9月9日〜11日まで、米ラスベガスで、商用ドローンのカンファレンス・展示会であるInterDroneが開催されました。参加企業は100社弱、セッションは、100セッションを超えました。主催者側によると登録来場者は3000名に及んだといいます(カンファレンスに参加するには、$500程度の参加費が必要)。このDRONEでも[InterDrone2015]ドローン業界の今を俯瞰する展示会開催!という記事も掲載されていますね。
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InterDroneで感じたアメリカのドローン事情
今回は、InterDroneを通じて感じさせられた米国でのドローンの現況というものを記していきたいと思います。このカンファレンスは、ドローン業界のリーダーといっても過言ではない3D Roboticsのクリスアンダーソンのキーノートから始まりました。
まずは、ドローンの変遷を2014年ドローンそのもの、2014年ドローン+スマホ、2015年ドローン+スマホ+クラウドといった、その構造において、また、Drones as Vehicles、Drone as Camera, Drone as ?といった形で、ドローンの在り様で、その変遷および未来を語り、また、Dronecodeがもたらすドローンの可能性などをプレゼンテーションしました。
このクリスアンダーソンが掲げるビジョン、それはドローンとクラウドとの連携によるIoTxドローン、そして、オープンイノベーションといったものが、まさに米国がドローンの中で見据えている世界であることを示しているものであることを実感させられました。
米国において(これは日本からは感じ取りにくいことの一つではありますが)ドローンの商用活用に関して、連邦航空局(FAA)がその商用活用に関して厳しい対応をしていたということもあり、中国、欧州やカナダといった諸外国に比べ遅れをとったという意識が強く、その危機意識というものが、今年に入って、FAAが商用ドローンの規制を示したあたりから急速に、投資も増え、ドローン産業が立ち上がってきています。
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ドローン産業は、大きく分けると、ハードウェア、サービス/ソフトウェア、インフラ(ドローン運用や教育等)に分かれます。
米国においては、強みを持つITフレームワークであるサービス/ソフトウェアを中心に、いわば、クラウドサービスというものを根幹にして、ドローン産業を構築していくという戦略をとっています。
ハードウェアに関しては、民生機および空撮機として、圧倒的なシェアを握っているDJIに対し、DJIが今まで完成品として、比較的クローズな戦略を敷いている中で、3D Roboticsは、Dronecodeというオープンソースを活用した、サービス側やユーザーがその内容に応じて、サービスやソフトウェアが開発可能な環境、いわば、PCのような環境を構築し、対抗しています。
民生機や一般空撮機としては、まだ、DJIのシェアは高いですが、それでもユーザーの使い方の多様性、また、業務分野での広がりを見せる中で、3D Roboticsを始めとした、その他の機体メーカーが台頭してきています。その中でも、今回のInterDroneで、3D Roboticsとともに目立ったのは、元々は上海の企業であるYuneec(ユニークと発音するようです)でした。
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Yuneecは、先日インテルから6000万ドルの資金調達に成功した企業ですが、このInterDroneの中で、その構図として見えてきたのは、ドローン産業の中心が、民生から商用に変化する中において、Dronecodeのプラチナスポンサーである3D RoboticsとYuneecのDJI包囲網という姿でした。DJIも最近、Matrice100で、開発者向けの機体の展開を始めましたが、米国においては、その戦略はまだ中途半端という印象を与えています(今回のInterDroneでも、DJIが発表したのは、ZENMUSE X5シリーズという、空撮機としての現状の最高峰であるInspire1のカメラシステムのアップグレードであったというのは、どこか象徴的なものでありました)。
米国が中心に位置づけているドローンでのサービス / ソフトウェアも、その事前の印象から受け取る先進性に比べて、正直、実際のところはまだまだ途中過程であるという印象も受けましたが、それでも強烈な勢いで、前に進んでいるという米国の本気を感じさせるものでした。この熱気というものこそが、米国の現況であり、また、まず、ビジョンを見せ、キャッチアップをしていくという様子は迫力もあり、魅力的なものでありました。
今回、ハードウェア、サービス/ソフトウェア、インフラの各社は、日本に進出してきておらず、多くの企業に「日本への進出」に関して、聞いてみましたが、「興味はあるけれど…」という回答で、まだ、ほとんどの企業が日本に進出してくるプランも持っていませんでした。日本で、その風を感じるのは、まだまだ先のようですし、そこに正直、ドローンの商用活用ということに関して、危機感というものを感じるものでもありました。