AppleとDJIの類似性
1985年にMacintosh(Dyna Mac)を使い始めた僕にとって、AppleとDJIの関係はどうしても語っておかないといけないテーマです。DJIのマーケティング手法がAppleというかJobsフォロワーだという事は一部で有名なのだけれど、マルチコプターのイノベーションは、その頃とすごく流れが似ている感覚がある。
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1985年当時、Mac本体の内部メモリは512キロバイト(キロバイトですよ!)しかなく、もちろんハードディスクなんて内蔵されていないので、OSのブートには3.5インチの400K(片面)フロッピーディスクが使われていました。400Kのフロッピー1枚にOSとアプリケーションが収まっているというそれはそれは小さなシステム。
それでも出来ることはとても沢山あって、「将来必ずこのマシンが1人に1台の時代が来る」と本気で考えていたのだけれど、30年が経過した今の世界は、1人に数台という想像以上のエレクトロワールドに。そして今、ドローンの世界にどっぷり浸かって世界を見回すと、やっぱり当時と同じような感覚に自分が陥っていることに気がつきます。日進月歩で開発のスピードは超絶早いものの、まだまだ追いついて来ない技術も沢山あるので、多分新しい物好きの方々は「いつかこんな事やあんな事が出来るようになって欲しい」と常に壮大な夢を見ているはず!
常に次世代の性能や機能を欲している僕らにとっては、ドローンの世界でも同じように沢山の欲求や要望があって、常に次の技術革新をワクワクしながら待っている。
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次世代のマシンが発表された
Appleとパロアルト研究所が出会った頃からの思考やアイデアは、もうそれこそ何光年も先に行っていて、その沢山のアイデアが具体化していくのを何十年も見てきたのと同じように、ここ数年、DJIのイノベーションも、ものすごい勢いで具体化していると思う。次世代型のPhantom4が発表され、1ヶ月ほどたったNABshow(国際放送機器展)で空撮に特化したドローンとしてM600が発表されました。DJI M600は、GPSとIMUの冗長化、精度数センチを実現するRTKオプション、インテリジェントバッテリーの並列化、3モーターが止まってもホバリングし続けるフォールトトレランスコントロール。加速度情報を取り扱えるカメラジンバル等々、待ち望んていた技術が複数盛り込まれています。
1000サイズを少し超えた程度のヘキサコプターでありながら、ペイロードはRED Epicをジンバルマウントしたものを持ち上げることが可能で、フライト時間は TB48Sを6本で18分と発表されています。カタログスペックなので実際には12分程度の飛行時間と思われるけれども、それでも大変な進化だと思う。
GPSやIMUの冗長化とバッテリーユニットの並列化は、長く待ち望んでいたものなので、とても歓迎するし、フォールトトレランスコントロールを含めた落ちないシステムとしてとっても大事なところ。RTKオプションに関しては、微妙な立ち位置だったグランドステーションを、センチメートルオーダでの運用を現実のものとしてくれるかもしれない。
A3とLB2によるコントロール系と映像ダウンリンクも、現場で複雑になりがちだった部分を一気にシンプルにしてくれているし、既存のZ15ジンバルシリーズや、X3、X5R、TXなどのジンバルやセンサー資産が、自由に組み合わせられるのも素晴らしい。
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機体カメラからの動画ダウンリンクをどうしたら良いのか?と悩んだ日々は忘却の彼方…。上空での露出決めも当たり前、GPSやフェールセーフの信頼度も桁違いになった上に、指定した被写体を認識してトラッキングし続ける機能等々、いたりつくせりのシステムとして進化しているのを見ると、本当にAppleの道のりを見返しているような気分になります。多分、初夏になる頃にはM600を飛ばしているのだろうけれど、もう今から待ちきれな日々が続きます(笑)
ただ、運用が簡単になったとはいえ、この大きさと重量…現状のドローン状況を考えると幾つかの懸念点も出てくるので、次回は「空物はいつか落ちる」というテーマを扱いたいと思ってます。