先週よりDJI MAVIC 2シリーズのデリバリーも開始され、この週末にフライトを楽しんだユーザーも多いのではないだろうか。編集部にも届いたので、先日のDJI主催体験会よりも一歩踏み込んだ形のレビューをお届けしたい。
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開封の儀 パッケージはコンパクト&シンプル
まずはパッケージを開封!非常にコンパクトにまとめられたパッケージは折りたたみ式のMAVICならでは。キャリングケースや予備バッテリーなどが付属したフライモアキットも届いたのでそちらもあわせて開封してみた。
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予備バッテリー2本+予備プロペラ2セット、充電ハブやシガーライターソケット用チャージャーやキャリングケース等が付属する。
キャリングケースはデザインこそ似ているものの、旧MAVIC PROのものよりも一回り大きいようだ。とはいえ、これだけの機能の機体をこんなコンパクトに持ち歩けるのは便利。ちなみに、キャリングケースには本体+プロポのほかバッテリー予備2本が入り、サイドのポケットには充電器+充電ハブ、蓋内側のポケットに予備プロペラとNDフィルター等も入る。
機体チェック センサーで固められた高性能機体
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次に機体のチェック。MAVIC 2 PROとZOOMでは、カメラジンバル以外は共通となっているようだ。どちらを購入するかは誰もが悩ましいところだが、海外では交換用カメラジンバル部の別売りが予定されており(日本は未定)、日本でもそうなれば購入の踏ん切りがつきそう(カメラを両方揃える前提だが…)。

折りたたみ方式は旧MAVIC PROと同様で、リアレッグを折りたたんでからフロントレッグを折りたたむ。そしてビジュアルセンサーが前方に加えて後方と左右に搭載され、上方と下方には赤外線センサーを搭載することで全方位の障害物検知が可能になった。
また、意外と便利なのは下方中央にあるLEDランプ。通常、低空では下方向のポジショニングカメラの画像解析で位置情報を取得しているのだが、周辺光が暗いと画像解析ができずに飛行が不安定になってしまう。このLEDランプは薄暗いところでの低空飛行時または着陸時に自動で下方を照らすので、薄暗い環境でも安定した飛行ができる。

バッテリーは旧MAVIC PROの3セルから4セルに変更。電圧・容量は上がっているがその分厚みも増している。バッテリー残量インジケーターはLEDランプがスイッチ周辺の円型になっていて近未来感的でカッコよくなった。

プロペラも旧静音プロペラと同様と思いきや、マイナーバージョンアップしていることに気づく。先端の形状が違うほか、MAVIC 2のものは根本が幅広く、少し反り上がっているようだ。

右側の銀色のラインが入ったプロペラがMAVIC 2用
NDフィルターも専用のものが発売予定。ND4 / 8 / 16 / 32がラインナップしており、絞りが固定のZOOMは特に重宝しそうだ。MAVIC 2 PROも反時計回りにレンズカバーを回せば外れるようになっている。
プロポチェック:デザインを踏襲しつつもさらに使いやすく!
プロポは旧来のデザインを踏襲しつつ、MAVIC AIRで導入された脱着式のスティックを採用。さらに、サイドにSモード(高速)←→Pモード(標準)←→Tripodモード(低速)の変更スイッチが追加された。今までもSモード←→Pモードの変更スイッチはあったのだが、Tripodモードは管理画面からタップして選択するしかなかった。
それが手元のスイッチで切り替えができるようになったのは便利だ。また、各部のサイズは基本的には旧MAVICと同様でサードパーティ製アクセサリー類もそのまま使えたので安心してほしい。



旧MAVIC PRO用 サードパーティ製のスマホホルダーも使えた
カメラ比較:MAVIC 2 PROは細部も表現し暖色系の味付け
さて、さっそくカメラ性能の比較をしてみたい。まずは動画の比較からだが、今回はMAVIC 2 PRO / ZOOM のほかに、MAVIC AIRという現行のMAVICシリーズを用意した。解像度は4K / 30p、カメラ設定は全てオートで記録している。また、同日、同時間帯に感覚的に同じルートで飛行させているが多少のズレがあることはご了承いただきたい。
Youtubeにアップされた動画でどこまでわかるか難しいのだが、元ファイルを見る限りではPROの画質は背景の樹木まではっきりと表現されていた。また、画面の色はホワイトバランスが色温度高めの味付けなのか、暖力系の画面となっている。ZOOMとAIRはそれほど差が感じられなかったが、AIRは機体スピードが遅く(MAVIC 2シリーズはPhamtom4シリーズよりも速い)映像の後半は180%で早回ししているほか、撮影中に電波状態が悪くリテイクを余儀なくされた。ここは単純にカメラ性能どうこうではなく、機体性能を含めたときに差が出るところだ。
※カメラ設定はオート
MAVIC 2 PRO / ZOOM に関しては静止画も比較してみた。夕暮れの色や明度の階調の豊かさが試される難しい時間帯での撮影で、同時撮影ではなくPRO⇒ZOOMの順番で撮影したため3分前後の時間差がある。

