昨年、ドローン業界はすさまじいスピードで成長し、中でも戦略的提携の成長は顕著だった。以前から提携において頻繁に最新情報を提供してきたが、なぜ今、提携がそれほど重要になっているのだろうか。今回も提携先のDRONEII.COMからレポートが届いた。
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ドローン企業(ハードウェア・ソフトウェアのドローン製造会社やドローンのサービス提供会社)は、絶えず製品やサービスのラインナップ、多分野における専門性を拡大している。企業間の戦略的提携がよく分かって興味深い。
業界の成長が著しかった前年(2016年)の同期間に比べ、2017年は戦略的提携を行った企業数は24%(42社から55社へ)増加した。さらに部門ごとの割合も変化した。ソフトウェア企業(2016年の20%から2017年の33%へ)とサービス企業(2016年の29%から2017年の31%へ)が増加、ハードウェア企業の割合は減少したものの、変わらず非常に重要な役割を担っている(2016年の51%から2017年の36%へ)。
しかし、ドローン業界はもはや一社のみではやっていけないことに気づいたようだ。顧客はソフトウェアでもサービスでも、使いやすく、初めから終わりまで面倒を見てくれるもの(エンドツーエンドのもの)を求めているのだ。
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これまでの動き
DJI、Intel、DroneDeploy、Airware、Airmap、3DRなどの各企業は、ドローン業界において絶えず独自のエンドツーエンドシステムを作り上げてきた。それでも戦略的提携は、ソリューションを構築するのみならず、競合他社からの有力な人材を確保することにもつながる。今のところ海の魚はまだ豊富なようだが、重要な技術や重要な人材を巡る競争はすでに始まっているようだ。
ハードウェア+ハードウェア
絶えず商品ラインナップや商品の質を高めていくソリューション構築には、ハードウェア企業とハードウェア企業との提携が良い方法だが、このような提携はまだ少数派なようだ。やはりドローン技術のレベルはすでに成熟しているという。
- MicrodronesとDelair-TechはR&D(研究開発)の強みを活かして提携。この2社による「2世代の商用ドローン」のコラボが可能となった
- UMS SkeldarとSentient Vision Systemsは、パリ航空ショーでUMS Skeldarのドローンに「ViDAR(視覚認知探知測位)」システムを導入することで合意したと発表
- DedroneとBattelleは、危険を伴うインフラにおいて安全な完全飛行を提供できるよう、エンドツーエンド・ソリューション(検出し打破するドローン)を製造する道を模索している
ハードウェア+ソフトウェア
ハードウェア企業とソフトウェア企業の提携は全体的に見て最大のカテゴリであり、エンドツーエンド・ソリューションによるデータの価値が高まっていることを裏付けるものである。ハードウェア製造会社は近年並みならぬ圧力がかかっており、ソフトウェア企業との提携は顧客のリアルなニーズを調査し、実用的なデータを得る最大のチャンスなのだ。
- FlyabilityとSkyFuturesは、ドローンによる実業視察における完全統合型のソリューションにおいて提携し、課題の多いインフラプラットフォーム(Elios)と検知ソフトウェアとを組み合わせた
- DroneDeployとAeryon Labsの提携により、操縦する人がAeryonのSkyRangerドローンを利用して画像を捉え、DroneDeployの地図や3Dモデルのプロセスにつなぐことが可能になった
- 3DRとDJIの発表によると、3DRの「Site Scan」ソフトウェアがDJIのドローンで活用できるようになるという。「Phantom 4」から始まり、最終的にはDJI商品の他のドローンでも活用できるよう拡大していくようだ
ハードウェア+サービス
ハードウェア企業とサービス企業との提携は、追加の販売ルートに使われたり、実際のエンドツーエンド・ソリューションの提供など強力な組み合わせだ。ドローンで集められたデータは活用するべきだろう。では機械にアップロードしたデータを持った相手と、その価値を高めていってはどうか。次に挙げるのは、その戦略的提携の例である。
- John DeereはKespryの航空知能システムを顧客に提供するとしている。この契約によって、Kespryのドローンとデータ分析ソフトウェアの売り上げが急上昇するだろう。John Deereも、建設業や林業において最先端の方法で売り上げや利益を上げることができるだろう
- FlyabilityとMFE Rentalの提携により、スイスに本社を置くFlyabilityのドローン「Elios」の北アメリカでの利用が増えている
- Freedom ClassとSM E360は、国際航空連盟(FAI)の「Freedom Class」や「Freedom 500」の世界的なドローンレースシリーズの新たな認可に伴い、運営・推進を行っている
ソフトウェア+ソフトウェア
今日、多くの業界特有のソフトウェア・ソリューションが生まれている。しかし、こうしたニッチ商品がこの業界内での応用活用に成功するには、さらなる拡大や宣伝、多機能性が必要となる。ソフトウェア企業とソフトウェア企業の提携は競争において非常に有利だ。覚えておこう、ソフトウェアは世界を飲み込むのだ!
