米国国際貿易委員会(以下:ITC)の主任行政法判事は、世界最大のドローンメーカーであるSZ DJI Technology Co. Ltd.と7つの関連事業体(以下:DJI)は、Autel Robotics USA(以下:Autel社)に属する米国特許第9,260,184号を侵害するドローンを輸入・販売することにより、1930年関税法337条(改正後)違反で争い一審を勝ち取ったが、ここに来て急展開、新展開があったようだ。
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2018年8月30日、Autelは、DJIに対して、第337条に基づき調査を開始するようITCに要請を始めた。ITCは、Autelの3つの特許の主張に基づき、2018年10月2日にInv.337-TA-1133号の調査を開始した。米国特許第7,979,174号(「174特許」)、9,260,184号(「184特許」)、および10,044,013号(「013特許」)である。これら3つの特許の詳細は、
となる。Autelは、DJIに対してこれらの特許を実装したドローン販売を阻止しようとしてきた。
一審の判決前に、DJIはAutelに対して多くの問題点を調査し指摘している。2020年3月2日、最高行政法判事(以下:CALJ)は、DJIに有利な初期決定(ID)を下している。このIDにおいて、CALJは、’174特許クレームは侵害されていないと判断。
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国内の産業製品によって実施されておらず、先行技術によって予想されたか、または自明になったものである。したがって、35 U.S.C. 101条の下で無効であると判断した。同氏は、被告とされたDJI製品の多くは’184特許請求項を侵害していないと判断した。さらには013特許請求項が複数の理由で無効であるとも判断した。
DJIのPatent Trial and Appeals Board (特許審判部:PTAB)との努力は実を結ぶことになる。DJIは、ITC訴訟に関与している3つの特許すべての主張されたクレームに異議を唱える当事者間審査申立書を提出した。2020年5月13日、PTABは’174特許のすべてのクレームを非特許と宣言。2020年5月14日、PTABは、主張された’013特許のクレームを非特許とした。
その後、2020年5月21日、PTABは、’184特許の全ての請求項が非特許であると判断し、DJIに新たな勝利をもたらした。DJI側の代理人を務めるFinnegan弁護士事務所は以下のようにコメントしている。
欧州委員会は現在、CALJのIDを審査するかどうかを審議に入っています。最終的には、欧州委員会は、Autelは救済措置を受ける価値がないと判断されるものですが、少なくとも、3つの特許に基づく排除命令や排除措置命令を執行する可能性は低い公算です。
したがって、DJI社の米国での販売は、Autel社の主張の影響を受けることはないでしょう。
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今回の最終的な結審までまだまだ時間がかかるが、DJIにほぼ勝算ありという見方が大方の意見である。ただしアメリカで中国企業及DJIが標的になっていることも間違いはないが、再三繰り返すが、アメリカに置いて同郷企業(DJIもAutelも同じ中国企業)が争うということも稀有なことである。引き続きこの去就を追いかけていきたい。