ドローンからの映像撮り。離れた場所からドローンを操作しながら、アクションスポーツをする被写体の動きを一瞬として見逃さずにとらえるのは難しい。アクションカメラGoProユーザーからのニーズに応えるかのように、この夏、キックスターターにアクションスポーツ撮影用ドローンを開発する2社が同時に現れた。皮肉にも2社ともカリフォルニア州パロアルトが拠点だ。ドローンは、「オペレーター要らず」、つまり被写体をドローンが自動トラッキングする技術が売りだ。キックスターターでは両社とも、目標額をはるかに上回る1億円以上の資金を瞬く間に集めてしまったことで、世界中から正規リリースが注目されている。CES2015では、ホビードローン展示場所で2モデルとも初披露される。
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■AirDog
Helico航空宇宙産業には現在、20名の航空エンジニア、組み込みシステムエンジニア、ソフトウェアエンジニアからマーケティングの専門家が集結。ドローンは北欧で電子機器や精密機器などの大手OEM、HansaMatrixによって製造される。
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AirDogはヘキサコプター(6枚ローター)で、ユニークなことに筐体および羽が折りたたみ式になっている。ナップザックに入れて持ち運びやすい。筐体やカメラ部位をできるだけ衝撃を与えないよう、アンダーキャリッジを装備。ウォータースポーツに注目しており、被写体が装着するコントローラーは防水化され、またドローンにお供するGoProも防水ケースのままジンバルに取り付けられるようになっている。被写体は、多少ゴツイ筐体のAirLeashというコントローラー(およびトラッカー)を装着してドローンを飛ばす。従来のスマートフォンベースのGPSのみの追跡よりもはるかに正確だという。高度、飛行時に被写体と保つ距離、ドローンの角度はAirLeashで設定し、細かい設定はスマートフォンのアプリから可能。ジャイロスコープ実装の2軸ジンバルで安定した揺れの少ない映像をカメラで撮ることができる。
2軸ジンバルを採用した理由として、AirDogは頻繁に飛行方向を変えて追従していくため、3軸ジンバルだと負荷がかかりすぎて、通常の飛行時のような機能が働かなくなると説明している。被写体との最短距離は自由に設定できるが3m以上(最大50m)を推薦している。そのほかの特徴として、AirLeashをもう1台増やして(295ドル)別の被写体に装着することで、2人の被写体のアクションを1台のドローンで切り替えながら追従できるとしている。
AirLeashはバッテリー内蔵、USBでチャージする形式だ
サーフィンやウェイク、カイトなどで利用する場合、ドローンのテイクオフ時間をずらせる遅延離陸モードがついている。空中で停止しながらカメラだけ被写体を追うモード、円周飛行、ジャンプ、シュートなどの見せ場に追従するモードなど、スポーツ種目によってさまざまな設定が組み込まれている。
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ドローンとの信号が途切れた場合、墜落防止のオート帰還、または信号が途切れた場所で着陸するといった着陸設定が選べる。障害物回避についても既に考慮されており、AirDogのコミュニティによって集められた飛行禁止区域が定義されたデータをクラウドからダウンロードしてAirDogアプリで利用することができる。
出荷時期について。バッテリー残量時間といったキャリブレーションツールの開発、ドリフトのミスリーディングがないようセンサーのキャリブレーションを改善するための開発を追加しているため、11月を予定していた初期出荷時期が遅れ気味だ。来年春を期待しよう。価格は先行購入(100台)で995ドル。現在は1295ドル。既に1250台がプリオーダーされているという。
- 飛行可能時間:速度によるが10~20分程度
- 交換可能な3Sリポバッテリー。14.8V(4000mAh)
- 風抵抗:最大28ノット(約52km/h)
- 最高速度:約65km/時
- サイズ(添付)
- 重さ:1.4kg(バッテリー込で1.8kg)
- トラッキング(Blutoothで可能な範囲)300m、高さ50m
- オペレーション可能な高度海抜3000メートル(98000フィート)
モトクロスやスキーなどである斜面や地形の高度変化を感知して地上の高い部分との衝突を避けるセンサー
■HEXO+
HEXO+もヘキサコプターで30度傾斜のプロペラを実装し、AirDogに比べて多少気軽に利用できる感がある。折りたたみ式フレームと脚を持ち、こちらもナップザックに入れて持ち運びが簡単。GPS内蔵、被写体を追従するセンサーを搭載し、アプリのみでドローンの設定から飛行制御をおこなう。スマートフォンの専用アプリで、被写体の前、横、サイド側からなど、ドローンを被写体のどの位置で追っていくのかを設定するだけとしている。
ドローンには3DRoboticsのオープンソースコードを使ったソフトウェア、そしてドローンとスマートフォンの間は、ETH社が開発したMAVLinkプロトコルを利用している。スマートフォンから送るコマンドのレスポンス速度をより高速化させた。汎用リモートコントローラーを使ってマニュアルでオペレーションすることも可能。
回避モードは初期モデルでは対応しないようだが、リリースまで時間がある。もしソフトウェア定義で実行できるのであれば是非とも実装してもらいたい。スマートフォンとの信号が途切れた場合の緊急着陸、離陸地点に戻って着陸できる設定が行える。撮影できる範囲(距離)はGPSの届く可能な範囲として2kmとしているが、各土地のドローン飛行規制に従うよう促している。
ちなみにカメラはGoPro以外にも、オプションとしてタイアップしているGIROPTIC社のストリーミング対応360度カメラも装着できるとしている。
出荷時期は2015年5月を予定。2230台のプリオーダーが寄せられている。価格は、ドローン+3軸ジンバルとGoPro HERO3+ Black Edition(4Kモデル)、アプリがついて1,149ドル(プリオーダー価格)。プロトタイプでのプリオーダー時は2軸ジンバルのモデル(および3軸モデルへのアップグレード)も用意されていたが、量産は3軸ジンバルだけで進めるようだ。
- 飛行可能時間:約15分
- 交換可能な3Sリポバッテリー。14.8V(4000mAh)
- 風抵抗:実験では最大24km/時でも耐えられたとしている
- 最高速度:70km/時
- サイズ:62×52×1cm
- 重量:980g
(山下香欧)