Withコロナという環境下において、移動制限や各種リソース制限がされている中で、ドローンソリューションの活用が高まっている。そういった意味では、この2021年はドローンビジネスを手掛ける企業にとって正念場ともいえよう。
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ドローンソリューションの整理
ドローンソリューションといっても、その飛行スタイルによって、方法や課題が異なってくる。CASEを大きく3つに分けたい。
CASE1は面データ取得中心の業務となる。典型的な飛行パターンは以下。
業務としては、測量、工事進捗、リモートセンシング、太陽光パネル点検、屋根点検、災害調査、捜索などがある。飛行環境は、目視内中心(Level1/人口集中地区以外の目視内、Level2/人口集中地区の目視内)一部広域センシング時、目視外(Level3/人口集中地区以外の目視外)となる。
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ペイロードに関しては、カメラ(RGB、マルチスペクトラム、サーマルなど)が中心で、場合によっては、レーザーでの情報取得もある。飛行計画の留意点としては、オルソ化に向けたオーバーラップ率/サイドラップ率、解像度・精度と相対した高度設定、精度向上のための撮影位置データの調整などとなる。
処理の流れとしては、自動航行での飛行・情報収集を行い、オルソ化の後、画像解析(3次元化、植生指数化など)を行うというのが一般的だ。これは各分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化に寄与する内容であり、特にDX化においてベースになる対象領域のデジタル情報化の第一歩となる。
この対象領域のデジタル化をベースとし、その後、定期的(日、週、月、四半期、年など)に同領域のデータを取得し、その変化を捉えながら、各種状況の確認やリソース配分を決定していくことがソリューションとしては重要であり、それが各種業務の高度化や効率化などに繋がっていく。
ここで重要なのは、継続して捉えていくことであり、それがAIなどの技術の活用に繋がっていくが、そこでドローン飛行計画にとってきちんと考慮すべきなのは、データ精度と飛行計画の簡便性とのバランスとなる。一般的にはデータ精度を上げればあげるほど飛行時間などは長くなり、飛行計画は複雑になっていく。
CASE2は構造データ取得中心の業務となる。典型的な飛行パターンは以下。
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業務としては、インフラ点検、構造物点検、鉄塔点検、電波塔点検などがある。飛行環境は、目視内中心(Level1、Level2)一部目視外(Level3)となる。ペイロードに関しては、カメラ(標準RGB、ズーム、サーマルなど)が中心だ。
飛行計画の留意点としては、点検精度に伴い、対象物との距離、対象物把握のための撮影位置データ、自動航行不可(非GPS環境下)の手動航行などとなる。処理の流れとしては、自動航行(一部、手動航行)・情報収集を行い、画像解析を行い、各点検システム連携を行うのが一般的だ。
これも点検分野におけるDX化に寄与する内容である。今まで構造物管理に際して、3次元でのデジタルデータ管理を行うのは非常に難しかった(高層ビルなどを除けば、設計に関しても3次元で行っているものは少なかった背景がある)。その中でドローンでのデータ取得は、構造物の3次元データ化を行う手段となり、これもDX化におけるそのベースとなる対象構造のデジタル情報化の第一歩になるものだ。
この対象構造のデジタル化をベースとし、その後、定期的(日、週、月、四半期、年など)に同対象構造のデータを取得し、その変化を捉えながら、各種状況の確認や修繕対策の優先順位を決定していくことになり、ここの効率化は構造物の新規着工よりもメインテナンスが中心の日本社会にとって非常に重要な対策となっている。
ここでも重要なのは、継続して捉えていきながら、AIなどの技術を使い、その変化を捉えていくことだ。また、この構造物点検といった分野で非常に重要なのは、カメラを中心としたデータ取得の技術と機体制御の連携である。これはカメラのテクノロジーとそれをコントロールするアプリケーションの高度化にも関わっている。これはDJIが進んでおり、参考にする部分も多いだろう。
CASE3はポイント間移動中心の業務となる。典型的な飛行パターンは以下。
業務としては、搬送、広域監視などがある。飛行環境は、目視外中心(Level3、Level4/人口集中地区の目視外)となる。ペイロードに関しては、搬送物もしくはカメラ(標準)、ビデオ(標準)が中心になる。飛行計画の留意点としては、高低差、線路や国道などの横切り、飛行時間などがあるだろう。
処理の流れとしては、搬送に関しては、自動航行により、目的地点で着荷(着陸・リール)を行い、帰還するという形になる。また、広域監視に関しては、一般的には自動航行・情報収集を行い、画像・映像解析を行い、アラート検出という形になる。
