2022年12月の航空法改正によって制定された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」。一等無人航空機操縦士・二等無人航空機操縦士の2種類があり、2024年3月末日時点で資格取得者数の合計は1万人を突破し、ドローンの資格として着実に定着しつつある。
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民間資格※は国家資格と併存している状況だが、2025年12月以降、ドローンの飛行に関する許可・承認のエビデンスとして活用しないと国土交通省は明言している。国家資格取得の必要性が今後ますます増えていくのは間違いない。
※JUIDA、DPA、JDC、JDA、DJI JAPAN、IAU、ドローン検定協会、DMA、産業用マルチローター技能認定などの民間団体が発行している独自資格
株式会社エネコムはドローンに関する各種ソリューションを提供している。その一つで、同社は二等無人航空機操縦士の取得における学科講習を支援するため、eラーニングサービス「EneLearn Drone Meister」(エネラーン ドローンマイスター)を開発。2023年3月のサービス開始以来、受講者は順調に増加し、学科試験合格者も輩出している。
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無人航空機操縦者技能証明を取得するためにスクールへ入校する場合、受講者は飛行の経験や民間資格取得の有無を照らし合わせ、初学者または経験者に選別される。
これまで「EneLearn Drone Meister」は初学者の学科講習に対応していたが、このたび民間資格を保有している経験者の学科講習にも対応を開始した。経験者向けの講座では、従来の講座において受講者などから収集した改善点なども加え、より学習しやすい教材になっている。
そこで今回は、ドローンのパイロットであり、ドローンスクール講師をはじめ様々なドローンビジネスに取り組む白石麻衣さんに経験者向けの「EneLearn Drone Meister」を利用してもらい、使い勝手を聞いた。
また、開発に携わったエネコムの佐伯豪氏、山本拓弥氏にも解説を加えてもらった。
アニメーションを使いビジュアルで解説。項目ごとのまとめもわかりやすい
――今回、白石さんには経験者向けの「EneLearn Drone Meister」を体験していただきました。体験してみての率直な感想をお願いします。
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白石氏:「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に沿って項目が整理されていて、一つ一つの項目を、アニメーションで解説してくれるんです。これがすごくて、わかりやすかったです。
例えば「4.3.2 揚力発生の特徴」の項目では、空気中に置かれた翼に対して垂直に作用する「揚力」や、空気が流れる方向に働く「抗力」といった、文章や解説の読み上げだけでは理解しづらい部分も、アニメーションを使って説明してくれるんです。これほどわかりやすく解説されている資料は初めてでした。
山本氏:我々は民間資格用の教材づくりから携わっており、わかりやすい教材づくりには自負があります。また学習を終えたドローン業務に携わる人たちが、どんな現場に立っても安全に取り組めるようにという観点も盛り込み、結果的にアニメーションを多く用いる形になりました。
白石氏:各項目の最初で、学習の目標を説明してくれます。そのおかげで講義に関する心構えができましたね。項目の最後にもまとめを話してくれるので、要点だけ教えてほしい私のようなタイプにはピッタリでした。
山本氏:国土交通省の告示では、二等資格における経験者の学科講習時間が4時間と定められており、説明が簡易になってしまうところもあると思います。そのような場合においても、要点を目標として受講前に把握しておく、そして、まとめとして講座の最後に復習する時間を設けることによって内容の理解が深まると考えています。
白石氏:PCだけでなく、スマートフォンやタブレットで視聴できるのも、時間や場所を選ばず受講ができるので便利だと思いました。
――現在はタイパの時代ですから、倍速での視聴にも対応してほしいところですが……。
山本氏:段階を選び倍速視聴が可能です。ただ、登録講習機関で学科講習を受講する場合、講習時間が国土交通省の告示によって定められているため、1回目は倍速視聴をせずに、2回目以降、復習で視聴する際に倍速視聴を活用してもらっています。
▶︎eラーニング「EneLearn Drone Meister」
登録講習機関の講習全体をサポートし、受講生の試験合格率向上に寄与
――経験者向けの「EneLearn Drone Meister」を登録講習機関の学科講習で活用する最大のメリットはなんでしょうか。
佐伯氏:講師の方たちのドローンに対する知識や学科の内容に対する理解度は、一定のレベルに達していると考えています。でも、受講生の試験の合格率は講師によってばらつきが出てしまいます。これは人がやるから仕方ない側面があると思います。
