昨今、「STEM(ステム)教育」というものが注目されている。「STEM」とは「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の頭文字を取った造語で、これらの科学分野の教育の総称だ。言うまでもなく、これらの分野は次世代を担う人材の育成において重要視されており、日本でも2020年からの新学習指導要領にプログラミング教育を取り入れる方向で検討している。
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今回発売された「Airblock」は、まさにこの分野の入門として非常に興味深いドローン。ドローンがプログラムできるものだということを知っていても、実際にプログラムを組むのはなかなかハードルが高い。しかし「Airblock」は子どもでもかんたんにプログラミングできるビジュアル型言語ソフトで簡単にプログラミング可能なドローンで、機体自体もモジュール式に組み立てが可能になっており、さまざまな条件でフライトさせることができるのが特長だ。
製品構成~開封の儀
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箱を開封すると本体となる六角形のモジュールがひとつと6つのプロペラモジュールが現れる。これらを連結することでマルチコプターとしてフライトすることができるわけだが、連結は磁石でくっつけるのみで脱着はとても簡単だ。
2段めには大型のボディとプロペラガード(カバー)、充電器&バッテリーが入っている。この大型のボディは、さきほどのプロペラモジュールを取り付けると陸上や水上を飛行できるホバークラフトとして機体を組み立てることができる。
製品を眺めてみる
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さっそく機体を取り出してみよう。クラウドファンディングで資金調達をしていた機体なので筆者も存在は知っていたのだが、実際の機体はとてもコンパクト。ヘキサコプターとして構成した際の重量は150g程度しかない。サイズもDJI SPARKと比べてもさほど変わらない。
個々にパーツを見ていくと、本体はとてもコンパクト。裏側を見るとバッテリー挿入口と2つの超音波センサーがある。6辺ある側面に十字のコネクタがあり、この部分がマグネットになっているため簡単にプロペラモジュールを脱着できる。試しにいろいろとカタチを作ってみると…。
飛ぶかどうかは別として、いろいろなカタチを試すこともできそうだ。各モジュールの脱着が簡単にできることは安全性にも貢献している。衝突などで衝撃を受けた際には機体がバラバラになることで衝撃を和らげることができる。また、プロペラモジュールの上下にはプロペラガード(カバー)を付けることができるので、小さな子どもも安心して遊べそうだ。
また、ホバークラフトとして遊べるのも大きい。飛ばすにはちょっと危険な場所や低年齢の子どもでもホバークラフトとして操縦できれば楽しむ幅が広がる。
バーチャルスティックで手動操縦してみる
操縦はバーチャルスティックを使った手動操縦とスクラッチベースのプログラム操縦の2種類を楽しめる。まずは「Makeblock」というアプリをスマートフォンなどにインストール。機体をBluetoothで接続すれば準備OKだ。Bluetoothの接続はアプリで接続待ち状態にしたあとに、スマートフォンを機体に近づければ自動で接続してくれる。接続後は機体のタイプ(Air Mode/Land Mode/Water Mode)を選択後、バーチャルスティックの操縦画面で電源ボタンをタップすればプロペラのアイドリングが始まりフライトすることができる。
手動操縦した感覚だと、はじめは機敏な動きに戸惑うが慣れてくると比較的簡単に飛ばすことができた。超音波センサーがデュアルで装備されているため高度管理も安定し、手軽にドローンの浮遊感を楽しむことができる。もちろん、万が一の接触時には機体がバラバラになって周辺の安全を保つこともできた。
プログラム飛行をさせてみる
次にアプリによる独自プログラム飛行にチャレンジしてみる。プログラムには子ども用に開発されたビジュアル型言語を使用し、「前へ行く」「上昇する」「ホバリングする」など記載されたアイコンを組み合わせることで直感的にプログラムを組むことができる。
実際に作ったプログラム。極めてシンプル(苦笑)
さっそく、プログラムを組んだこともない40歳(筆者)がチャレンジ。一番シンプルな「動作」の中から「ホバリングする」+「前へ行く」+「上昇する」+「揺り動かす」+「着陸する」を組み合わせて飛行させてみたが、もちろんプログラム通りに自動飛行してくれた。アプリ上でドラッグ・アンド・ドロップするだけで組むことができ、大人でもハマるシンプルな楽しさがあった。
今回は「動作」というシンプルなプログラムのみを使用して試したが、「表示」「イベント」「検知」「数学」「制御」といったより高度な条件付け等も用意されており、やり込むと止まらなそうだ。
知育ロボット(ドローン)として最適な機体
今回はお試しレベルで飛ばしたのでプログラム教育のメリットが見えなかったかもしれないが、例えばクリアすべき課題(目標物を回って帰ってくるなど)を与えたうえでプログラムを組むというチャレンジをすると、仮設を立てる→プログラムを組む→実行する→検証する→改善する→実行する…といった論理的な思考を育てることができる。
また、同じ課題を複数のメンバーで取り組むことで人によって違ったアプローチ(Aさんは移動距離でプログラム、Bさんはセンシングや条件付けでプログラムするなど)で課題を解決しようとするため、新しい発見をすることもできるだろう。安全対策もよくできた機体で、ぜひとも小さな子どもにチャレンジしてもらいたい機体だ。