アメリカ合衆国労働省が発表した2015年の統計によると、現在アメリカには44,300人の測量士がいるという。一方でマッピングは製図家、写真測量技術者、土木工学者、地理学者等、測量産業以外の人も行っているという。アメリカ土木学会(ASCE:American Society of Civil Engineers)には177ヵ国以上から150,000人以上のメンバーが集まっており、Imaging and Geospatial Societyには7,000人ものサポーターがいる。こうした分野は全て地理情報システム(GIS:Geographic Information System)というカテゴリーに属する。GISのプロフェッショナルらは所有地の境界線の特定や土地の細分化、建築現場の測量等といったあらゆるサービスを提供し、写真測量や水路測量を使ったマップの制作や備蓄品の体積計算や水害時のマップの制作等も行っている。
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測量技術の向上を受け、2014年から2024年にかけて測量士の数は2%減ると予測されている。測量士はGISプロフェッショナルのほんの一部分でしかないが、測量技術の向上はGIS人口にどのような影響を与えるのだろうか。そして、測量士の減少と対照的に増え続けるドローンを考慮すると、無人航空システム(UAS)やドローンは測量技術にどのように参入してくるのだろうか。
こうした質問に答えるべく「The Truth About Drones in Mapping and Surveying(ドローン測量とマッピングの真実)」という研究が発表された。同レポートは、主な産業とドローン技術の関係性を分析したシリーズの4作目となる。Skylogic Research, LLCのCEO兼FounderであるColin Snow氏とContributor兼AdvisorであるBill McNeil氏の共著による同レポートは、現在は小さなドローンが測量やマッピングに成功していることを説明し、そこから得られた教訓も述べている。
また、ドローンがGISプロフェッショナルにもたらす機会、そしてチャレンジについて議論し、現在技術がどういったアプローチをとっているのか、そして同産業でドローンが次に着手する仕事等について述べている。
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(以下、同レポートより抜粋)
「ドローンは測量及びマッピング産業に大きな影響を与えるが、伝統的な測量士にはそこまでの影響は与えないかもしれない。前述の通り労働省は2014年から2024年にかけて測量士の数が2%減ると予測している。しかし同時に労働省は写真測量の分野においては29%の成長を見込んでいる。これは、より多くの写真測量士が従来の測量を行うことになり、より多くの測量士が写真測量を使ったマッピングも行うということになる。つまり、ドローンを使って収集した安いデータが写真測量とマッピングの境界線をより曖昧にしていくということだ。
しかしここには、別の問題が存在する。それは、ドローンを操作するという行為がマップの作成以外にも用いることができるという点だ。集めるデータはドローンの操縦者ではなく、そのドローンが搭載している機材に依存する。つまり、用途が精密農業であろうがパイプラインのマッピングであろうが、納品物は収穫コンサルタントや写真測量士、そして測量士が集め処理した情報になる。
ドローン技術や急速に発展している。今後多くの測量士は、早ければ6ヶ月で時代遅れになってしまうツールに投資するよりも、サービスプロバイダを雇ってデータ収集を行ってもらうようになるだろう。また短期リースやドローンレンタルを行うかもしれない。ドローンは同産業に大きな影響を与え、ドローンを飛ばせる顧客は測量士を雇わずに自らデータを集めるかもしれない。測量士や写真測量士の価値やその知識やデータ処理のスキルであって、ドローンの操縦スキルではない。」