地元キャラのこめつぐ君がお出迎え
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自由に飛行させる場所を求めて
世界最大手のドローンメーカーと言えばDJIということで異論はないところだろう。4K撮影を可能にしたPhantom 3 Professionalも好調で勢いに乗るが、日本国内に目を向ければ、今年4月に起こった首相官邸墜落事件をきっかけに、法規制の議論が加速したのは皆さんもご承知の通りかと思う。
その流れと平行する形で、各自治体、特に首都圏近郊では、公園や河川敷など、これまでドローンの訓練に使われてきたような場所がことごとくドローン飛行禁止の措置が取られた。法的整備が整うまでの暫定措置だと思いたいが、それもまだ先行きが見えないところである。
ドローンの安全性は、ハードウェアだけで確保できるものではない。飛行技術が伴って初めて安全に利用できるもののはずが、練習出来る場所がなくなってしまった現状では、「要するに飛ばすな」と言われているに等しいのが現状である。
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広大な敷地面積を誇る舞子スノーリゾート
そんな状況を憂慮してか、8月1日にDJIが新潟県は舞子スノーリゾートにて、国内初となる「DJI Expo」を開催した。規定のコースをフライトしてタイムを競うドローンレースを目玉に、自由にフライトを楽しめるFree Fly Zoneや、初心者向けの講習とフライト体験も兼ねた「New Pilot Experience」といったメニューが用意され、ドローン漬けの1日であった。今回はこのExpoを企画したDJI Japanの丸川 英也氏に、現地でお話しを伺う事ができた。
DJI Expoの会場となった舞子スノーリゾート
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DJI Japanがフライト場所を提供する狙い
――そもそもこういうイベントを企画した理由からお伺いします。
DJI Expoを企画したDJI Japanの丸川 英也氏
丸川氏:それはもう単純に飛ばせる場所を提供したいということですよ。これまで日本各地でNew Pilot Experienceをやってきたんですけど、どこで飛ばせるのかなという話が多い。もちろん私有地とかで許可を貰えれば飛ばせるんですけど、それだったらこちらからもっとそういう場所を増やしていこうよと、探し始めたのが発端です。
スキー場とか夏は使えてないから、我々で使えたらいいよねということで、いろんなところにイベントやりませんかと声をかけてきました。そしたら舞子スノーリゾートさんが、ぜひやりましょうと。
――参加者の傾向としては?
丸川氏:すべてを把握しているわけではありませんが、30~40代が多いイメージ。皆さん知ってるけど見たことがない、やってみたいという方は多いです。
ドローンという単語自体ネガティブな報道もありますけど、逆にポジティブな報道もあるので、もしかすると平等なところで判断したいと思っている方が実際に見に来ているのかもしれないですね。どちらにしろ興味の対象ではあるので、僕らとしては売るだけじゃなく、実際に触れて貰える場を作りたいと思ってるんですよ。
初心者でも安全にフライト体験ができるNew Pilot Experience
――今回はかなりの数のスタッフが来ていらっしゃいますね。
丸川氏:DJIからはほぼほぼフルで15人ぐらい来て、Free Fly Zoneを運営してます。New Pilot Experienceに関しては、販売代理店のSEKIDOさんから5~6人ぐらい来ていただいて。ドローンレースについては、ドローンレース協会の黒田さんという方にお任せして、そこも4~5人来ていただいて。
1人ずつ4コースに分かれてフライトできる、Free Fly Zone
白熱の?展開を見せたドローンレース
丸川氏:これまではそれぞれが分かれてやっていたイベントを、1箇所でファンミーティングみたいな形でやって、かつ地方活性化にも繋がってきたらいいなというのが狙いの一つでもありますね。
――この手のイベントは、定期的にやって欲しいというニーズもあると思いますが。
丸川氏:次はまだ未定です。今回はまずやってみようというトライアルで、何人ぐらい本当に来てくれるのかというのも全くわからなかったんですよ。7月5日ぐらいから募集をはじめたんですけど、300人以上の方が来ていただいているので、ニーズとして求められているのかなと。今後はできるだけやっていきたいと考えています。
――東京でのイベント開催は難しいですか?
丸川氏:今は秋葉原のアーツ千代田 3331(閉校した千代田区立練成中学校の校舎を改修した文化芸術施設)の屋上で2回ぐらいFree Fly Zoneをやらして貰ってますけど、広大な土地というわけではないですよね。もうちょっと広い、ネットが張ってある打ちっ放しのゴルフ場なんかを探してるんですけど、なかなかでもマッチングするところが見つからないという状況ですね。逆にもしご存じでしたら教えていただきたいぐらいで(笑)。なにかの跡地とか、ほかの活用をしたいというニーズがあればぜひお話しさせて頂きたいと思ってるんですけど。
ドローン飛行にベストな舞子スノーリゾート
一方で今回のイベント会場となった舞子スノーリゾートでも、これを契機としてドローンを常時フライトできるよう体制を整え、8月3日より「舞子ドローンフィールド」として営業を開始した。
オフシーズン期にスキー場をドローンに開放したら、という話はアイデアとしてよくあるが、実際に取り組んでいるところはまだ少なく、知られている限りではまだ長野県の斑尾高原ホテルが始めた程度である。舞子スノーリゾートの参入で、首都圏からは2つの選択肢が出来たことになる。
舞子スノーリゾートを管理する株式会社 舞子リゾート スキー場副支配人の伊島達也氏にお話しを伺った。
――舞子ドローンフィールドは、今回のDJI Expoをきっかけにプランを作られたそうですね。
伊島氏:そうですね、今回のイベント開催でわかったことなんですが、今後夏のスキー場を活用していく中の一つのコンテンツとして、このドローンというのがスキー場にとってもドローン愛好家の皆様にとってもいいんじゃないかという。せっかくやるんであれば、今回のイベントに参加されるかたが集まるというタイミングで、ある程度料金設定をして営業を開始できればと。
舞子リゾート スキー場副支配人の伊島達也氏
――今回のイベントで使われたコースは、比較的アクセスしやすいエリアですが、舞子ドローンフィールドも同じようなコースになりますか?