MAVIC 2 PRO

MAVIC 2 ZOOM
写真を見れば一目瞭然だが、MAVIC 2 PROの暗部の色の豊かさは秀逸。色も鮮やかな緑色が出ている。静止画の記録は圧倒的にMAVIC 2 PROに軍配が上がりそうだ。PROのカメラ L1D-20cに搭載されているハッセルブラッド ナチュラルカラー ソリューション(HNCS) の効果だろうか。
特殊撮影チェック:ハイパーラプスとドリーズームがワンタッチで!
MAVIC 2 PRO / ZOOMで気なる機能「ハイパーラプス」と「ドリーズーム」で遊んでみた。まずはMAVIC 2 PRO で「ハイパーラプス(コースロック)」を撮影。設定方法は非常に簡単で、1)インターバル(シャッター間隔) と 2)完成後の動画の長さ を選択後 3)コース指定(「コースロック」選択時)するだけだ。今回は完成時に15秒の動画となるように選択、インターバル2秒を選択したところ実際の飛行時間は12分強となった。撮影後は自動で動画に変換される。インターバルを2秒にした場合、動画の長さは2秒~30秒まで1秒毎に設定可能だが30秒作成時には飛行時間は約25分になる。このあたりはバッテリー残量と相談しながら設定をする必要がある。
■DJI MAVIC 2 PRO ハイパーラプステスト
なぜか途中で映像伝送状態が不安定になるところがあったのだが、伝送の再接続時に自動で撮影再開となり(もしくはそれは画面上だけで実際には撮影継続中だった?)、仕上がりの動画も問題はなかった。映像的にはもう少し湖上に人やボートの往来があったほうがわかりやすかったが、それでも面白い映像が手軽にできた。
今までは大量の写真を動画に編集したり、そもそも長時間の安定した撮影自体が難しかったことを考えると簡単になったものだ(苦笑)。これは、ソフトウェアが進化したこともあるが、MAVIC 2 の飛行安定性が大きく寄与しているのだろう。
飛行モードは「フリー」「サークル」「ウェイポイント」等、さまざまなフライトパターンが用意されているのでぜひユーザーのみなさんにもチャレンジしてほしい。映像作品のアクセントなどにも手軽に活用できそうだ。
次に、PRでも推されている「ドリーズーム」もチェック。おなじみの半自動撮影機能「クイックショット」で提供されている機能で、「ドリーズーム」を選択後、被写体を画面上でタップするだけで自動撮影してくれる。「ドリーズーム」は、被写体の大きさを変えずに背景だけを歪ませる特殊な効果なのだが、撮影の仕組みとしては、被写体の大きさが変わらないようにカメラを後退させながらもズームをかけていくことで焦点距離を変え、背景だけを歪ませるような視覚効果をもたらすものだ。
こちらも、今までならばドローンを操縦する人、ズームをかける人、ピントを合わせる人など3名はほしいところだが全てがMAVIC 2 ZOOMとワンオペレーターで完結した。
■DJI MAVIC 2 ZOOM ドリーズームテスト
注意点は映像の解像度がFHD(1920×1080p)の対応になることだろうか。デジタルズームを併用するため4Kでの「ドリーズーム」はできないようだ。(24mm~48mmが光学ズーム、49mm~98mmがデジタルズームとなるため)。「ドリーズーム」は見ていてトリッキーな映像なのでとても楽しいのだが、映像作品に取り込もうとするとさすがに難易度が高い。ちょっとした遊びやSNSへの投稿などに適しているのかもしれない。
まとめ 画質・飛行性能ともに圧倒的な性能ながらATTIモード搭載は見送り
MAVIC 2 PRO は の画質は機体・カメラサイズからは遥かに想像を超えるレベルだ。静止画の階調の豊かさや解像度の高さなどは目をみはるものがある。静止画作品を撮影するならMAVIC 2 PROでもよいのではないかと思ってしまう。
また、映像も通常設定で撮影しても充分キレイなので、今回は試せなかったD-log-Mによる記録×カラーグレーディングの映像はどこまでのレベルなのだろうと興味がつきない。ぜひユーザーのみなさんはチャレンジしてほしい。
また、ZOOMの画質もPROほどではないが、それが決して不満なレベルではない。むしろZOOMの機能を考えると映像のバリエーションは多く展開できそうだ。機体の安定性や静音性とZOOMを組み合わせれば、TV番組の音声同時収録ドローン空撮などでも活用できそう。筆者はバラエティ番組で旅系のロケを撮ることもあるのだが、演者との距離によってはドローンのプロペラ音が邪魔になってしまう。MAVIC 2 ZOOMなら離れた距離からの寄りの映像⇒引きながらズームアウトで風景映像というカットも撮れるのではないだろうか。
唯一残念なのはATTIモードの選択機能が見送られたところ。今回は試せなかったが、旧MAVICではGPSの電波を取得しづらいところではATTIとPモードが勝手に切り替わってしまって操縦が困難になる…ということがあった(PhantomシリーズではATTIモードに予め設定することで操縦感が変わることを回避できる)。また、DJI CAMPなどの資格取得時にはATTIでの操縦が義務付けられていることも多く、そのような場面では機体そのものが使えないということになりそうだ。
とはいえ、現状における最高のコストパフォーマンスを発揮する機体であることは間違いない。むしろ問題は購入するのをPROにするかZOOMにするか…ひとつの選択肢に絞ることだ。