空飛ぶロボット「ドローン」メーカーDJIから登場した飛ばないロボットRoboMaster S1。レビュー機をお預かりしてしばらくいじったのですが、これは知的探究⼼をくすぐる最⾼のマシンでした。そこで今回は、2回に分けてRoboMaster S1をレビューしていきたいと思います。
- Advertisement -
メカニカル×未来感たっぷりのデザイン
RoboMaster S1は、通常のラジコンのようにマニュアル操縦で楽しむこともできますが、何より楽しいのはプログラムを組み合わせたコントロールでしょう。ただし、プログラムを使ってコントロールするには、その機体(車体)がどのような構造を持っていて、どのような仕組みでどのように動くのか…を知ることが大切です。そのため、S1を購入するとまずは組み立てるところから始まります。
今回はレビュー機ということで組み立て済みをお借りしたので組み立ては省略しますが、まずは機体の構造を確認するところから始めましょう。
未来感たっぷりの全体デザイン
- Advertisement -
ところどころ入ったLEDのラインが未来感を演出する
戦車のような攻撃的でメカニカルな構造と未来感のあるデザインが特徴的です。ところどころに入ってたLEDイルミネーションが未来のロボットを感じさせます。近未来を舞台にしたアニメ「攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS」を連想してしまう、物欲を刺激するデザインです。LEDの色は6色用意されており、設定から変更もできます。
真上から見たところもカッコいい
- Advertisement -
このアングルはもはやSFアニメ
ブラスターは赤外線ビーム+ゲル弾を発射!
なにより特徴的なのは砲台「ブラスター」です。ジンバル機構を搭載し、ライバルを攻撃する赤外線ビームやゲル弾を発射することができます。また、ブラスター上部にはFPVカメラが搭載されていますので、⼿元のタブレット等でFPV映像を確認しながら操縦が可能です。
オレンジ部分が赤外線ビーム及びゲル弾発射後口。その上部にFPV用カメラを備える
ブラスター最上部にはインテリジェントコントローラーを搭載
可動範囲は左右回転方向に540°、上下は-24°~+41°と広範囲。⼀方向に移動しながらでもあらゆる方向のライバルを狙い撃つことができそうです。
全方向移動を可能にするメカナムホイール
12個のローラーで構成されたメカナムホイール
タイヤは特徴的な「メカナムホイール」を採用。あまり聞き慣れない方もいるかも知れませんが、車輪円周上に45°に傾けた空転するローラーを取り付けたタイヤ(S1は12個のローラー)のことを言います。通常のタイヤと同じ動作のほか、各タイヤの回転方向や速度を制御することで機体の向きを変えることなく全方向の移動を可能にしています。
メカナムホイールの動作原理。4つのホイールを独立コントロールすることで向きを変えずに全方位移動を可能にする
ココは各プロペラの回転数制御で超安定飛行を実現しているDJIのノウハウが特に生きているところではないでしょうか。このメカナムホイールの制御がS1を自在にコントロールする(マニュアルもプログラムも)キモになります。
悪路を乗り越えるフロントサスペンション
ロールサスペンションの可動は意外と大きい
フロントホイール周りにはロール型サスペンションを搭載。左右ホイール独立のサスではないものの、多少の凹凸を吸収して安定した走行を支える大切な仕組みです。
多少の障害物ならホイールが浮くことなく通過できる
期待できる拡張性
機体後部にある拡張ボード
機体後部には拡張ボードを搭載。6つのPWMポートを備えており、サーボを活用したオプションパーツの制御などに使えそうです。
タブレット+専用アプリで操縦
アプリのホーム画面
基本操作
今回はひとまずマニュアル操縦でS1を楽しんでみたいと思います。操縦はアプリ「RoboMaster」をタブレットやスマートフォンにインストール。アプリを立ち上げると「Wi-Fi接続」と「ルーター接続」のいずれかの接続モードを選択するモードになりますので、1台で楽しむなら⼿軽にS1とWi-Fi接続、多数でゲームするなら同じルーターに接続します。
接続モードは2種類用意されており環境によって選択できる
操縦は画面左のバーチャルスティックが前後左右移動、右のバーチャルスティックが向き&ブラスター角度となります。設定でジャイロ対応にしておくと、大まかな画角をバーチャルスティックで合わせて細かい画面の位置(赤外線ビームを打つときなど)はタブレットの傾きで合わせる…という操作ができるので便利です。
操縦はトイドローンに近い
ターゲットレースで操縦練習!
