米ハーバード大は現在、蜂の生体および巣での行動を参考に、蜂型ロボット「Robobees」を開発中である。ドローンの起源ともなっている蜂のメカニズムは、我々の生活にどのような影響をもたらすのだろうか?
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Robobeesの開発の主な目的は、ミニチュアロボット技術およびコンパクトな電源のデザインを前進させること、スマートなセンサー技術や超低消費電力技術にイノベーションをもたらすこと、そして複数の単独ロボットを同時制御すべく位置制御アルゴリズムの精度を上げること、としている。昔からハエ、魚、ロブスター等、小さい昆虫や動物は科学者にとって格好の参考例となってきた。中でも蜂は、その飛行の優雅さや、重荷を抱えたまま花から花へと移動し空中で静止できることが注目されている。特に、蜂の「胴体」「脳」「群れ」という三つのキーワードが上げられている。
胴体
Microrobotics LabのWood教授による2007年のハエ型ロボットの飛行の成功を参考に、蜂の飛行を真似る方法を検討する。
脳
蜂の目や触角を模倣したセンサーを開発することが、Robobeesの開発における鍵となる。同開発メンバーのWei教授は、デバイス全体を制御する「脳」となるようなソフトウェアおよびハードウェアを作り、飛行制御、近くのデバイスの探知や場面に応じた簡単な判断ができるようになることを最終的な目標としている。
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群れ
昆虫の高度な群れ行動を模倣するために、優れた位置制御アルゴリズムや各デバイス同士で連絡しあえるようなコミュニケーション方法が必要となる。
実用例
Robobeesが用いられる具体的なアプリケーション例としては、以下のものがあげられている。
穀物畑における自動受粉
自然災害語等の救助活動
人間が立ち入るには危険な場所の探索
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軍事目的の監視行動
高解像度の天気/気象マッピング
道路の混雑状態のモニタリング
こうしたアプリケーションは、自動制御ロボットの応用例として頻繁にあげられるものではあるが、昆虫の生体や運動を真似た小型で俊敏なロボットを大量に用いることで、こうしたタスクをより速く、より正確に、そしてより効率的に行うことができる。開発メンバーらは、自然現象をもとにした研究を続けることで、長期的には蜂の群れの生体や「インテリジェンス」を人工的に作り上げたり、電気的に周囲の環境に対応できるような新しいヒトの神経系を開発したり、小さいスケールでの飛行ロボットの技術を進歩させたりすることができると考えている。更には昆虫学、生物学、アモルファスコンピューティング、電気工学などあらゆる分野のイノベーションの創出に繋げられるとしている。BostonのMuseum of Scienceでも展示を行い科学者やエンジニアに同技術を紹介できる場を設ける。
Harvard’s School of Engineering and Applied Sciencesを拠点とする開発メンバーは今後、同ハーバード大のDepartment of Organismic and Evolutionary BiologyやNortheastern大のDepartment of Biologyからサポートを受ける予定である。他にも、ワシントンDCの小型電子回路メーカー「Centeye」の技術提供も受けていく。なお予算には、ハーバード大が勝ち取っているアメリカ国立科学財団(NSF)のExpeditionsからのファンドを利用するという。