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世界でも権威のある国際デザインコンペティションとして知られる「iF DESIGN AWARD」には、毎年100カ国以上から1万1千点を超える作品が応募され、対象となるカテゴリはプロダクトに建築、インテリア、パッケージ、コンセプトデザインまで幅広く、ユーザーエクスペリエンスにメタバースまで広がっています。ドローンもその登場からいち早く応募があり、こちらのコラムでも受賞作品を何度か紹介させていただきました。
今年は72カ国から10,800点の応募があり、専門家チームと協力して開発された5つの基準で評価された結果、3773の製品がアワードを受賞しています。もちろんドローンも受賞していて、空飛ぶクルマや水中ドローン、自律走行ロボットを含めると30以上の製品がありました。以前はコンセプトデザインでの受賞が多く、奇抜なアイデアもあって楽しかったのですが、実用化が進んでいる影響なのか、デザインとしてはやや落ち着いているという印象です。
その中でちょっとユニークなデザインをしていたのが、Zhuhai Ziyan Unmanned Aerial Vehicle のドローン「shadow」です。サイやタツノオトシゴからインスピレーションを得たというデザインは、横から見るとテイル部分が下の方に下がった流線型になっていて、前方には手か前脚のようにも見えるアームが付いているのが特長です。
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受賞したのはコンセプトデザインですが、「Shadow S3」という製品名で販売もされています。スペックは全長998mm、幅157mm、高さ442mmで重さは約7kg。時速100kmの速度で飛行でき、AIやLiDAR機能も搭載していて、スマートバッテリーで最高100分の連続飛行が可能とあります。面白いのはパーツが分解できて、コンパクトに収納できることで、専用のボックスやバックパックに入れて持ち運びできます。
受賞デザインと異なるのは前脚の部分で、先端部分が内側になっているところが実際には外側に向いていて、幅もやや細目になっていて、そのあたりは飛行バランスの問題なのかもしれません。一方で前方にあるカメラやバッテリーパックらしきところは、コンセプトデザインよりもカッコよくなっていて、カメラは着脱可能になっています。価格は13,999ドルで円安の今は200万円を超えますが、性能を考えるとそれなりのお値段といえそうです。
同じタイプの機体ではShenzhen United Aircraft Technologyの汎用ドローン「Q20 Intelligent Flight Platform」が受賞しています。測位と障害物回避ができる6つのセンサーに車載コンピュータを搭載し、衛星ベースのシステムで5Gネットワークにも接続でき、最大10kgの積載量があり、最長飛行時間が75分となっています。ただし、会社のサイトや製品の詳細がわかるページを発見できず、写真にあるように格納できるのかはちょっとナゾなところです。
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製品化されているドローンで受賞したものには韓国のNearthlabが製造する「AIDrone」があり、こちらは受賞ページにもスペックが掲載されています。それによると全長670mm、幅550mm、高さ12mmで重さは2kgとコンパクトな仕様になっていて、最高飛行速度は時速40km,連続飛行時間は30分以上とあります。名前からもわかるようにAIで高度な飛行が可能で、主にインフラ点検の用途で開発されたようです。
もう一つのドローンはShenzhen VanTop Technology & Innovationが子ども向けの知育用に開発した「STEM bionic aircraft K30」で、安全に飛ばせるように配慮された蝶の形に似た本体と、まるっこくて使いやすそうなコントローラーがセットになったバイオニックデザインが特長です。こちらも製品のスペックは不明ですが、本体は蝶の羽の色と光沢をシミュレーションでき、8歳以上から使えるとあります。
こうして見るとドローンのデザインはだんだんとパターンができあがってるのがわかり、製品としての価値を高めるには今後、性能とバランスをとりながらどれだけデザインを工夫するのかがカギになりそうです。アイデアとしてはまだ考える余地がありそうなので、来年あたりにコンセプトデザインで面白い製品が出てくるのを期待したいところです。
その点ではデザイン面で工夫が求められる空飛ぶクルマについては、また次回にご紹介いたします。