This illustration shows what a Prandtl-m might look like flying above the surface of Mars.
Credits: NASA Illustration / Dennis Calaba
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ブーメランと言えば何を想像するだろうか?通常、投げたら返ってくるものである。しかし、NASAが発表したブーメラン型の航空機構想は、返ってくることは想定されていない。火星へと送られるこのブーメランの目的は、人間の火星着陸に先立てて火星の調査を行うことである。
NASAは6月30日、 Prandtl-m「Preliminary Research Aerodynamic Design to Land on Mars(火星着陸に向けた空気力学的デザインの予備調査)」と題された構想を発表した。今年中に高度30,000mの高高度気球から試験的にブーメラン型の航空機を放ち、2030年までに初の火星着陸成功を目指す。研究者らは現在、同Prandtl-m航空機を折りたたみ可能な構造にすることで、いずれマーズ・ローバー(火星探査車)等と同じ人口衛星に配備することを考えている。
Prandtl-mのプログラムマネージャーAl Bowers氏は「Prandtl-mが高度137,000mからの発射に成功すれば、NASA本部に持って行き、火星に連れていく許可を得ることは十分にあり得るだろう」と語った。
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現在の構想では、Prandtl-mは火星付近に位置する人工衛星から放たれ、火星の表面へと滑空し着陸することとなっている。その後Prandtl-mはドローンの様に操作され、火星の上空を飛行し今後の人類の上陸に向けての着陸予定地点を視察する。
NASAはこれから数年間にわたって二度の高高度気球からの発射テストに資金援助することに合意しているが、開発チームは航空機を追跡する方法についてまだ未定であるとしている。「もともとはGPSを使う予定だったが、火星にはもちろんGPSが無いので、違う方法を考えなければいけない」とBowers氏は説明した。
ブーメラン型のデザインは、回転しながら帰還することを想定している訳ではなく、火星表面への着陸過程を耐えぬくための構造である。宇宙までの上昇に適した軽さと、発射後の摩擦に耐える強度を両立させるために、Prandtl-mの素材にはおそらくグラスファイバーか炭素繊維が用いられることになる。Bowers氏は「この特徴的なデザインこそが珍しい発射方法を耐えぬく最も適した形であると考えている」と説明した。
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