前々回「ドローンソリューションの実用化は進んでいるのか」、前回「ドローンソリューションの実用化にむけて」と、ドローンソリューションの実用化の考察を進めてきたが、新年度に向けたドローンソリューションの活用計画やその予算をいかに立てていくかを検討している会社も多いと思う。その際に大切なのは、そのドローンソリューションの技術や効果の現状を業態や技術手法に応じて把握していくことだ。
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技術現況の把握
ドローンソリューションの技術において、機体制御/データ取得、データ解析と大きく二つに分けて、その状況を捉えていくことが重要だ。その際に以下のようなレベルの中で技術レベルを位置付けていく。
■機体制御/データ取得技術・データ解析
機体制御やデータ取得に関わる技術レベル
- 3:機体制御やデータ取得の技術が確立
- 2:機体制御やデータ取得の技術がほぼ確立
- 1:機体制御やデータ取得の技術が見えている
- 0:機体制御やデータ取得の技術が検討中
- -1:機体制御やデータ取得の技術が一部足りない
- -2:機体制御やデータ取得の技術がかなり足りない
- -3:機体制御やデータ取得の技術の方向が見えていない
データ解析に関わる技術レベル
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- 3:データ解析の技術が確立
- 2:データ解析の技術がほぼ確立
- 1:データ解析の技術が見えている
- 0:データ解析の技術が検討中
- -1:データ解析の技術が一部足りない
- -2:データ解析の技術がかなり足りない
- -3:データ解析の技術の方向が見えていない
そして、その技術レベルに応じて、以下のようなチャートにプロットしていく。
Aの事象は、機体制御/データ取得技術・データ解析技術がともに整ってきている状態。今後は実用化に向けて費用と効果の検証を行っていく局面となる。
Bの事象は、機体制御/データ取得技術は整ってきているが、データ解析技術が不足している状態。まだデータ解析技術が不足しており、データ解析技術を向上させていくことが重要で、ここでは目的に応じた解析にむけて解析技術の方向性や優先順位を再度構築していく局面となる。
Cの事象は、データ解析技術は整ってきているが、機体制御/データ取得技術が不足している状態。機体制御/データ取得技術を向上させていくことが重要だが、ここでも機体の基本性能に属する問題なのか、カメラなどを含むデータ取得に属する問題なのかを明確にして対策を立てていく局面だ。特に機体の基本性能に属する問題の場合にはまだ時間がかかる可能性もあるので、ドローン以外の手法も含めて付加していくことで解決していくことも考慮にいれたほうが良いだろう。
Dの事象は、機体制御/データ取得技術・データ解析技術がともに不足している状態。まだ実証実験が必要で、場合によってはその実証実験の内容もよりデータ解析技術向上も踏まえた機体制御/データ取得技術の向上にむけて進めていく局面となる。
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導入効果の検証
ドローンソリューションの導入効果において、効果・コストと大きく二つに分けて、その状況を捉えていく必要がある。その際に以下のようなレベルの中で導入効果レベルを位置付けていく。
■効果・コスト
効果に関わる導入効果レベル
- 3:現状以上の効果が大きく、確立している
- 2:現状以上の効果が大きく、ほぼ確立
- 1:現状以上の効果が見えている
- 0:効果の方向性が検討されている
- -1:効果が足りない部分がある
- -2:効果がかなり足りない
- -3:効果の方向性が見えていない
コストに関わる導入効果レベル
- 3:効果に対して非常にコストが安い
- 2:効果に対してコストが安い
- 1:効果に対してコストが安くなる可能性が大きい
- 0:効果に対してコストが同等
- -1:効果に対してコストがやや高い
- -2:効果に対してコストがかなり高い
- -3:効果に対してコストがかなり高く、下げていく見込みがない
そして、その導入効果レベルに応じて、以下のようなチャートにプロットしていく。
Aの事象は、効果・コストともに整ってきている状態。実用化に向けて、技術検証、横展開・リスク検証・プロセスの検証を行っていく局面となる。
Bの事象は、効果は見えてきているが、コストが高い状態。コスト削減の工夫が重要で、コストの要因が目的に関して過剰になっている場合があるので、そういった部分を適正化していくことも必要だ。
Cの事象は、コストは下がってきているが、効果が見えてこない状態。ここに関しては、効果につなげるためのドローンソリューションのポジショニングを考えて直す必要がある。最終的な目的としての効果をブレークダウンし、その効果を示すためにまず方向性を集中していくことなどが重要だ。
Dの事象は、効果も見えていなく、コストも高いという状態だ。この事象に関しては、いったんベースに還って、ドローンのための計画になっていないかといったところを見直し、現在の技術や効果レベルに応じて、現実的な導入計画を踏まえた導入計画や実証実験を行うことが重要だ。
導入ステップの検証
ここまでにあった技術現況や導入効果を踏まえて、導入ステップに向けた計画を立てていく。以下のようなレベルの中で導入ステップレベルを位置付けていく。
効果に関わるレベル
- 3:大きな効果が見込まれる(費用対効果も含めて)
- 2:効果が見込まれる
- 1:効果が見込まれるが、費用検討が必要
- 0:効果と費用のバランスが見えていない
- -1:費用に見合った効果が出ていない
- -2:効果が出ていない
- -3:効果の方向性が見えていない
実用化技術に関わるレベル
- 3:実用化技術が確立
- 2:実用化技術がほぼ確立
- 1:実用化技術が見えている
- 0:実用化技術が検討過程
- -1:実用化技術が一部足りない
- -2:実用化技術がかなり足りない
- -3:実用化技術の方向が見えていない
そして、その導入ステップレベルに応じて、以下のようなチャートにプロットしていく。
Aの事象は、導入効果・実用化技術がともに整ってきている状態。実用化に向けて、リスクの軽減やプロセスの整備などを進めていく局面となる。この局面においては、安定的にどうやって運用していくか、利用拡大などをどう進めていくかに注力することとなり、場合によっては、予算を大きくとりながらより効果を出していくというような計画を立てる必要もある。
Bの事象は、導入効果は整ってきているが、実用化技術が不足している状態。実用化を見据えながらも、まだ実用化技術の向上させていくため、実証実験による検証を行う局面だ。導入効果は見えてきているため、精度などに関して過剰になっている場合などもあるので、そういった部分を適正化し、導入効果を優先していく中で技術向上を並行させていくという計画を立てる必要もある。
Cの事象は、実用化技術は整ってきているが、導入効果が不足している状態。この状態においては、導入効果を高めるために、取得したデータの可用性を高めるとか、データ取得技術をベースにしたビジネスモデルの構築や横展開、コストダウンなどの検証を行っていく必要がある。何より、最終目標としての効果を見直して、その視点に基づいて、計画を見直していくことも重要だろう。
Dの事象は、導入効果・実用化技術がともに不足している状態。この事象に関しては、プロジェクトを見直し、現時点もしくは今年から来年くらいまでの技術レベルで、どんな業務改善を行っていくのかといった最終目標を再設定し、プロジェクトを構築しなおすことも必要になってくる場合がある。
ドローンのソリューションサービス企業は技術面と効果面の現在のポジショニングを示しながら、ユーザー企業に対し提案し、ソリューションの実用化を推進していくことが重要で、技術力だけでなく、こういった説明力もユーザーの信頼を高めていくために必要なことだろう。
その中では様々な連携が重要になってきており、各社の状況を把握し、適切な提案をしていくことが重要だろう。