「EneLearn Drone Meister」は講師が講義をしなくても、eラーニングによって誰もが複雑な教則の内容を理解できるように設計されている。つまり講師のレベルによらず、統一されたレベルの学科講習を実施できるのだ。学科の講習をしなくなる講師たちは、実技の指導に集中できるようになるという。
講師の代わりとなる学科講習が実施できることと、実技指導の充実を可能にすること。この2つが「EneLearn Drone Meister」を活用するメリットだ。また、「EneLearn Drone Meister」には学科試験対策として問題集も収録している。これらも活用して受講生の合格率をあげていければ、スクールの魅力にもつながるとしている。
佐伯氏:それから、受講の進捗状況の管理が可能です。たとえばある受講生には「まだ1時間しか進んでいないので頑張ってください」とフォローできるわけです。
――スクールの講師も務めている白石さんはこれまで様々な受講生を見ていらっしゃると思います。受講生にとって「EneLearn Drone Meister」の使用はどんなメリットがありますか。
白石氏:復習で視聴し直せるのが大きなポイントですよね。私は一等無人航空機操縦士の資格取得のため、オンラインで講義を受けるスクールに通いました。テキストを使用しながら、講師が解説します。人に教えてもらえてわかりやすかったし勉強になったのですが、授業以外で学習するにはテキストを読み直すしかありませんでした。
「EneLearn Drone Meister」は同じ項目を何度も見直せますし、再生しておけば耳から入ってくるので、家事をしながらでも学習できるのはかなり強みかなと思います。 あとは学科講習をする講師のスケジュールにとらわれず、受講生が都合のいいタイミングで「EneLearn Drone Meister」を通じて学科講習を受けられるのもメリットと言えます。
佐伯氏:「EneLearn Drone Meister」を、スクールに入る前にいわば「入門試験」のように使用して、初学者、経験者に振り分ける機能がほしいという要望を受けています。講師側からすれば確かに知りたいポイントでしょう。受講生にも講師にも便利に使ってもらえるように、今後も改善を続けます。
業務で国家資格の提示が求められるケース増加!重要性は高まる
空撮などドローン業務の機会が多い白石さんに国家資格所持の重要性について、現場の肌感覚を聞いた。
――一等無人航空機操縦士の資格は、業務上では有効に活用できていますか?
白石氏:はい。国が私の技能レベルを保証してくれるので、素晴らしいことだと思っています。国家資格制度が始まるなら取得していないと業務ができないという方向になるといいのではと考えていましたが、まさにそうなってきています。最近では、大きな施設での業務だと100%提示を求められます。
佐伯氏:万が一事故やトラブルが起きた際は、操縦者だけでなく発注者側が責任を問われることがあります。今後は、技能が確かな国家資格を持つ操縦者に仕事を依頼したいという時代へ急速に変化していくと考えています。
白石氏:最近では依頼されたときにすぐに手配できるように、技能証明書の画像データをスマートフォンの中に入れて、すぐ見せることができるようにしていますよ。
このように国家資格の取得は、ドローン業務をするうえでは必須になりつつあるようだ。無人地帯上空で目視外飛行を行うレベル3飛行や、機上カメラなどを活用して補助者の設置を省略し、無人地帯上空で目視外飛行を行うレベル3.5飛行では、二等無人航空機操縦士以上の資格が必須となる。
また、最大シェアを誇るDJI製ドローンがレベル3/レベル3.5飛行に必要な各種データの提供に対応するようになったことで、レベル3/レベル3.5飛行はますます実施される機会が増えるだろう。このチャンスを掴むためにも国家資格の取得は必要だ。
最後に、今後もドローンパイロットとして、スクール講師として活躍が期待される白石さんから見た、「EneLearn Drone Meister」導入を検討する事業者に向けたおすすめのポイントを聞いた。
白石氏:ドローンに詳しい私から見ても十分見やすくてわかりやすいです。ドローンは適切に扱わないと危ないこともありますが、安全に関する内容も充実しています。章ごとの章末テストや修了テストがあるのは、ありがたいですよ。講師をしている私も教材として使いたいですね。
今回、白石麻衣さんが体験した民間資格を保有している経験者向けの学習コースは、個人から法人企業、そしてドローンスクールまでを対象としており、講習教材として活用できる充実した内容だ。
「EneLearn Drone Meister」は新コース開設に合わせて、登録講習機関(ドローンスクール)や法人企業を対象としたキャンペーンを展開している。具体的には、二等経験者学習コースが通常価格(税込16,500円/ID)のところが、今ならお得な特別価格(税込11,000円/ID)で提供されるという。
企業内でドローン操縦士として活躍している人でも、民間資格のままで国家資格を取得していない人は多いと聞く。この機会にチャレンジしてみてはいかがだろうか。