txt:宏哉 構成:編集部
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ENG現場でDJI Pocket 2使ってみた
満を持して発表したのがOSMO Pocket後継機である「DJI Pocket 2」(以下:Pocket 2)だ。
Pocket 2で大きく進化した機能をピックアップすると、まずレンズが35mm換算で20mmへ広角化(初代は26mm)。そして音声収録機能が強化され、本体に内蔵された4つのマイクで全方位からの収音に対応。さらに拡張アクセサリーでワイヤレスマイクまで用意されている。こうした強化点を鑑みると、セルフで撮影する機会の多いYouTuberやVlog(Video Blog)ユーザーを強く意識していることが分かる。今回は、テレビ番組の制作現場に早速実践投入し、Pocket 2の進化について評価したい。
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シンプルな操作面。microSDカードスロットは左側面にある
基本性能
「DJI Pocket 2 Creatorコンボ」で、各種拡張アイテムが同梱されたセットだ。最終評価としては仕事現場で使うならば、「コンボ」を強く奨めたい。
標準セットでは、DJI Pocket 2本体/カバー/ミニ操作スティック/三脚マウント/Lightningアダプター/USB-Cアダプタ/リストストラップ/充電ケーブルが同梱され、さらに「コンボ」では上記に加えて、マイクロ三脚/広角レンズ/Do-It-Allハンドル/ワイヤレスマイクトランスミッター/ワイヤレスマイクウィンドスクリーンとUSB充電ケーブルが2股のものに変更される。
DJI Pocket 2 Creatorコンボ
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Pocket 2の見た目のデザインや大きさは、初代と比べても大きく変わらないが、縦・横・奥行き共に2mm前後ほど大きくなっている。また重量も1g増えている。十分に小さくて軽量だと思った。
レンズは広角側で20mm。そしてズームが可能になった。HDモードでは最大4倍ズーム、4Kモードでも2倍ズームが行える。撮像センサーは 1/1.7インチCMOSで初代の1/2.3インチからサイズアップしている。動画の収録に関しては 4K60P収録に対応。その他、HDR対応・最大8倍スローモーション・美顔モード・Live Stream機能などを備える。
女性の手にもスッポリと収まる小ささ
準備
Pocket 2本体には三脚ネジ穴がないことに気が付く。本体底面のパーツは拡張アイテムに入れ替えでき、1/4インチ三脚ネジ穴がついた「三脚マウント」に入れ替えることで、三脚やポールなどに取り付けることが可能になる。
本体下部に取り付けるDo-It-Allハンドル/三脚マウント
同じく、Pocket 2本体の底面に取り付けできるのが「Do-It-Allハンドル」だ。「万能」という意味のアイテムになるが、このハンドルユニットには Wi-Fi & Bluetoothモジュールが内蔵され、スマートフォンとの連携やワイヤレスマイクの使用が可能になる。φ3.5mmのオーディオジャックが用意されており、有線接続での外部マイクやイヤフォンに対応する。小型スピーカーも内蔵されているため、プレビュー時に音声を確認することもできる。また、底面には 1/4インチ三脚ネジ穴が用意されている。Pocket 2の機能を一気に拡張できるユニットである。
アタッチメント別の Pocket 2の長さ。左から順に、標準/三脚マウント/Do-It-Allハンドルをそれぞれ装着した状態
Pocket 2は、本体に備わったタッチパネル液晶の操作により各種設定にアクセス可能だ。屋外での視認性も高く、タッチパネルとしての反応も良い。上下左右にスワイプすることで、各設定項目やプレビューモードなどにアクセスでき、一通りの操作・設定は Pocket 2本体だけで完結できる。
約20mm四方のタッチパネル式液晶画面
画面と上下左右にスワイプすることで、各種設定画面や再生モードに入れる
だが、約20mm四方の小型液晶での操作は、すこしばかり窮屈だ。そこで、スマートフォンとの連携が肝要になる。スマホをPocket 2で使うには、液晶画面の下に用意されているユニバーサルポートにスマートフォン用接続アダプターを取り付け、そのアダプターに備わった端子にスマホを接続する。iPhone用のLightning端子とAndroid用のUSB Type-C端子の2つのアダプタが同梱されている。
ユニバーサルポートに取り付けるLightningアダプター/USB-Cアダプタ/ミニ操作スティック
iPdoneを「Lightningアダプタ」を使って装着した場合。さすがにアンバランスだ
専用アプリ“DJI Mimo”の撮影画面
プレビューはスマホを使うと快適だった
さらに「Do-It-Allハンドル」を使えば、ワイヤレスでスマホと接続が行える。上記物理端子で接続する場合と、使い勝手や機能はほぼ同じだ。「Do-It-Allハンドル」でスマホを使う場合は、先述のユニバーサルポートが空いているので、代わりに「ミニ操作スティック」が取り付け可能になる。
「ミニ操作スティック」はジョイスティックとボタン1つを備え、カメラの方向操作の他に、ズーム操作も可能になる。備わっているボタンは、1回押しでフォローモードの切替、2回押しでジョイスティックのカメラ操作/ズーム操作を切り替える。
ミニ操作スティックの装着が運用時の基本になりそう
「広角レンズ」は、マグネット式で本体のカメラレンズ前にピタリと貼り付く。本体レンズの20mmでもかなりの広角だが、「広角レンズ」による15mmの世界はパース感が強調されて、また面白い表現が生み出せそうだ。
左が標準状態/右が広角レンズを装着した状態
標準20mmの撮影例
広角レンズの撮影例
「ワイヤレスマイクトランスミッター」は、ワイヤレス接続でPocket 2に音声を送信、収録を行える。クリップで衣服に留め、トランスミッターがマイクそのものになっているスタイルは、RODEのWireless Goを彷彿とさせる。φ3.5mmのアナログ入力が備わっているので、外部マイクを利用することも可能。ウィンドスクリーンも付属しており、風切り音の低減も考えられている。内蔵バッテリーは最大6時間。
ワイヤレスマイクトランスミッター。外部入力端子のほか、リンクボタンや遠隔シャッターボタンなどを装備
VloggerやYouTuberが使うなら、ワイヤレスマイクが強力な武器になる
「カバー」は、Pocket 2を収納しておくケースのことだ。Pocket 2に合わせた形状で、ピッタリとジンバル本体が収まるのは当然なのだが、感歎したのは細かな拡張アクセサリも収容可能な構造になっている点だ。スマートフォンアダプター、広角レンズ、マイクロ三脚、さらにワイヤレスマイクも一緒に収めることができる。
取り敢えず、このカバーに収められるだけのものを収めて出掛ければ、一通りの撮影は行えるスタイルだ。
ミニ操作スティックやDo-It-Allハンドルを取り付けた状態でも収納可能。ワイヤレスマイクも上部に取り付けられる
カバー内には各アダプタや広角レンズが収納可能になった
さて、後編ではOSMO PocketからDJI Pocket 2へ進化を遂げかなりの期待ができる「Pocket 2」をいよいよ実践投下してみたい。
タイムコード・ラボ代表。Next-Zero.com管理人。バラエティーから報道や空撮まで幅広い番組撮影をこなすTVカメラマンであり、ダンスイベントからe-ラーニング収録まで請け負う街のビデオ屋さん。イージス艦CICから幼稚園のおゆうぎ会まで、フィールドは問わない。