愛知県は、2023年5月、「革新事業創造戦略」に基づく官民連携プロジェクトの第1号として、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト『空と道がつながる愛知モデル2030』」(以下:プロジェクト)を立ち上げた。
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同プロジェクトでは、ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代「空」モビリティの社会実装の早期化を図るとともに、自動運転車等の「陸」モビリティとの同時制御により創出される新しいモビリティ社会「愛知モデル」の構築や、次世代「空」モビリティの基幹産業化を目指し、取組を推進している。
PRODRONEと愛知県が主導する、あいちモビリティイノベーションプロジェクト 「空と道がつながる愛知モデル2030」始動
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PRODRONE提案、あいちモビリティイノベーションプロジェクト 「空と道がつながる愛知モデル2030」を採択した愛知県にインタビュー
愛知県は今年度の取組の第一弾として、西尾市および新城市においてドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査を実施すると発表した。
プロジェクトの目指す姿とローンチモデル
2024年度の事業概要
柱1「需要の創出に向けた取組」
各分野におけるローンチモデルの実現に向けた取組を実施する。
カテゴリー | 事業目的 | 事業内容 |
---|---|---|
物流 | 物流ドローンの先行導入事例を作成するとともに、課題の抽出・分析を行う | ・ドローンの活用が見込まれるエリアを選定し、ニーズや課題を踏まえた先行導入事例案を作成 ・長期間の実証実験を行い、先行導入事例案実現に向けた課題抽出・分析を実施。 |
サービス運営事業者向けに事業運営のモデルケースを作成し、参入を支援する | ・社会実装が期待される場所の特徴や具体の飛行ルートを整理し、将来の事業性や運営要件を調査 ・調査結果をまとめた冊子等の作成 |
|
人流 | 遊覧飛行実施の適地調査を行い、翌年度以降の具体的な離着陸場整備につなげる | ・社会実装の各段階における離着陸場整備候補地を洗い出し、遊覧飛行候補地を仮選定 ・遊覧飛行候補地における事業化調査を実施し、離着陸場整備計画案を策定 |
災害対応 | 災害時におけるドローンの利活用スキームの構築と、平時及び災害時におけるデジタルマップのデュアルユースを確立する | ・災害時におけるドローン活用の課題を整理し、具体的なスキームやオペレーションを検討 ・災害時におけるデジタルマップの活用を検討するワークショップを開催 ・平時におけるデジタルマップを活用したビジネスモデルの検討 |
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柱2「供給力の強化」に向けた取組
次世代「空」モビリティの基幹産業化を目指し、本県の強みである自動車産業・航空宇宙産業の集積を活かしながら、「令和の殖産興業」として、産業拠点としての機能強化に向けた取組を実施する。
カテゴリー | 事業目的 | 事業内容 |
---|---|---|
産業集積 | 自動車・航空宇宙産業のドローン・空飛ぶクルマ産業への巻き込みを図る | ・ドローンの機体開発や量産化に向けてボトルネックとなっている部品や技術課題等を洗い出す検討会を開催 ・ドローンや空飛ぶクルマに関するヒアリングを行い、事業者の掘り起こしを実施 |
人材育成 | ドローンのエンジニア人材の育成に向けた体制を整備する | ・知識や技術を体系化したテキストやカリキュラムの作成 ・人材養成機関となる事業者の探索 |
柱1・2に共通する取組
カテゴリー | 事業目的 | 事業内容 |
---|---|---|
制度設計提案 | 社会実装のボトルネックとなっている法令・制度を洗い出し、関係機関への働きかけに資する資料を作成する | ・具体的なユースケースを想定した上で、社会実装に向けてボトルネックとなっている法令・制度等を調査 ・制度等の背景や趣旨を踏まえ、具体的な改正案や制度設計について提案 |
機運醸成 | 国内外のモビリティ関係者、地域住民の次世代「空」モビリティに対する社会受容性を向上する | ・大規模展示会へ出展 ・県内各地で開催される住民向けイベントに出展 |
ドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査について
積載量が大きい物流ドローンを活用した配送サービスを、ユーザーへ約1️カ月間提供することにより、社会実装を見据えた課題の抽出・分析を行い、先行導入事例の創出に取り組む。
※以下は現時点での予定であり、調査内容はそれぞれの実施前に改めて発表予定
(1)本土離島間の多頻度配送
実施地域 | 西尾市(一色漁港~佐久島)約8.0km |
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実施予定時期 | 2024年10月 |
実施内容 | 本土離島間の海上を航路として、ドローンの定期配送とオンデマンド配送を組み合わせた多頻度配送及び往復配送による運用効率の向上を図るビジネスモデルを想定した実証実験を実施する。 本土から離島へは欠品等の影響が大きい医薬品や日用品等を配送し、逆に離島から本土へは特産品等を配送します。さらに、定期配送に加え、緊急時のニーズに応えるオンデマンド配送を併せて実施する。 |
検証項目 | ・定期配送とオンデマンド配送を組み合わせることで、利便性・採算性を検証 ・専門パイロットを配置せず運用することで、運用コストを検証 ・着陸地点に設置するカメラやセンサーによる周辺映像や環境情報を用いた離着陸オペレーション技術を検証 |
使用予定機体 | PD6B-Type3(プロドローン社製) ・本格配送用機体 ・推奨積載重量:20kg ・第一種型式認証申請機体モデル ※認証されれば25kg以上の機体で日本初 |
実施事業者と具体的な役割 | 名古屋鉄道株式会社(プロジェクトの統括、運航等) 株式会社プロドローン(機体管理) 中北薬品グループ(荷主協力) 西三河農業協同組合(荷主協力) 西尾市(地元調整) |
(2)河川上空を航路とした複数目的地への連続配送
実施地域 | 新城市(長篠~只持、玖老勢周辺)約8.0km~12.0km |
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実施予定時期 | 2024年12月 |
実施内容 | 河川上空を航路として、一度で複数の目的地へ連続的な配送を行い、運用効率の向上を図るビジネスモデルを想定した実証実験を実施する。 市街地から山間地の複数拠点へ医薬品や日用品等を連続的に配送し、逆に山間地から市街地へは農産物等を配送する。 |
検証項目 | ・複数の目的地へ連続的に配送することで、飛行効率・採算性向上の検証 ・専門パイロットを配置せず運用することで、運用コストを検証 ・(1)の西尾市における技術検証の結果に加え、飛行プラン自動作成システムを用いて、効率的な飛行ルートの作成技術を検証。 |
使用予定機体 | (1)の検証と同じ |
実施事業者と具体的な役割 | ・名古屋鉄道株式会社(プロジェクトの統括、運航等) ・株式会社プロドローン(機体管理) ・中北薬品グループ(荷主協力、機体操縦) ・愛知東農業協同組合(荷主協力) ・生活協同組合コープあいち(荷主協力) ・東三河ドローンリバー構想推進協議会※(地元調整) ※豊川市、新城市を事務局としたドローン・エアモビリティに関する官民協議会 |