かつてクラウドファンディングで発表され、中国最大のSNS微博(ウェイボー)や、中国最大のメッセージングアプリWeChatで話題をさらったセルフィードローン「KIMON」がついに発売となった。国内では株式会社禅インターナショナルより税込74,520円で発売された。今回はこの注目のKIMONの実機を検証してみたい。
- Advertisement -
KIMONは、Sony製1/2.3型1600万画素センサー小型高性能セルフィードローン。4K 25fps解像度の映像を撮影できる。セルフィーの撮影モードも多数そろえており、どのような映像が撮れるか楽しみだ。
■基本スペック
重量 | 530g |
最大上昇・下降速度 | 1m/s(屋外)・0.5m/s(屋内) |
最大水平飛行速度 | 3m/s(屋外)・0.5m/s(屋内) |
最大フライト時間 | 約15分 |
GNSS | GPS/GLONASS |
対応飛行高度 | 30m |
対応飛行水平距離 | 50m |
カメライメージセンサー | Sony製1/2.3型1600万画素 |
解像度(写真) | 16M/12M/8M/5M |
解像度(動画) | 4K/25fps、1440p/30fps、1080p/60fps、720p/120fps |
まずは開封の儀から!コンパクトで可愛らしいパッケージ&機体デザイン
- Advertisement -
パッケージの素材はかなりハード。白基調なところといいApple製品のパッケージに似ている
まずは開封の儀から。パッケージは最近多い「Apple風」のデザイン。しっかりとした硬い箱だ。パッケージを開けるとコンパクトに折りたたまれた機体が現れた。プロペラは予備も含めて2セット、プロペラガードにバッテリー/充電器がセットとなっている。
折りたたまれた本体はかなりコンパクト
機体をパッケージから取り出して各部を見てみよう。折りたたまれたアームを広げてプロペラを装着してみる。十字のアームの上にお弁当箱が乗ったような、プリッとした可愛らしいデザインだ。
- Advertisement -
折りたたまれた状態
アームを横に展開すると開く仕様。アームを広げるとそれなりのサイズ感
サイズ感はDJI製品で比較するとSPARK以上、MAVIC PRO以下といったところか。重量は530gある。しかしプロペラを外してアームを折りたたむと、SPARKとサイズはあまり変わらないくらいコンパクトに収まる。厚みがあるとは言え、この重量でこれだけコンパクトにできるのは素晴らしい。
DJI MAVIC PROとの比較
DJI SPARKとの比較。KIMONは一回り大きいサイズ
アームを折りたたむとサイズ感はSPARKとさほど変わらない
次に機体の細部を見てみよう。モーターはMAVIC PROクラスのブラシレスモーター。機体の裏側には2つの超音波センサーと1つのビジョンポジショニングカメラを搭載する。ポジショニングカメラを2つ装備するMAVICと比較すると少し頼りないが、Phantom3 Professional/Advanceと同程度と考えることもできる。
裏面の超音波センサー2個とポジショニングカメラで低空時の機体を安定飛行させる
Sony製センサーを搭載したカメラは固定式。少し下向きの角度で本体に直接埋め込まれている。レンズの視野角は100度、広角レンズだが歪みが少ないという。ちなみに、記憶メディアはmicroSDカードを本体後ろに挿して利用する。
カメラは固定式。少し下向きに角度を付けて装着されている
機体後ろ側にmicroSDスロットがある
さっそくフライトさせてみる
アプリのエントリー画面。ここで屋内か屋外か選択する
今回はタイミグが合ってプライベートキャンプ場でのレジャーに持っていくことができたので、晴天のビーチでどれだけセルフィーを楽しめるかテストしてみたい。
まずはアプリのダウンロード。機体の操縦には「KIMON」というアプリ(iOS/Android)をスマートフォンにインストールして使う。特別な送信機は必要なく、機体とWi-Fi接続すれば準備OKだ。面白いのは「室内」「屋外」のモードが用意されているところだろう。屋内を選ぶとスピードが0.5m/s、最大飛行高度も2.4mに抑えられる(屋外モードでは最大スピードは3m/s、最大飛行高度30m)。屋外モードはGPS感度が高くないと選択しても離陸することができないので注意が必要だ。今回はプライベートキャンプ場だったので屋外モードを選択して動作検証を行ったが、はじめはGPSをあまり捉えることができず、離陸ができなかった。
機体の操縦は、バーチャルジョイスティックやモーションセンサー(スマホの傾き)を使って手動で操縦するか、スマートセルフィーモードで自動飛行させるかということになる。
まずは手動で操縦をしてみるが、スピードが垂直で1m/s・水平3m/sに抑えられているせいかすごくゆっくりとした印象だ。セルフィードローンとして考えるとこれでもいいのかもしれないが、人によってはストレスに感じるかもしれない。しかしながら映像の画質は良好。済んだ海の青がとてもキレイに表現されている。これがSony製センサーを売りにしている所以か。ひとつ残念なのはジンバルがないため映像に揺れが入ってしまうことだ。せっかくの高画質も、これではもったいない。
バーチャルジョイスティック画面。背景はFPV映像になっている
次に、スマートセルフィーモードでいろいろと試してみよう。スマートセルフィーでは以下の6つの撮影ができる。
- STDセルフィー:対面飛行時に手元の操作と見た目の動きを合わせる
- 45°ビューティー:ユーザーから距離15m、角度45°でホバリングして撮影
- フォローミー:カメラが常にユーザーを追従
- シンプルセルフィー:機体を特定の位置にホバリングさせたままカメラを常にユーザーを追従する
- パノラマ:機体が360°回転する
- 360°回転セルフィー:ユーザーが設定した飛行半径距離に基づき360°ユーザーの周りを回転しながら撮影
スマートセルフィーモードの選択画面。イラストで動きがわかりやすい
スマートセルフィーは映像解析を使うため、初期設定時に被写体を画面中央に入れてターゲット設定する
「フォローミー」
ユーザーが途中で影に入って素早く移動してしまったためターゲットが外れてしまったが、追尾機能自体は良好だ。
「45°ビューティー」
ユーザーの近い位置からだんだん遠ざかっていく定番のセルフィーだが、美しく映るという45°の角度にこだわっている。機体は45°後方に15mフライトしたあと、また同じところに戻ってくる仕様だ。
「パノラマ」
上空でホバリングしながら機体が360°回転して撮影する。撮影場所のようすを伝えるにはちょうどいいモードだ。
「360°回転」
一般に言うところの「ノーズインサークル」の自動版だ。被写体を常に中心に捉えながらその周囲を回転する。
いかがだっただろうか。小型セルフィードローンとしては高画質な映像がとても魅力的で、機体の安全対策もあえて飛行スピードを落としたりGPS環境が乏しいところでは離陸できなくしたりと初心者に優しい設計になっている。ただ、ジンバルやブレ補正の乏しさなどからせっかくの高画質の魅力が半減してしまっているのはとても残念だ(サンプル映像では環境光が明るいためか画面が揺れるこんにゃく現象も出ている)。画質が売りのセルフィードローンとしてさらなる進化を期待したい。