伊島氏:どれぐらいの距離や広さを1コースとカウントするかというのはあるんですが、現在夏のリゾートとして営業している「ディスクゴルフ」ですと27ホールあるんですね。一番右はビギナーコースなので短いですけど、エキスパートコースという奧のところは200mコースもあります。今日そこを貸し切ってFree Fly Zoneにしてるんですけど。
元々このエリアは、ゴルフ場だったんですよ。ですがなかなか営業がうまくいかなくて、もう10年以上前にゴルフ場としては閉めてしまって。そのあとゴルフ場の跡地を有効活用しようということで、ディスクゴルフを始めて今に至ると。
元々ゴルフ場ですので、木で一つのコースの区切りがわかりやすくなってるんです。ただのだったぴろいところというよりも、長いコースになってるものですから、おそらくドローンを飛ばされる方もコースの境がわかりますので、飛ばしやすいんじゃないかなと思います。
さらにゴルフ場のときの茶屋というか避難小屋があるので、そこから電源が取れるんです。今我々の想定では、今回Free Fly Zoneで使っていただいているコースを使っていただくイメージです。場合によっては全部使っていただいてもというのはありますが、いかんせんどれぐらいの需要があるのかというのが正直わからないものですから、少しずつ初めてみたなかで広げていくしかないのかなと思っています。
――ではディスクゴルフと併用ということになりますか?
伊島氏:まあそうなんですけど、なかなかディスクゴルフもそんなにお客様がいっぱいいらっしゃるわけでもなく。ディスクゴルフって1ホール10分とか15分ぐらいで済んでしまうので、運用の中でドローンとディスクゴルフを併用して行なって、ディスクゴルフのプレーヤーがプレイするときはドローンはいったんお休みしてくださいといったご案内をしていこうかと思っています。
――飛ばせるシーズンは?
伊島氏:おそらくGWあたりから11月頭ぐらいまでになってきますかね。ただドローンのコースは草を刈る必要もないですし、雪が積もっててもプレーヤーの方がそこまで行ければ問題ないと思っているので。探り探りになってしまうんですが、冬場もできるかもしれません。
――1日3,000円って、手頃ですよね。
伊島氏:正直我々も適正な料金がちょっとよくわからないというのもあります。ほかの施設も見させていただいて、やるんであれば多くの方にご利用いただいたほうがいいですし。
なによりドローンって、撮影された映像をSNSなどで拡散していただけるものですから、我々はそこを一つの魅力に感じているんですね。舞子という名前を多く皆さんに知っていただければ、それがホテルの営業に繋がったり、冬のスキー場に繋がったりできればいいなと思ってます。
それこそ冬のコースを皆さんに撮っていただいて拡散していただくのが我々としてもいいんです。今回のFree Fly Zoneはスキーのコースには当てはまってないので、ここでやってみようかとつい先ほどDJIさんとそんな話もしているところです。
――元ゴルフ場というのは、ドローンにとってもメリットがありそうな気がしますね。
伊島氏:一般のスキー場ですと、コース、敷地はあるんですけど、そこまでに行くアクセスが難しいんですね。我々はゴルフ場をやってた関係で、管理道路があります。
管理道路を通って各コースへ徒歩で行ける
伊島氏:あと電源ですね。スキー場は冬だけ通電して、春には落とすという施設が結構あるんです。リフトがおっきな電力を使う契約になってるものですから、基本料金が莫大なんですね。そういったことで、ほかのところは敷地はあるんだけど、難しいというのがあるんだろうなと。
あとこういうイベントをしていただくにしても、宿泊施設があったり、飲食出来たりお風呂に入れたり、ホテルがすぐ近くにあるので快適というのもあります。
――今回のイベントをやってみて、手応えみたいなものはいかがですか?
伊島氏:DJIさんのイベントで告知されてから、撮影の仕事をしてる方が合宿を組みたいとか、撮影技術を上げるために練習したいという問い合わせはいただいてます。
今回も荷物が大きいので車でいらっしゃる方が多いですが、宅急便でお送りいただいても構いません。我々はスキー、スノボでその点は慣れておりますので。ご予約の点でも、今は3日前と言うことになっていますが、今後は思い立ったらすぐ、みたいなところまでなればいいかなと思っております。