Googleは、NASAやAmazon他12社と共同でドローン向けの空中交通管理システムUnmanned Aerial System Traffic Management(UTM)を開発する。
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今後ドローンが更に普及していくにあたって、無人航空機が空を無秩序に飛び回ることを避けるために、アメリカ政府は企業と共に空の交通ルールの策定を試みている。特に、ホワイトハウスや国立公園でのドローンでの衝突事故を受けてから本格的に動き出している。しかし、業種によっては規制が追い付いていないというのが現実である。
そこでGoogleを始めとする企業らは、来る数十億ドルのドローン市場の基盤に入り込むために、無人航空機の交通管理システム開発に貪欲に関わろうとしている。Bloomberg Businessによると、今回NASAと契約を結んだ14社以外にも100近い企業や大学が興味を示している。
Association for Unmanned Vehicle Systems International代表Brian Wynne氏は、
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彼らは確実にこれをビジネスチャンスととらえ、積極的に関わろうとしている。まるで魔法のようだ。
と語った。NASAはウェブサイト上で「低高度での空中の無人航空機交通管理(UTM)システムは、地上を走る自動車が道路、車線、信号、規則などに管理されているのと同じように必須である。」と説明している。更に、「既に確立している航空交通管制(Air Traffic Management)システムから得た教訓をもとに、UTMシステムは空域のデザイン、空中回廊、ジオフェンシング、風や雨の回避、渋滞管理、地形の考慮、ルート案内やルート変更、衝突防止のための往復航行分離方式などを提供し安全で効率的な低高度空域管理を行う」と説明する。
NASAは短期的な目標として、5年以内にUTMシステムを開発し低高度空域のドローン飛行を安全に管理することを掲げている。また10年~15年をかけて低高度空域内の飛行が急激に増えた場合にも対応できるようにするという。NASAは企業や大学の他に、連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)等の政府機関とも共同で同システムの開発、テスト、実装に取り組む。
開発段階では、空中回廊と飛行禁止区域の配置、衝突判定システムの作成、そして強風や豪雨の中でも安全に飛べるようなアルゴリズムに特に注力する。
GoogleのProject Wingプロジェクト代表 Dave Vosは
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空域については、一つの機関や企業が管理できるものではない。Googleが解決策を考えてみんなに使ってもらう、というものではなく、全員が自由に解決策を考えるべきである。
と説明する。Googleは6月にドローン救急車を開発する特許も取得しており、近い未来には数千ものドローンが空を舞う世界を信じている。UTMシステムの開発にあたって、NASAは7月末に会議を開き、無人航空機の最新の技術、プライバシー問題の解決策、セキュリティ、ビジネスにおける低高度飛行のインパクト 等について話し合う。同イベントはAssociation of Unmanned Vehicle Systems InternationalのSilicon Valley Chapterから援助を受けている。Googleも6月に自ら会議を開き、同社の思い描く空域交通管理を共有した。
Vos氏はいずれコンピュータネットワークが空中での衝突を回避するルートを策定し、人間は瞬時の判断をコンピュータに任せるようになると予測している。また複数の民間部門で管理を分け合うことで、システムを分散させる必要があると言う。ドローン市場の覇権争いが盛り上がりを見せているが、まずは安全な空中交通網の実現に期待したい。