、SkyDrive「SD-03」のフルスケール展示機が。開催前日のプレス向け内覧会でも報道陣が殺到しており、空の移動革命に対する世の中の注目度の高さが感じられた。
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展示機は1人乗りで、2020年8月に公開での有人飛行試験を成功させた「SD-03」のフルスケール。SkyDriveは現在、2人乗り機体の設計開発をしているという。目指すのは、2025年の大阪万博でのサービスインだ。2023年をめどに官民協議会で法規制を整えるというマイルストーンを意識しつつ、大阪で航路策定にも着手しているという。
一見、ドローンやエアモビリティとは関係のなさそうだが、「ドローン会社さんとの協業を検討したい」という"台風発電"を手がける企業にも出会った。垂直軸型マグナス風力発電機を開発するチャレナジーだ。
これは、台風のような強風でも止めずに安定して発電し続けられる、新しい風力発電機。今後、ドローンが過疎地域などで地域間を結ぶ物流の役割を担うようになれば、地域の限られたインフラの中でどのように電力供給していくかは課題であり、風力発電のニーズがあるとの見立てだ。さらに、ドローンが避けたい強風や乱流が起きやすいエリアこそ台風発電の強みを発揮する場所であり、「風況データの可視化と活用」は共通の基盤であるという。
ちなみに、新しい仕組みなので規格がなく国内では既存の商用電源には現時点では接続できないため、基本的にはその場で発電してその場で使うという用途になるとのことだが、興味のあるドローン企業はコンタクトしてみてはいかがだろうか。
京都大学が北陽電機と共同で手がける、フォトニック結晶レーザーを搭載することで大幅な小型化に世界で初めて成功したLiDARの展示もあった。多様なロボットの社会実装に向けて需要が高まる小型LiDARへの対応で、体積は従来の3分の1まで縮小したという。
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ほかにも、要救護者の声を拾うためのマイクを搭載した災害対応ドローン(機体はACSL社製)や、薄膜化と強靱化を同時に達成した新素材、しなやかタフポリマーの展示も目を引いた。「Society 5.0科学博」では、最新の科学技術が200展以上集められているという。ご興味がある方はぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。