Thales Alenia Space,Inc
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ドローンは、広義的に言えば、自律制御される無人の飛行体や車両のことを指す。昨今はマルチコプターのことを指すことが多い。何も今に始まったことではない。我々の手を離れ、飛行体は、空から宇宙へと上昇する。そんな人工衛星とドローンの中間にあるものも多く研究されている。これを起点として、これら多くの研究の可能性をドローンは持つ。今回は少し視点を変えて、人工衛星とドローンの中間にあるものを紹介しよう。
Stratobus
Stratobusは、成層圏で静止し完全な自律性をもって稼働する、情報収集および通信のための新しいプラットフォーム構想。開発元のThales Alenia Space社は「人工衛星とドローンの中間に位置するもの」と表現しており、2020年末までの商用化をめざすという。これは高度20km上(民間航空機の航路やジェット気流よりも高層)に静止する重量5トンの飛行船で、250kgの積載能力と5kWの発電能力を持ち、成層圏で最長5年の連続運用が可能。民生と軍用の両方の市場において、監視、観測、測量から通信まで、以下のように幅広い用途への適用が期待される:
これら用途の多くは従来人工衛星によって提供されていたものだが、成層圏で長期間滞空できる飛行体でも代替が可能である。飛行船の構成素材やソーラーパネルの進化とドローンに用いられる自律飛行システムの成熟によってその実現性が高まってきたということになる。
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人工衛星に対するStratobusの優位性のうち主要なものにコストと運用性があげられる。機体はモジュール化されているため世界中のどこにでも陸路・海路・空路で運搬し、組み立てて飛行させることが可能。打ち上げ施設が不要で、フットボール場サイズの空き地があれば離陸でき、4時間以内に成層圏に到達するという。
Zephyr
2015年内の製品化が予定されているZephyrも、このような限りなく人工衛星に近いドローン(HAPS=High Altitude Pseudo-Satellite 高高度疑似衛星)のひとつで、Airbus Defence & Space社によって開発されている。Zephyrは、ドローンオペレーターによって操作される軽量(50kg)の有翼機(積載能力5~10kg)で、ソーラーパネルを動力源とする。夜間でも昼間に蓄えた電力で飛行を続け、1年間の長期滞空が可能になるという。
現在開発中のプロトタイプ「Zephyr 8」の一世代前のモデル「Zephyr 7」は2014年に7万フィート(21km)の高度で11日間連続滞空を達成した。また、平均7時間で高度6万フィートに到達するという。Zephyr 8では世界中のどの空域にも24時間以内ドローンを派遣できるようにするための専用飛行場の建設も計画されている。想定されている利用目的は情報収集(主に軍用)に限られている。
Google & Facebook
HAPSプロジェクトには、ほかにもGoogle社による「Loon Balloon」プロジェクト(気球)と「Project Titan」(有翼機)、そしてFacebook社によるドローン(有翼機)などがある。これらは主に新しいインターネット通信インフラ構築の一環として計画・実行されているものだ。
実は日本でも…
日本でもJAXAによる成層圏プラットフォーム構想というHAPS研究プロジェクトが存在したが、2010年民主党政権当時の事業仕分けによって中断されたままである。
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(@otachan)