ベンチャー投資家のメアリー・ミーカー氏を筆頭著者として毎年発表される、インターネットテクノロジーの最新動向をまとめた「Internet Trends Report」の2015年版にはドローンに関するセクションが設けられ、民生用ドローン出荷数の大幅な増加などが報告されている。そのなかでとりわけ興味をひくのは民生・商用ドローンの利用にどれだけ自由度があるかによって各国政府をランキングしているページだ。
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ここでフランスとイギリスがともに1位となっているが、その理由として免許の発行や機体のカテゴリー分類による運用規制などの法整備が進んでおり、許可さえあればBVLOS(Beyond Visual Line Of Sight = 見通し外飛行)も可能な点をあげている。また2位のカナダ、3位のオーストラリアにつづいて日本が4位となっているが、そこには「20年前のヤマハR-MAX開発によってUAV(ドローン)利用の先頭にたっていたが、政府が法環境の整備をしなかったため早期に保持していた技術的なリードは失われた」とされている。
意外なことに、日本より下位の5位にリストされているのが米国である。その理由として連邦航空局(FAA)によるレギュレーションが厳しく、現在試行されている商用アプリケーションごとの規制緩和も充分ではないことをあげている。実は、日本においては20年も前から肥料や農薬の散布に広く使われている(要免許)ヤマハR-MAXは、そのペイロード(積載容量)の大きさ(94kg)ゆえに米国ではつい最近まで試験飛行以外が許されていなかったのだ。この5月になってようやくFAAが正式に許可を与えたことが報じられている。
“US regulators give farmers approval for 207-pound Yamaha drone helicopter to spray crops”
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この米国での商用利用における積載容量の制限が、民生用小型ドローンと軍事ドローンが大きく発展するいっぽうで商用ドローンの利用において遅れをとっていた理由のひとつであると考えられる。これは逆に、適正な法整備と規制緩和が技術の進歩を助ける証拠であると言い換えることもできるのではないだろうか。
(@otachan)