ドローンのグッドデザイン賞受賞履歴
毎年秋に発表されるグッドデザイン賞の発表が10月30日に行われました。
- Advertisement -
1957年に創設された日本で唯一ともいえる、デザインを総合的に評価する取り組みは、プロダクト製品だけでなくソフトウェアやサービス、社会活動など有形無形に幅広く対象を拡げていて、そのブランド力を高めようとしています。応募カテゴリーは20項目になっていて、我らがドローンは「レジャー・ホビー」「産業/医療機器設備」あるいは「モビリティ」で応募されているのではないかと見ております。
これまでどれだけドローンが応募されたのかは不明ですが、受賞対象一覧(グッドデザインファインダー)を検索すると2015年から8件ほどのドローンが受賞していることがわかります。毎年1300件ほどが受賞することを考えるとかなり少ない印象ですが、グッドデザイン賞そのものは有料での応募が必要なので、応募されることが少ないのかもしれません。
- Advertisement -
2015年に初めてグッドデザインを受賞した「Xplorer V」
ちなみに初めてグッドデザインを受賞したドローンは、Shenzhen zero-tech UAV Limitedが開発したホビードローンの「Xplorer V」でした。XIROのブランドで知られる本シリーズは、真上から見ると十字手裏剣のようなシャープなフォルムをしたクワッドロータータイプのドローンで、受賞ページでは紹介されていませんが、ボディをペイントシールでカスタマイズできるデザイン性が受賞理由になったのではないかと見ております。
展示会場ではお洒落にペインティングされた機体が並べられていた
海外の展示会場でもかっこよくペイントされた機体がずらりと並んでいて、この頃はまだドローンは飛ばして遊ぶのがメインだったというのがわかります。
- Advertisement -
デンソー+ヒロボーの産業用UAV「HDC01」
翌年に入ると受賞が増えて、昆虫デザインにアレンジされたXIROの「Xplorer Mini」に加え、DJIの「PHANTOM 4」、そしてデンソーとヒロボーが開発した産業用UAVの「HDC01」が受賞しています。さらに特別賞としてパナソニックが開発したバルーン型マルチコプターの「バルーンカム」が受賞していて、このあたりからドローンを産業用に活用しようという動きが始まったことが見えてきます。
パナソニックのバルーン型マルチコプターの「バルーンカム」
2016年にはDJIの手持ち型4Kカメラ「OSMO」も受賞していて、ドローンカメラに求められる技術が独立して単独製品としての進化が始まったのがわかります。スタビラ搭載のハンディカメラはテレビのドラマやバラエティで小道具として使われるのも当たり前になり、今年のグッドデザイン賞ではトヨタのCMで香川照之さんが手持ちしている「DJI Osmo Pocket」がベスト100に選ばれています。
GoPro Karma
楽天はドローン配送サービス「そら楽」用に独自の機体を開発
そして2017年にはGoProの空飛ぶカメラ「GoPro Karma」と楽天が開発した配送用の「楽天ドローン」が受賞しています。評価を見るとKarmaはアクションカメラメーカーがドローンを開発し、細部のデザインにもこだわっている点が評価されています。楽天の方はデザインもさることながら、社会課題解決への期待の高さや独自に開発に取り組んでいる点が評価されています。いずれも「制約が多いドローンを…」というコメントが付いていることから、この頃はまだドローンの普及が半信半疑だったのかな?というのも見えてきます。
ヤマハ産業用マルチローター「YMR-08」
そしてドローンがグッドデザイン賞を受賞したのは2018年が最後で、ヤマハの産業用ドローン「YMR-08」が受賞しています。同年にはエアロセンスも受賞しているのですが、空のロボットAEROBO(エアロボ)シリーズの中でもドローンではなく、GPS測位に使用するマーカーの方が対象になっておりました。そのマーカーも公式サイトを見るとGNSS衛生電波受信機を内蔵した対空標識へと進化していて、ドローンを取り巻くシステムがいかに性能アップしているかが伺えます。
まとめ
本記事を書きはじめる前は、グッドデザイン賞の受賞履歴からドローンのデザインの変化が見えてくるのではないかと予想していたのですが、いざ調べはじめると日本でのドローン市場の変化が見えてきて、個人的には面白いと思ったのですがみなさんはいかがだったでしょうか?機会があればレッド・ドットやIFデザイン賞といった国際的なデザイン賞でもドローンがどのように評価されているのか調べてみたいと思っております。