NTTグループは、大容量・低遅延・確定遅延の特徴を持つIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下:APN)※を活用して、現場の建設機械と遠隔操作システムを接続することで、違和感のない遠隔操作が可能になることや、現地での作業と近い環境を実現可能になることなどを、各社との実証で確認している。
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その成果として、NTT R&D FORUM 2023-IOWN ACCELERATIONでデモンストレーションを実施した。
※IOWN APN:IOWNは、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成される。
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった低消費電力、高品質・大容量、低遅延を達成する。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供できる。
今回のデモンストレーションを通じ、APNを活用した建設機械の遠隔操作が作業環境の改善・効率化、および安全性の向上に繋がる可能性があることを確認した。
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NTTイードローンは、適用エリアや活用するユースケースの拡大にむけて、ドローンによる工事現場の監視等との組み合わせによる提供価値の拡大にむけて積極的に協力し、建設業界における長時間労働の改善や多様な人材確保等の社会課題の解決に貢献していくとしている。
加えて、政府において航空法に関して今後制度整備が予定されている、いわゆるレベル3.5等の目視外飛行への、当該技術の活用も検討していくという。
背景
昨今の建設業界は、人手不足、長時間労働、技術者の高齢化などが深刻化している。また、2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることから、作業の効率化や雇用の多様化等の働き方改革が求められており、建設機械の遠隔操作による課題解決に期待が高まっている。
建設機械の遠隔操作は、実際の工事現場で導入され始めているが、広大な敷地において土を掘ってダンプカーに積む作業等、活用するエリアや適用するユースケースが限定的になっているのが現状で、十分な普及に至っている。
今後、本格的な利用エリアの拡大や、より精緻な現場工程への適用等の多様なユースケースでの活用を推進していくためには、更なる操作性の向上や安全性の確保が課題となっているという。
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デモンストレーション内容
実際の工事現場の建設機械を遠隔拠点のオフィス等から遠隔操作することを想定した際の効果を確認するために、遠隔操作用コックピットをNTT武蔵野研究開発センタに、建設機械を遠隔地の現場に設置し、2拠点間をAPNで接続して遠隔操作、および遠隔で現場環境の確認を実証した。
コマツ製の油圧ショベルを千葉県美浜区のコマツIoTセンター東京に設置し、コマツとEARTHBRAINが共同開発した遠隔操作システムを利用して、APN経由での遠隔操作、およびリアルタイムでの現場環境の確認を実証した。
同実証では、本遠隔操作システムがAPNと無線を組み合わせて更なる低遅延化の実現による操作性の向上、および現場でのより迅速な環境構築による利便性の向上や様々な環境下での利用の可能性を確認。その際、NTTイードローンが取り扱っているドローン(ANAFI Ai)を活用し、現場の映像をフルHDの解像度で画質劣化なく伝送することで、遠隔地にいるオペレーターが現場の状況を正確に把握する支援を行った。
使用した機体
ANAFI Aiは世界初の量産型コネクテッドドローン。