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- DroneDeployとSkywardは、コンプライアンス(法令順守)による苦労を和らげ、ドローン操作全体を効率化するための統合アプローチを共同で行う予定
- PrecisionHawkとAkitaBoxはデータ収集で提携し、3Dポイントクラウドや2D正射影図、3Dメッシュデータ・モデルを自動で生み出している。AkitaBoxがより多くの分析を長期計画で行えるようになる
- 3DRの「Site Scan」ソフトウェアとPix4Dの写真測量エンジンは、航空データ商品における多機能写真測量プロセスの業界初となる商品
ソフトウェア+サービス
サービスビジネスモデルとしてのソフトウェア企業は、世界に変革を起こしている。ソフトウェア企業とサービス企業との提携は、これらのモデルにさらなる影響を与えることが可能だ。一方でサービス提供者による新たなビジネス分野の立ち上げには、ニッチなソフトウェア・ソリューションが必要となる。例は以下の通り。
- Airmapと楽天のUTM(統合脅威管理)プラットフォームにより、空域管理の臨機応変な認識が可能になる。楽天は2016年4月、ドローン配達サービス「そら楽」の立ち上げにより、商用ドローン分野にも参入した
- AirwareとLuck Stoneは、ドローンのデータ収集プロセスを共同で拡大させた。特に鉱業や集約産業において発達している強力な分析ツールの活用により、Airware技術の運用効率が上がっている
- DroneBaseとGetty Imagesは、ビジュアルコミュニケーション(視覚コミュニケーション)における世界的リーダーだが、DronBaseの世界を率いるドローンパイロットプラットフォームと世界中のコンテンツ流通に関する契約を結んだ。この契約により、100万人以上のユーザーに高画質の4Kビデオが提供できる
サービス+サービス
サービス企業とサービス企業との提携は大規模な契約である。双方の企業がすでにハードウェアやソフトウェア、販売ルートがあれば顧客目線から見て分かりやすい提供ができ「購入」へとつながる。
- Measureとエネルギー関連会社AESの提供により、AESのドローン利用が増え、操縦する人を必要とはするものの、必要なときにいつでもすぐにアートドローンを大量・安定的に確保できるようになった
- Geo WingとHawk Aerialは今ではサービス、センサー、プラットフォームの幅を広げ、相互に調査とマッピングを提供することが可能になった
- Camp Six Labsと3Mの戦略的提携により、風力タービンを持っている人は、3Mの風力製品利用による最上級の性能と投資収益率を得ることができると同時に、Camp Sixアプリケーションにより導入効率も上がる
今後の動き
ハードウェアやソフトウェアのドローンの成長は著しいが、現状のサービスやビジネスモデルの統合には課題も残っている。大企業はより重要な役割を担っていくであろうし、各社の商品やサービスにおいてドローン技術は不可欠なものとなるであろう。近い将来、競争はより激しくなっていくと予想されるため戦略的提携による商品ラインナップは非常に強みとなるであろう。一方、一匹狼の企業にかかる圧力は増大することだろう。
Gartner(ガートナー)の「ハイプ曲線」(技術の成熟度や社会への適用度を示す図)によると、現在「幻滅のくぼ地(幻滅期)」の状況にあるようだ。これはドローン市場が衰退していくということではない。1年前と比べ、ドローン技術のより賢い使い道があることに企業が気づき始めたということだ。戦略的提携により合併や買収が行われることも多く、今後の市場強化につながるだろう。一度市場の分類が確立されれば「生産の安定」が達成され(それも今から2~5年という短期間に)、提携の数も減るだろう。しかしその分、合併や買収の規模は劇的に大きくなるだろう。
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