三回目開催となる国際ドローン展で見られる変化とは?
2017年4月19日~21日の3日間、幕張メッセ(千葉市)にて「第3回 国際ドローン展」が開催されました。国際ドローン展も気づけば今年で3回目。2015年の第一回では、見たことがないタイプの斬新な機体や、ドローンを活用した新しいサービスのコンセプト提示が多かった印象です。第三回となる今年は、より実用的な機体や、具体的なソリューションの提示が多い展示会となっていました。限られた時間で、会場をひと通り回って気になった点をピックアップしながら、今年のドローン業界で注目すべきポイントをご紹介いたします。
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DJIの出展はないものの代理店ブースはどこも盛況
SkyLink Japanのブースは入口正面に大きく構えていた
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前回に引き続きDJIの出展はなかったものの、DJI正規代理店が複数社出展しており、覗いて見るとどこも機体に興味を持つユーザーが多数訪れていました。中でもひときわ目立っていたのが京都に本店を持つSkyLink Japanのブース。入り口すぐの場所に位置し、広いブースの中にはスタッフに熱心に話を聞く来場者の姿がたくさんありました。
先日国内版が発表された農薬散布用ドローンAgras MG-1を入口側に展示しており、自治体の方が注目されている様子でした。今年は農薬散布ドローンの普及元年と見られており、DJIのMG-1がどれだけシェアを取れるのかが注目されます。
小型固定翼機が再注目?複数社が機体を展示
韓国ドローンメーカーKAVA。オリジナルの機体とソフトウェアを提供
個人的に気になったのは小型固定翼機(といっても全幅100mmくらいはありますが…)の展示。見た中では3社ほど展示がありました。韓国ドローンメーカーKAVA Droneの日本支社KAVA JAPANが展示していたKD-2 Mapperは、発泡材の機体で約1時間飛行可能。日本海洋株式会社はC-Astralの固定翼無人航空機システムを展示。こちらはカーボンケブラー材の機体で、滞空時間は3時間とのこと。
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日本海洋が出展した固定翼機は非常に洗練されたデザイン。パラシュートを使った着陸にも対応
ほかにも、撮影禁止でご紹介できませんがインダストリーネットワーク株式会社が展示していたVTOL(垂直離着陸)型機体は非常に興味深いものでした。測量や地図製作などの長距離飛行が必要なミッションにはマルチコプター型よりも固定翼やVTOL型固定翼機がとても有効です。まだまだバリエーションがマルチコプター型よりも少ないのですが、今後は固定翼機市場も注目です。
災害対策用ドローンソリューションは実用化のフェイズへ
前回に引き続きの出展となった株式会社ブイキューブロボティクス・ジャパンは、お馴染みのドローンによる多地点同時中継システムに加え、自動離着陸・自動充電・自動データリンクのドローン離着陸拠点「DRONE BOX」を展示していました。災害や定期点検を想定した際に、今までどうしても人が介在せざるを得なかったドローンの離着陸を自動化するという試みです。
DRONE BOXが実用化されれば人が常駐しなくても被災地の点検やマッピングが可能
これから実証実験を進めて実用化に向けてブラッシュアップしていく段階とのことですが、災害が多い日本において、こういった人が介在しなくて良い仕組みをドローンで構築できるということはとても大きな価値を生みます。
ドローンスクールは業界特化型の時代へ。新たな団体も設立
トラストのブースでは講師も務める女性スタッフがスクールの特長を説明
今回の出展の中で多かったもののひとつに、ドローンスクールがあります。ドローン操縦士養成スクール(有限会社トラスト)、日本ドローンアカデミー(株式会社日本サーキット)、ドローン大学校(一般社団法人ドローン大学校)といった、JUIDA認定スクールが多く出展する中、ひときわ大きなブースで目立っていたのが、昨年10月に設立されたJUAVAC(一般社団法人日本UAV利用促進協議会)。
日本ドローンアカデミーのブース
コンクリート工学が専門の出村克宣氏(日本大学工学部長工学博士)を理事長とした団体で、測量と非破壊検査に主眼を置いたドローンエキスパートアカデミーを運営します。スクールは各地で運営される認定校にカリキュラムや教科書を提供する方式で、2016年10月に福島、2017年2月には東京で開校しているとのこと。今年中に47都道府県に各1校は開校したいということです。
ドローン大学校のブースは卒業生や関係者のたまり場に(笑)
橋梁などのコンクリート構造物の老朽化が進む中で(2032年には全国約40万橋の道路橋の67%、約1万本あるトンネルの50%が建設から50年を超えると見込まれています)、このような点検やその他の専門的な業務に特化したスクールも、今後は増えていくと思われます。
会場のほぼ中央に大きなブースを構えていたJUAVAC
数年前の、夢のコンセプト展示がメインだった時代から少し落ち着いた感があったドローン関連展示会でしたが、それはコンセプト提示のフェイズから実用フェイズの時代に移行したことを意味しています。視察に来ていた県議会議員の方は、
夢のようなビジョンを提示する展示会もおもしろいが、このような実用的な提示が多い展示会は私たちのようなドローンを活用側にとっては非常に有意義。
とおっしゃっていました。その言葉が示す通り、今年は活用する側がカタチにしていく年なのかもしれない。そんなメッセージが込められた展示会でした。