現在、政府でも議論されている人口集中地区の目視外飛行(Level4)に関しては、このCASEとリンクするものが多く、オペレーターの公的免許制度もこのCASEにおいては必須となってくるだろう。実用化への現実性でいえば、CASE1>CASE2>CASE3ということになっているが、CASE2は急速に実用化への現実感が高まっている。
ここに挙げたもの以外のCASEには一般的な空撮があるが、空撮に関しては、主に手動操縦を中心に(観光空撮などでは四季を捉えるのに自動航行を活用する場合もある)映像の素材データの取得をすることがあるが、ここに関してはどちらかというと、映像関連の知識(絵コンテ、カット割などの映像効果を上げるための技術やカメラそのものの知識など)が重要となっており、また、そこに空撮者のセンスと経験が加味される。
また、室内などの非GNSS空間でのCASEも注目が高くなっており、特に室内点検や倉庫管理、室内巡回警備などで具体的な用途が見え始めているが、飛行制御技術や飛行位置把握などに関してまだ技術確立が出来ていない部分があるため、2021年度も実用化よりも実証実験が中心となっていくだろうと思われる。
各CASEでの具体的なソリューション
まずは一般的なアプリケーションのシチュエーションだが、内容として機体制御と機体管理、情報処理の3つに分かれる。そして、その各内容をどこで(現場か会社内か)どんなデバイスで処理をするのか(タブレット・スマートフォン、PC)という目線が重要だ。
そして、一般的なドローンソリューションの流れとなるが、飛行前・飛行直前・飛行中・飛行後での、機体制御・機体管理・情報処理で見ていく必要がある。
このドローンソリューションに関して、3つのCASEの中で具体的なアプリケーションを挙げていきたい。
まずCASE1(面データ取得)であるが、DJIの機体の場合、機体制御はDJI GO 4で機体設定など、機体管理はDJI GS Proで自動航行データの作成など、その後の情報処理では、DJI Terra、DroneDeploy、Pix4Dmapper、Meta Shapeといったアプリケーションでオルソ画像作成や画像解析を行っていく。情報処理と連動する形で自動航行データ作成と機能連動している場合も多い。
Parrot社の機体の場合、機体制御および機体管理は、Pix4Dcaptureで行い、情報処理のPix4Dmapperに連携していくやり方だ。その他は、Mission PlannerのようなGround Control Station(GCS)を使って、機体制御や機体管理を行い、情報処理のアプリケーションにデータをアップロードしていくという流れになる。
CASE2(構造データ取得)は、よりソリューションが特化されている。DJIは構造物点検に関して、Matrice 300 RTKとZenmuse H20が特化したものとなっている。機体制御はDJI Pilotで機体設定や高度な飛行制御などを行い、自動航行データの作成などもDJI Pilotで行うか、DJI GS Proを使う。
また、高度な機体管理に関しては、DJI Pilotと連動する形で、DJI Flighthubが使用される。構造物データの情報処理に関しては、DJI Pilot上でデータ管理も行えるようになっており、非常に使いやすい仕組みになっている。
その他、Parrot社のPix4DscanとPix4Dinspectの組み合わせも構造物点検に特化しており、ツールとして強力だ。現在ではDJIのPhantom 4 ProやMavic Proなどがメインの対象機体であるが、Parrot Anafiが今後、飛行制御と連動する形でよりポーションが高まっていくことが予想される。構造物点検に関しては、より注目をしていくべきソリューションだ。
DroneDeployも構造物点検向けの自動航行データの作成や情報処理にも使えるが前者2つに比べれば、使いやすさはあるがソリューションとしては弱い(壁面の点検などにはよいだろう)。それ以外では、まだソリューションというより、各作業の積み上げという印象が否めない。
CASE3(ポイント間移動)はCASE1やCASE2に比べると、まだソリューションが未確立である。その理由としては目視外飛行が中心といった点やそれに伴う長距離通信といった技術課題がソリューションよりも前にあるからだ。
このポイント間移動に関しては、目視外飛行ということで機体の申請・許可が伴うため、DJI機体が使われることはほとんどないが、このCASE3でも、DJI PilotとDJI Flighthubの連動した仕組みと機能は非常に参考になる。
また、このCASEでは、UTM(Unmanned Traffic Management)が飛行管理という点では重要になっており、Level4の実現に向けて、政府も飛行管理に向けて、UTMの開発・準備を行っているが、各運営企業においても、広域の飛行管理としてのUTMが重要になってくる。その中では楽天が連携しているAirMapやTerra Droneが提供しているTerra UTM(UniFly)などが海外ではすでに実績もあり、参考になる。
ここに挙げたように、各業務分野で飛行パターンを考慮しながら、適切にソリューションを選択していくことが、実用化に向けて重要である。その中でどうやったら各業務で活用が出来るのかという方向性を定めながらプロジェクトを推進していくことが実用化を進めていくことにつながっていくだろう。