EHANG CEOのHuazhi Hu氏と筆者。ドバイでの世界政府サミット会場にて
- Advertisement -
すでに世界中のメディアで話題となっている、ドバイでの自動飛行ドローンタクシーの実用化発表の場に、日本のメディアとして唯一「DRONE(DRONE.JP)」が参加。その現地の模様をお届けする。
ドバイ政府主催の世界政府サミット
イーロン・マスクによる講演
- Advertisement -
2017年2月12日から14日までUAEのドバイにて「World Government Summit(世界政府サミット)」が開催された。日本ではあまり馴染みのないこの国際会議、世界中から政財界のリーダー、革新的な企業や人材、そして大学などを招き、最先端のテクノロジーや手法を用いた未来志向の政府や行政の在り方を話し合う世界規模のサミットである。国連や世界銀行、世界経済フォーラムなどが後援し、CNNやハーバードビジネスレビューなどもパートナーに名を連ねるこのサミットも今年で5回目を迎える。
今年の目玉は何と言っても常に世界中に話題を提供し続ける、テスラ&スペースX CEOのイーロン・マスク氏の登壇、そのほかにもウーバーCEOのトラビス・カラニック氏、Cisco CEOのジョン・チェンバース氏とLinkedInファウンダーであるリード・ホフマン氏、ノーベル経済学賞のジョゼフ・スティグリッツ氏、そして各国のリーダー達など、そうそうたるメンバーが参加者に名を連ねていた。今回は日本が主賓国でもあり、安倍首相のビデオメッセージに続き薗浦外務副大臣の基調講演も行われた。
ドバイでは2030年までに自動運転車の比率を25%に
RTAによる発表の模様
昨年3月ここドバイで開催され世界中に大きな話題を振りまいた初の世界規模のドローンレース「World Drone Prix」に関わった関係で、今回このサミットをサポートすることとなった弊社ではあったが、AIなどと比べ、今年はドローン関連の話題は少ないのではと予想していたのも事実。あるとすれば「空飛ぶタクシー」の構想を持つウーバーが何か新しい発表をするのではないかと密かに期待をしていた程度。ドローンに関してはこの後の週末に開催される「UAE Drones for Good Award」(詳細は次回)の方に期待を寄せていた。
- Advertisement -
そんな中、多くのメディアにも取り上げられた大きなニュースが飛び越んできたのはご承知の通り。ドバイの交通局RTAのトップが登壇したセッションにて、自動運転車の比率を2030年までに25パーセントまで引き上げるなどのロードマップを発表したのに引き続き、最後に今年7月より自動飛行ドローンタクシーの運行を開始すると発表、そのコンセプトビデオが初披露された。このドローンタクシーの開発を担当するのは、ラスベガスで開催されたCESで発表され、以前にもニュースとなった中国企業のEHANGで、EHANG184がベースとなる。
© World Government Summit
ドローンタクシーのスペック
この自動飛行ドローンタクシー、座席前に取り付けられたタブレット型のタッチスクリーンで目的地を選ぶと登録されたルートを選択し飛行する。最高時速は160キロ、平均速度は100キロ程度。バッテリー持続は約30分で40~50キロの範囲で飛行が可能となる。最高到達高度は約900m、最大積載量は100kg+スーツケース一つ分。ドローン自体の重量は約250kgで、サイズは長さ3.9m×幅4.02mx高さ1.6m、バッテリーのチャージには2時間を要する。自動飛行ではあるが、コマンドセンターが飛行の運行管理を行う。
ドバイ、そしてEHANGの取り組み
展示された機体に乗込む参加者
筆者はRTAがこの発表をしたセッションの直前に、EHANGの首脳陣とこのドローンタクシーの真横で立ち話をしており、慌ただしく会場に入っていくのを目撃していた。発表終了後に落ち着いて一緒に撮影したのが冒頭の写真。アメリカネバダ州での実験の進捗などについても訪ねてみたが、リソースの関係で現在はこのドバイのプロジェクトにフォーカスしているとの回答だった。ここでも、ドバイが新しいテクノロジーでのイニシアチブを取ろうとしていることが強く伝わってくる。技術的には難しい訳ではないこのサービス、政府や行政がリスクも踏まえ如何にチャレンジするか、イノベーションの発展はそれに尽きるのではないだろうか。
昨年のWorld Drone Prixに続く今回のニュースは、ドバイのドローン技術に対する実用化への本気度が更に強く伝わってきた出来事であった。今回のサミットでもほかの都市の10年先を進むと宣言、火星での都市建設などの発表も同時に行われた。
自動運転は空が先?
翌日の現地新聞の一面にも掲載
安全面や運行管理など含めまだまだベールに包まれている部分はたくさんあるが、ドローン界にとっては大きなニュースである事は間違いないこのプロジェクト。以前より、すでに多数の自動車が存在する道路よりも現時点でスペースが空いている空のほうが自動化は早いかもと想像したりもしたが、実際に発表されるとかなり驚いたのが正直な感想である。しかし、我々をワクワクさせてくれるこのニュース、是非今後も注目していきたいと思う。