ARAVによると、建機遠隔操作システムに加えて、高精度な位置情報把握システムや低遅延での映像伝送などを組み合わせた実証を行うことで、除雪車の自動運転実現を目指す。
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背景
少子高齢化が進む中で、豪雪地域における除雪作業員の担い手不足や経験のある作業員の高齢化が課題となっているという。これらの課題解決に向けて、NTT Comは昨年度、自治体と連携し、5G通信で伝送されるカメラ映像を確認しながら除雪車を遠隔操作する実証実験を実施したが、将来の自動運転を見据えると操作の安全性向上とより詳細な操作データの収集が必要という課題が見えてきた。
同実証ではNTT Comの各種ソリューションとARAVの建機遠隔操作システムという新たな組み合わせにより、除雪車の自動運転実現に向けた技術検証を行った。
同実証の概要
概要
実施日 | 2023年11月22日 |
実施場所 | コックピットの配置:NTTドコモ東北ビル13F 5Gオープンラボ(宮城県仙台市) 除雪車の配置:KOIL MOBILITY FIELD(千葉県柏市 柏の葉スマートシティ「イノベーションキャンパス地区」内) |
実施内容 | 宮城県のコックピットから直線距離約400km離れた千葉県に除雪車を設置し、ハンドルやアクセルなどの操作を遠隔から実施 |
同実証の成果
導入障壁の低減および低遅延な映像伝送を実現
映像伝送には株式会社ソリトンシステムズが開発したZao SDK※を使用し、モバイル回線に最適化した独自の技術を車両搭載用に小型化した機材へ組み込み、無線環境においても低遅延での映像伝送を実現。これによって、光回線の引けない場所でも導入できるため場所の選択肢の幅を広げることで導入障壁を低減するだけでなく、低遅延により安全性向上を図る。
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※ Zao SDKとは株式会社ソリトンシステムズが開発・提供する映像伝送システム「Smart-telecaster」の最新モデル。モバイル回線を使用し、独自の回線冗長機能により途切れず超短遅延で映像伝送できる機能に、制御信号の伝送機能を追加し、小型のシングルボードコンピューターでの稼働を実現したもの
安心安全な通信環境を実現
インターネットを経由することなく通信処理を行うことができるdocomo MEC※を活用することで、外部からの乗っ取り被害の防止と、高精彩映像のリアルタイムな伝送が可能となりました。
※ docomo MECとは利用するデバイスにできるだけ近い場所にサーバーを配置するとともに、独自ネットワーク内で通信を行うことにより5Gのリアルタイム性・セキュリティ性を向上させるMulti-access Edge Computingの技術を使ったサービス
高精度な位置情報測位と除雪作業のデータ化を実現
Mobile GNSS※で得たセンチメートル精度の正確な位置情報を使用し、IoT Connect Gateway※、Things Cloud※を用いて除雪車の位置データや操作データの蓄積及び可視化を行うことで、操作のフィードバックによる操作性向上のみならず、自動運転の実現に向け必要な機械学習用のデータ収集を行った。
※ Mobile GNSSとはNTT Comが提供する、新開発したアンテナ・バッテリー・LTEモジュール内蔵の超小型GNSS受信端末(MTRTK3)・通信サービス(IoT Connect Mobile Type S)・GNSS位置補正情報サービス(docomo IoT 高精度GNSS位置情報サービス)をワンパッケージにした、RTK測位技術を活用した高精度位置情報測位サービス
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※ IoT Connect GatewayはNTT Comが提供する、IoTデバイスの処理負荷やデータ量を気にすることなく、クラウド側のインターフェース仕様に合わせて簡単・セキュアにクラウド接続できるゲートウェイサービス
※ Things CloudはNTT Comが提供する、デバイス接続からデータ収集、可視化、分析、管理などIoTの導入に必要な機能・プロセスを、ノンプログラミングで簡単・短期間に実現できる機能やテンプレートを提供するIoTプラットフォーム
各社の役割
ARAV | 除雪車を含む建機遠隔操作システム Model Vの提供 |
NTT Com | 下記ソリューションの提供。 ・Smart-telecaster Zao SDK ・docomo MEC ・docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス ・IoT Connect Mobile Type S ・Things Cloud ・IoT Connect Gateway |
今後の展開
NTT ComとARAVは、除雪作業のユースケースにおける必要な技術的要素や学習データなどをブラッシュアップしながら自動運転実現に向けて取り組むことで、除雪分野の課題解決に貢献していくとしている。