本協定は、JAXAが公募した超小型衛星ミッションで開発された衛星を打ち上げる民間事業者を選定するもので、スタートアップ等による宇宙輸送サービスの事業化を打上げ発注契約によって支援するものだ。
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日本政府は2030年代前半までに、国や民間ロケットを活用して国内の打上げ能力を年約30件確保するとの方針案を示しており、インターステラテクノロジズは引き続き、信頼性とコスト競争力を両立させた小型ロケット「ZERO」(以下ZERO)の開発を通じて、国内の自立的な宇宙アクセス維持・拡大に貢献していくとしている。
低価格な民間宇宙輸送サービス実現へ、研究開発と打上げ契約発注の両面で支援獲得
本協定は、超小型衛星ミッションを公募し、JAXAが選定した民間輸送サービスで打ち上げるJAXA-SMASHに基づき締結したものだ。インターステラテクノロジズは今後の発注契約において優先される「打上げ事業者A」として選ばれた。
日本政府は、2023年6月に閣議決定された新たな宇宙基本計画に基づき、2028年度以降には政府・民間を問わず国内すべての衛星が国の基幹ロケットまたは民間ロケットによって打ち上げられ、海外需要も取り込んでいくことを目標に掲げている。
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インターステラテクノロジズは2023年9月、スタートアップ等による研究開発を促進する文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」にも採択されており、低価格で高頻度な民間宇宙輸送サービスを国内で早期に実現するため、研究開発と打上げ契約発注の両面でサポートされるという。
競争力のある価格と専用打上げが強み
ZEROは、近年の市場拡大を牽引している小型サイズの衛星をターゲットにした小型ロケットだ。民間単独では国内初となる宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」で得られた知見を土台に、初号機打上げを目指して開発を進めている。
ZEROが提供する宇宙輸送サービスは、一気通貫の開発・製造体制で実現する1機あたり打上げ費用8億円以下(量産時)の「競争力のある価格」と、多様化する衛星のビジネスモデルに合わせて専用に打ち上げる「柔軟性」が強みだ。国内やアジア・オセアニア諸国の衛星事業者に対しては発射場が近く、打上げまでの手間やコストがかからない「利便性」も提供価値として付与していくという。
最大衛星重量はLEOに800kg、アジア・オセアニア市場でのポジション確立へ
ZEROがターゲットとする小型衛星の重量は、100~200kg級がボリュームゾーンだ。ZEROは昨今のトレンドを見据え、国内をはじめ海外の旺盛な需要も取り込んでいくため、搭載可能な衛星重量を地球低軌道(LEO)に最大800kgを打ち上げられるロケットに能力増強を図った。
これにより国内の自立的な宇宙輸送サービス構築に貢献するとともに、アジア・オセアニアや欧州市場におけるポジションを確立していくとしている。
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ロケットZEROの仕様
全長 | 32 m |
直径 | 2.3 m |
全備重量 | 71 t |
エンジン基数 | 一段目 9基、二段目 1基 |
推進剤 | 燃料 液化メタン(液化バイオメタン)、酸化剤 液体酸素 |
打上げ能力 | LEO 800 kg / SSO 250 kg ※将来最大能力 |