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コラム田路昌也

[田路昌也の中国・香港ドローン便り]Vol.19 「DJI Mini 2」海外版と日本版の違いを考察

2020年12月15日
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このコラムのタイトルでお分かりいただけると思いますが、私は香港に30年近く住んでいます。1997年6月末までイギリス植民地だった香港。しかし、一般大衆にはむしろ日本文化が浸透しており、アニメ、歌謡曲、おもちゃなど日本文化どっぷりという人は少なくありません。

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Contents
性能面での違いプロペラやボディ剛性向上、細部仕上げ方法の変更■外観及び部材変更 P1~P12 合計12箇所海外版と日本版の仕様が違う?

そんな香港ですので、買い物に立ち寄ったお店等で、私が日本人だと分かると「最近日本に行けなくてストレスが溜まっている」「また早く日本旅行に行きたい」といった話で盛り上がります。香港DJI旗艦店の店員さん、サポートスタッフなどにも日本好きは多く、お店に立ち寄ると本来の目的であるドローンの話よりも日本関連のネタで盛り上がることが多いです。

こういったドローン好きや仕事でドローンに携わる人は日本をリスペクトしてくれる人がすごく多いと感じます。タミヤや京商のプラモデルにハマり、東京マルイのモデルガンで遊び、ヒロボーやフタバでラジコンにハマったことを熱心に話してくれるのです。

しかし、最近のこのコラムで毎回のように書いている通り、昨年からのデモの影響で香港へのドローン輸入が禁止されています。ただ販売は禁止されておらずDJI香港も在庫がある限り継続販売を行っています。こういった状況ですので、話題のDJI Mini 2もDJI香港では販売がなく、北米版からの並行輸入品を入手して楽しんでいます。

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初フライト映像

入手した直後は、初代Mavic Miniと外観に差がないこともあり大きな期待はしていませんでしたが、開封し初フライトの頃には初代Mavic Miniとのパフォーマンスの違いに大いに驚き、すっかり魅了されてしまいました。

性能面での違い

新しいDJI Mini 2と初代Mavic Miniの外観にほとんど違いはありませんが性能面で次の4つの進化を遂げていました。

  1. カメラ:2.7Kから4Kへ
  2. 通信方式:拡張Wi-FiからOcuSync 2.0へ
  3. カメラ自動撮影機能:パノラマ撮影の追加、QuickShotのバリエーションが増えた
  4. 機体性能:最大飛行速度(13m/sから16m/s)と最大風圧抵抗(レベル4からレベル5)に向上

この4点については私のYouTubeでも解説していますので興味のある方は下の動画をご覧ください。

DJI Mini 2開封と4つの改善点

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プロペラやボディ剛性向上、細部仕上げ方法の変更

さて以上が性能面での進化でしたが、それ以外にもプロペラやボディ剛性向上、細部の仕上げ方法といった変更もなされています(ただし私が所有している機体は海外版DJI Mini 2と海外版初代Miniですのでご注意ください)。

■外観及び部材変更 P1~P12 合計12箇所

P1)プロペラ先端にオレンジストライプ、プロペラの曲げ剛性向上

P2)モータハウジング形状が初代Mavic Miniの二本支持タイプから、4本の十字型支持に変更

P3)フロントアーム(アンテナ部)の剛性アップ、初代Mavic Miniよりもアームのねじれ剛性が向上
P4)アームカバー部材が初代Mavic Miniのウレタンカバーからプラスチックカバーに変更

P5)モータ裏ネジ部に目隠しカバー追加(カバー材の材質は初代Mavic Miniフロント脚部カバーと同じ)

P6)リアモータ支持部厚み変更(テーパから同一厚へ)

P7)バッテリ形状変更、合わせて本体バッテリスロット形状変更。初代Mavic Miniに比べDJI Mini 2バッテリは長手方向がほんの少し長い(全長差約0.5mm)


P8)フロントの黒い網状部が初代Mavic Miniの単なる飾りから通気孔へ変更
P9)フロントLED追加
P10)カメラ部分に4K記載


P11)本体後部ポートがMicroUSBからUSB-Cへ変更
P12)機体ステータスインジケータに加えてクイック転送ボタン機能追加

海外版と日本版の仕様が違う?

ところが、わたしのYouTubeでこれらの外観変更について紹介したところ、日本版DJI Mini 2は海外版とは仕様が異なるのではないか?というご指摘を頂きました。頂いた情報を総合すると、「性能面4つの進化」1~4については海外版、日本版で差はなさそうです。

しかし、「外観及び部材変更」P1~P12で紹介した変更部分のいくつか(多分P1~P7)は日本版DJI Mini 2では実施されていません。まずわたしの手元にある海外版DJI Mini 2のバッテリーを除いた重量は157gでした。対する日本版DJI Mini 2は実測値で約147g、つまり日本版DJI Mini 2は海外版に比べて約10gほど軽くなっており、その差は上記P1~P7の違いによるといえます。

このような処置をしたのは日本版の199g制限が理由であると考えます。もし日本版を海外版と同一仕様にした場合、海外版DJI Mini 2の157gに日本版バッテリ48.9g(公称)を装着することになりますので、合計約206gになり制限重量を超えてしまいます。

そこでDJIとしては苦肉の策として日本版のみに上述P1~P7の軽量化対策を施したといえます。冒頭に述べた4つの性能向上については海外版と日本版DJI Mini 2はほぼ同等なわけですから、基盤など電気的な部分は海外版と共通だと思われます。ということは単純に初代Mavic Miniの部材を流用したわけでなく、ボディを日本仕様に軽量化したと考えるほうが自然でしょう。

DJI全体における日本マーケットの大きさがどの程度なのかを私は知りませんが、DJIが日本を重要マーケットと考えていることは間違いないと思います。それはDJIのお膝元である香港や中国でドローンコミュニティに関わっている人が、ほぼ間違いなく日本や日本メーカをリスペクトしてくれていることを知っているからです。

世界で最も厳しいと言われる日本のドローン規制、DJIはそれをクリアしつつ最新のドローンを日本ユーザに届けたいという思いで今回の日本版の仕様変更を行ったと思えるのです。

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TAGGED: 田路昌也の中国・香港ドローン便り
dronenews_adm 2020年12月15日
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