出村 賢聖 氏
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スポーツや運輸といった分野でビジネスの芽を出しつつあるドローン。その現場の第一線で活躍する起業家たちは何を見据え、どのような戦略を考え、行動しているのか。この連載ではそういった人々にスポットをあて取り上げて行くコラムだ。
初回は私たちが注目したドローン起業家は出村 賢聖(でむら けんせい)氏。17歳の現役高校生でありながら、「Drone Space Defense」というドローンとVRを組み合わせたゲームコンテンツを開発しており、シリコンバレーのスタートアップAdawarp社との提携も実現しているという。そんな出村氏の挑戦と今後の展望に迫る。

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渋谷・道玄坂の中腹にある雑居ビルにある一室に入ると、プロペラ音と鳴り響かせてクワッドコプターが室内を徘徊していた。ここ#HiveShibuyaは独立系ベンチャーキャピタルのEast VenturesとSkyland Venturesが運営する起業家のためのオフィススペースで、出村氏の拠点となっている。Parrot社のBebop Drone、複数台のWindows PC、Oculus Rift、スマートフォンを差し込んで使うダンボール製のHMDが並べられている出村氏の作業机で話を伺った。
ARとドローンを駆使したゲーム「Drone Space Defense」
ドローンに搭載されたカメラとOculusが連動
出村氏が手がけている「Drone Space Defense」は、ドローンと連動したOculusやダンボール製のHMDに差し込んだスマートフォンをプレイヤーが装着し、ドローンに装着されたカメラの目線からドローンを操作して行う。まさに空を飛んでいるような感覚でプレイできるシューティングゲームだ。コントローラーはPS3のものを使用している。現在は鋭意開発中で、半年以内には世の中にローンチしていく予定。
AR技術をフルに活用して、ドローン対ドローンで他のプレイヤーと対戦ができるコンテンツにしていきたいという。直近では、雪山やスキー場にあるドロ―ンを自宅からでも操作できるように、遠隔操作に対応する実装を進めている。まずはOculus対応を優先し、クオリティの高い体験の開発を進め、次にAndroidのスマートフォン対応でもゲームを体験できるようにして幅広いユーザーに楽しんでもらえるようにしたいという。
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ゲームの実現させるために鍵となる「地形データ」の取得

地形データを識別している
出村氏によれば、ドローンの自律的な飛行を実現するために「Drone Space Defense」を成功させるには地上の「地形データ」をいかに精度高く取得し、活用していくかが大事になっていくという。既に同機能は実装されており、何回もプレイすればするほど取得する地形データの精度が向上し、GPS情報とも連動つけることができるようになる。
「空中を制するものは地上を制す」
そう鼻息を荒くする出村氏が「Drone Space Defense」の先に見据えているものはなんだろうか?
目標は自律ロボットによる産業革命
出村氏は石川県金沢から上京し、地元の高校からアバターを駆使してネット上で高校生活を過ごす明聖高校のサイバーコース(通称:サイバー学習国)に転校し、自身のプロジェクトと学生生活を両立させている。
そんな出村氏のバックグランドにあるのは「ロボット開発」だ。中学1年次の冬にテニス部から化学部に転部したことをきっかけに、ロボット開発にのめり込むようになり、1年生のうちにロボットコンテストで全国大会への出場を経験。最近では、7月に中国で開催された自律移動ロボットの世界大会「RoboCup」に日本代表として出場し、世界中の研究者が集う中、9位の成績を収めている。
そんな出村氏が成し遂げたいことはあくまでも自律ロボットによる産業革命なのだ。
ドローンも言ってみれば自律型のロボットですし、僕はいろんなロボットを作って世の中に革命を起こしていきたいんです。ドローンは「空の産業革命」と呼ばれてますけど、空中を制することができれば地上も制することができるんじゃないかと思うんです。
若きドローン起業家の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。地形データを活用したARゲーム「Drone Space Defense」の実現と、その先に見据える自律ロボットによる産業革命はいかにして達成されるのだろうか。今後も出村氏の動向には目が離せない。