米国にある航空宇宙調査会社が行った調査では、世界規模での民間用の無人航空機(ドローン)市場は昨年から45%増加し、その市場価値は3.3億ドルだという。連邦航空局(FAA)でも、5年以内には民間によるドローン保有が7500件以上になるという予測も発表している。このように一般人へのドローンの販売が世界中で急速に増えつづける中、無規則に飛び回るドローンの急増で安全性への懸念も深まっている。
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米国では2012年に議会がFAAに対し、サイズを問わず、すべての無人航空機の使用に関する具体的な規制を3年以内に定めるよう命じており、それによりFAAは2015年9月には規定を打ち出さなければならない立場にいる。重ねて2014年内に55パウンド(約25kg)以下のドローンを商業的に使える規制の提案も指示されているが、両方とも期日内に策定されるのは厳しいと見られている。商用ドローンに対しての規制は、飛行範囲は空港から5マイル(8km)の半径内、そして高度400フィート(122m)以下、日中で尚且つオペレータの視線視界内、そしてパイロット免許が必要になることなど、2012年に連邦規制制定されている内容が含まれたものが提案される見込み。
FAAは現在、石油会社2社と映画製作業界に関連した空撮専門会社7社を除いて商用でドローンを使用することを禁じている。
米国の規制空域を担当するFAAは11月末に、今年に記録された有人航空機とのニアミスや禁止区域での飛行といったドローンの不正行為のリストを公開した。ドローンがもしも飛行中の飛行機のエンジンに吸い込まれれば、どのような惨事となるかは誰もが想像がつくだろう。2014年内で明らかに民生用ドローンが制限区域で違反したものから、ヘリコプターや有人航空機と衝突の危険があった事実まで実に200件近くが並んでいる(翼弦長が1.5m以上の無人偵察機含む)。直近では11月15日に、救助ヘリに直進していった大型ドローンが報告されている。救助ヘリは衝突を避けるため、2400フィートまで下降せざるをえなかったという。
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一般人が簡単に購入できる小型ドローンを利用した不正行為は増え続ける一方だ。最近では、法で禁止されているスポーツスタジアム上にDJIドローンを飛ばした学生が逮捕されたこともあり、4月にはサウスカロライナの刑務所上でドローンに携帯電話やたばこ、マリファナを運ばせようとして墜落したものまで報道されている。
これらを見据え、DJIのような小型ドローンメーカーらは現在、自身での保護策として、400フィート以下といった規定内でしか飛行できないようにするプロテクションをプログラミングする方向で進めている。
(山下香欧)