その試作機を、5月13日より横浜にて開催されるロボット工学とオートメーションに関するIEEE国際会議「ICRA(International Conference on Robotics and Automation)2024」のソニーブースにおいて初公開する。
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少子高齢化による労働人口の減少などを背景に、医療分野では医師の不足や負担の増加が深刻化している。そうした中で、高度なスキルが求められる外科手術分野においては、医師の精密な作業をサポートする手術支援ロボットの活用により、医師の負担軽減や高度医療の普及促進が期待されている。
本試作機は、血管や神経といった微小な組織を、顕微鏡などを用いながら処置するマイクロサージャリーの支援を想定し、ソニーの研究開発組織が技術開発のために試作したロボットだ。
高感度な操縦デバイスで捉えた医師の指先の動きを、人の手首のように滑らかに動作する手術器具で縮小して再現する。また、従来のロボットによる手術支援では、器具の手動交換に時間を要していたが、本試作機は手術器具を小型化し、器具の自動交換を実現した。
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これにより、広範な手術工程をロボットが支援し、非常に繊細な作業が求められるマイクロサージャリーにより多くの医師が対応できるようになることを目指すという。
2024年2月には、愛知医科大学において本試作機を用いた実験が行われ、マイクロサージャリーを専門としない医師および医療従事者により動物の血管(直径約0.6mm)の吻合に成功した。これは、自動での器具交換が可能な手術支援ロボットを用いて微小血管吻合に成功した世界初の事例だ。
今後、ソニーは大学の医学部や医療機関などと協働し、手術支援のためのロボット技術の開発とその有効性の検証に取り組むという。そして、ロボット技術の提供を通じて、医療現場の課題解決や高度医療の普及に貢献することを目指し、研究開発を進めていくとしている。
主な技術の特長
手術器具の小型化により実現した自動器具交換
手術器具を独自開発し小型化することで、複数の器具をロボットアーム付近へコンパクトに収納。これにより、左右のアームが小さな動作で器具の着脱を行い、人が介在しなくても短時間で手術器具を交換できる。
高感度な操縦デバイスと小型・多関節の手術器具
マイクロサージャリーで重視される安定的かつ精密な操作を可能にするため、人の指先の微細な操作を高感度に捉えることができる、小型・軽量な操縦デバイスを開発。また、手術器具の先端には複数の関節を設け、人の手首のように滑らかに動作する。これらにより、ロボットの介在を感じさせない軽快な操作感を目指す。
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高精細な4K映像技術
患部や手術器具の動作を高精細に確認できるように、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社が開発した1.3型4K OLEDマイクロディスプレイを活用した。色や質感、奥行きなどを忠実に再現する4K映像を出力することで、視覚でも医師の作業を支援することを目指す。