急成長を遂げるDJIの秘密
ドローンで名を馳せた企業と言えば真っ先に思い浮かべるのがDJIだろう。正式名称は、大疆创新科技有限公司(Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.)本社を中国・深圳に置き、世界的にドローン業界に革新的な製品・ソリューションの提供をしている。日本、アメリカ、ドイツに支社を持ち社員数は3000人を超える。しかし2006年に設立されたまだ10年にも満たない若い企業でもある。
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DJI本社 エントランス。白を基調とした設え
雑誌Forbsによると2014年には売り上げが、5億ドル(*約615億円)に達し、15年には10億ドル(*約1230億円)超えを見込むという。
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(*1$=123円計算 / DJIは、売上非公開)
そんな急成長を遂げるDJI新オフィス訪問のために、一路編集部は、中国・深圳へと向かった。そこでコミュニケーションディレクターのMichael Perry氏に話を聞く事が出来た。気になる新製品とプロダクトに向かう姿勢、ユーザーとの取り組みを中心にお伺いした。
DJI本社を直撃!中国・深圳へ向かう
今後の製品開発について、新製品は、どのような物がリリースされますか?また発表はCESなどが節目なのでしょうか?
DJI Michael Perry氏
こんにちは、Michael Perryです。テキサス・オースティンの出身で現在はDJI本社に勤務しています。これまで、私達の会社はいろんな方法で製品を発表してきました。オンラインで発表し、Eメールで製品情報をお客様に送り、製品情報を提供するのが基本でした。しかし、近年、知名度を上げるために、CESなどの大きな展示会でプロモーションを行っています。例えば、以前Phantom 2 vision plusの発表は、NABshow(国際放送機器展)で公開し、大きい反響を得ました。できるかぎり多くの展示会への出展は、これからも続けます。
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Inspire1ユーザーなのですが、Phantomシリーズのように早く新しいバージョンを待っています。この秋に開かれる展示会などで新製品は発表されますか?
我々の製品は早いスピートで進化しています。近い将来の展示会で新製品をお披露目できるかもしれないですね。この秋には、「Drone World Expo(サンノゼ)」と「Inter Drone(ラスベガス)」などに参加する予定です。世界規模で見るとさらに他の展示会にも参加予定です。それはドローンに特化したイベントだけではなく、例えばヨーロッパで開催されるIFA、IBCなどの国際的な展示会にも今年も参加します。我々は、ドローンをもっと楽しく有効活用できるコミュニティーを探し続けていきます。
世界へ広がる大規模な企業となって来ましたが、今後の世界戦略をお聞かせ下さい。
そう言う意味でも、我々DJIはもっと大きなストーリーを説かないとダメと気づいたんですね。そのために、少し前にはなりますが、初めての独自イベントDJI Evolutionを開催しました。そこでは、Inspire ONEを発表しました。私達はそこで、歴史、ビジョンを語り、Aero technologyを使った人の交流の場も作りたいと考えました。その時のライブ配信を見ていた人は、50,000人を超えました。
つい最近は、Phantomの操縦スキルを競うDJI Gamesも開催しました。DJI gamesの発案人は、Ryo Rexという日系人のスタッフですよ。初回はオーストラリアで開催しました。日本でも同じようなイベントを開催したいと思っています。詳細な日程はまだ決めていませんが、楽しみにしておいてください。
私たちはドローンに関しておきなストーリーを求めていますが、そのドローンの使用方法もさらに考えていきたいと思っています。火事の救援、医療、農業、そしてDrone.jpの方々のように取材などジャーナリズムの分野でも多く活躍することが考えられます。さらに私達はストーリーを語り、もっと大きい市場を作り、期待に応えていきたいと思っています。
日本では最近ドローンの規制が厳しくなっています。メーカーとしてはどう考えていますか?
世界規模になるかと思いますが、ドローン飛行のRegulation(規制)についてですね。今世界中で、ドローンの需要が強くなっています。ドローンを手に入れる事は容易になってきていますが、飛行させる場所の問題があります。規制されている状況下で規則を遵守して飛行させることがまず大前提です。逆に規制がない場合は、問題ですね。
もう一つの例は、心無い誰かがドローンで作為的に事故を起こす場合、その責任はドローンの責任になるでしょう。ドローンのイメージは良くないものとなります。我々、飛行に関してルールそして法律が整備されることを望みます。安全を保障できる規則。もちろん開放的なイノベーションにつながるものを期待します。
DJI A2 FlightController
安全面でいうと我々も様々な面で開発をしています。特にフライトコントローラー(制御)部分に関しては自信があります。DJIのフライトコントローラーはとても安定しています。強風にも対応できますし、多くの設定に対応可能です。他社とのハードウェアと整合性もかなり高いものです。
他のメーカーが我々と同じレベルのフライトコントローラーを作るのは、手前味噌になりますが無理かもしれませんね。もちろん他社も追随してきますので、我々はさらに高性能で安全な、フライトコントローラーそして製品を生み出していきますよ。その開発のシステムは、門戸を開放し、多くのユーザーと連携したいと思っています。そのためのプラットフォームやSDKも用意しています。
開発といえば、ハッカソンを始め、開発イベントが盛んですが、日本での展開はいかがですか?
日本での展開で考えているのは、ディベロッパー向けのチャレンジイベントを開催したいと思っています。Skyfundチームにも参加してもらう予定です。私達の日本オフィスは近々お台場に移転します。世界中のドローンニュースを収集し、日本語に訳する専門のチームもある。日本のマーケットは可能性があって大きい市場です。
我々は、日本の開発者そしてユーザーともっと接触したいと思っています。またビジネスパートナーも探しています。もうしばらくお待ちくださいね!
DJIが描くマイルストーン
そして最後に気になる他社のことについても聞いてみた。
クリスアンダーソン率いる3DRについてどう思いますか?
3DRとは、製品そのものよりも開発に関することが一番大きいかもしれません。我々DJIとはSDKに対する考え方が違います。彼らは、基本オープンソースなスタイルを取っています。開発者はとっては、より簡単にシステムで開発できるのが一番のメリットでしょうね。しかしDJIにとって、大事にしてるのはフライトコントローラーの安定性と信頼性です。そのため私達のシステムの情報を一部開示しないのは、飛行の安全を保つためということもあります。
これまでDJIといえば、 GoProのカメラだと思いましたが、現在はどうでしょうか?
聞かれると思いましたよ(笑)。彼ら自身が開発するドローンがどのようなものになるのかはわかりません。これは、ユーザーの選択になると思います。もし山でスキー滑走時に、セルフィー(一人称撮影)したいなら、GoProはとてもいいカメラだと思います。ただ、それが空撮の場合は、GoProは良い選択ではないと思います。
GoProのカメラは空撮に対応していないんですね。機体も空気力学の原理を従って作られたものではありません。筐体のバランスも良いとは言えないんです。そこで我々は最適化されたカメラを開発することになったんですね。そうして高品質カメラをDJI自身で提供ができるようになりました。静止画撮影ではRAW・DNGを選択でき、通常のJPEG画像よりも広いダイナミックレンジを持っています。動画はオートモードとマニュアルモードでの撮影が可能です。自動モードは、上空のシーンに応じて、ISOとシャッタースピードを調整してくれる。またコントローラーでEV値を微調整可能です。このように空撮時に調整可能ですので、映像編集プロセスを簡略化することもできます。
Phatom3以降は、4K映像撮影可能ですし、YouTubeでライブ放送することも可能になりました。写真も直接ネットにアップロードでき、空撮ということであれば、私自身もGoProではなくDJIのカメラを勧めますよ(笑)。
エントランスが特徴的なDJI本社