Inspire3
2023年4月、とうとうDJIからInspire3が発表されました。前世代のInspire2が発表されたのが2016年の11月でした。InterBEEの会場でInspire2発売記念の座談会があり、私もそこに呼んでいただき、さらにそこで司会をされていたのが、DRONE.JPの編集長である猪川トムさんなのです。もう6年とちょっとなのですね。Inspire2はかなり使用しました。いまだ現役で使用しています。なかなかの名機だと思っています。
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そして、Inspire3の噂は随分前からあり、いつ出るのかと思っているところでした。正直、ちょっと遅かったなと思っています。
詳しいスペックや、特徴などはいろいろな方がレビューされているので、そちらにおまかせしようと思いますが、一応私が気になったポイントを挙げてみます。
- 全方位障害物検知
- ジンバルを上向き80度まで上げて撮影できる
- リピータブル ルートモード
- 3Dドリーモード
- タイムコード同期
こんなところでしょうか。価格は大体176万円です。
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買うのか、買わないのか
結論から言うと、様子見です。
性能的には遜色ないです。他に求めるものがちょっと思いつかないです。値段は高いですが、性能から見ると決して高くないと思います。ではなぜ様子見なのか、まず一つは出る時期が遅かったです。現在ではシネマカメラクラスの良いカメラが溢れています。
Blackmagic Design、ソニー、富士フイルムなどなど各メーカーなどなど、各メーカーからここで紹介しきれないほど良いカメラが出ています。少し前ならDJIのカメラを空撮専用にしておくのはもったいないという時期もありました。
もう一つはMavic3 Cineが優秀ということ。個人的には値段と性能がちょうどよいのです。最後に、私には需要がないということです。今くる案件はそこまで映像の質を求めない、いや、現状の質で十分というところが大きいです。4Kでさえ満足に表示する設備がない場合が多く、HDで十分ということも多いです。
もちろん収録時にきれいに撮れているに越したことはないです。ですが空撮だけに機材コストを掛けられるわけでもないので、Mavic3 Cineもしくは未だにMavic2でも充分なこともあるくらいです。そうなんです、予算が潤沢にあり、質を求める撮影がいっぱいあれば喜んでInspire3を導入します。
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現在の日本の撮影の流れ
日本ではCMや映画などを撮影する際にどういう流れになるかというと、制作会社が監督やカメラマンに声をかけ、スタッフを集めるのですが、ほとんどがフリーで活動している人間を案件ごとに集めていきます。そのため大きな資金があるわけではないので、機材はレンタルになります。
ドローンもそういったスタッフと同じように声がかかり、チームに参加するのですが、ドローンの性質上レンタルで賄うことは難しく、所有する機材を使用する形になります。特に機体の登録制度が始まり、レンタルしにくくなりました。通常のカメラと同じようにレンタルできればInspire3を使えるのですが、現状では難しいです。
どういう人ならInspire3がはまるのか
自分がどういう状況なら簡単に導入するか考えて、一番に思い浮かんだのがDJI RONIN 4Dを所有している場合です。そうすればInspire3のカメラZenmuse X9-8K Airが共用できるので、レンズや親和性、見え方など一貫して合わせられるところが多くなります。なるべく同じメーカーでシステムをまとめるほうが良いでしょう。ただ、Ronin 4D自体がなかなか尖ったカメラで、これもレンタルして使うより、色々な使い方を模索しつつ、知見を増やしていくカメラだと思うのです。
一番の理想は、企画から演出までを自分で行い、撮影や編集を含めて少人数でこなす撮影制作会社でしょうか。本来、規模が小さい会社の場合、大手企業とは取引できず、大きな仕事に結びつかない場合が多いようですが、最近はSNSの発展で、個人規模でも大手企業から直接オファーが行くこともあるようです。たしかに、8Kの解像度であっても、個人でなんとか買える機材で撮影でき、スタジオに入らなくても高性能なPCでの編集が可能です。フットワーク軽く、柔軟な発想が活かせる、そんな環境が整いつつあるのですね。
どんどんできないことに対する言い訳がつかない世の中になってきました。そうですね、Inspire3をサクッと購入できるほどの案件、お待ちしております。