用意されたビジョンマーカー。S1で画像認識できる
ただ動かすだけでも楽しいのですが、せっかくなので家の中にビジョンマーカーを置いて「ターゲットレース」を満喫してみたいと思います。S1は付属のビジョンマーカー(数字「1」~「5」「♡」「?」)を使うといろいろなゲームを楽しむことができます。「ターゲットレース」は「1」~「5」のビジョンマーカーすべてを赤外線ビームで撃つまでの時間を競うゲームです。
狭い部屋ですが、そこをあえて楽しんでビジョンマーカーを設置!さっそく「ひとりターゲットレース」スタートです!いつもいる自分の部屋なのですがS1の視点で見るとどこかのダンジョンに迷い込んだかのよう(笑)これはおひとり様でもじゅうぶん楽しめますが、仲間がいたらさらにおもしろいですね。
ゲル弾も楽しい
ゲル弾の水を含む前と後。約4.5時間で8mmまで膨らむ。水は多めに入れたほうがよさそう
片付けがたいへんそうなので今回はあまり使いませんでしたが「ゲル弾」も⼀応チェック。直径1mmほどのツブが水を含むと8mm近くのタピオカのようなゲル弾になります。試しにお皿に適当にツブを入れて水を含ませたらなんと溢れんばかりのゲル弾が誕生(苦笑)。明るい屋外などで撃ち合うにはこちらのほうがよさそうですね。
ゲル弾はブラスター後部のマガジンに装填する
醍醐味はライバルとのバトル!オリジナルプログラム作成で「必殺技」も
どうしてもやってみたかったバトルモード(自由参加)。ちょうど午前中に購入したS1が届いたという方がいらっしゃったのでお誘いしてバトルしてみました!もう、楽しい!…のひとことに尽きます。
会場はとある会社のOfficeの⼀部だったのですが、テーブルにガッコンガッコン衝突しても壊れる気配はなし。さきほどのターゲットレースのビジョンマーカーは動かなかったのですが、動いてさらに反撃してくる相⼿を撃つのはなかなかむずかしい。そして、そこが何よりも楽しい!
どうもポイントはメカナムホイールの動きを理解して(まさに動きはマルチコプタードローン)自由自在に動けるか…ということと、障害物をうまく使って赤外線ビームを避けられるか…というところにありそうです。赤外線ビームは意外とすぐに当たります(苦笑)。なので、姿をさらしているとすぐにHPが減ってしまうので、物陰に隠れながらヒット&アウェイ的にライバルのHPを削れるとゲームを優位に進められる…はず!
そして、今回は実践の中で試せませんでしたが、必殺技をオリジナルプログラムで作成・発動できるところは⾮常に魅⼒的。ビジュアル型のプログラム言語としてもおなじみの「Scratch」を使えるので、プログラミング初⼼者でもオリジナルの必殺技を作成できます。
学ぶプラットフォームとして無限の可能性を秘めたRoboMaster S1
今回遊んでみてわかったことは、遊び方が自由自在で、突き詰めれば突き詰めるほど奥が深く、ちょっとやそっとじゃ壊れないものをDJIが作った…ということでした。単純にFPV操縦+射撃で楽しむこともできるし、プログラミングを組み合わせたり、プログラミングそのものを楽しんだり、またはそれら以外のまったく違う楽しみ方も可能です。
しかもそれは突き詰めれば突き詰めるほど楽しく、限界点も深いのでさまざまなレベルに対応できそう。さらにそれらを支える強固なボディ。レビュー映像で見ていただいたとおり、ちょっとやそっとじゃ壊れない。壊れないから、思いっきり遊ぶことができる。これはシンプルですが、とても大切な要素だと感じました。
そして最後に、それらを支える技術はDJIがこれまでドローンで培ってきた技術やノウハウがふんだんに詰まっているということ。4輪独立の繊細なコントロールやジンバルの技術など、DJIの優位技術が盛り込まれたS1だからこそ、無限の遊びと学びを体験できるということなのです。
今回はアナログ操縦に絞ってレビューをお伝えしましたが、「後編」ではプログラミングを中⼼にレビューをお伝えしたいと思います。