モータ一体型ポンプが液化水素(-253℃)により満たされた極低温の状態(浸漬状態)で、小型電動モータによる高速回転を実現し、液化水素を送り出すことに成功したのは世界初という。
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日機装は水素航空機の研究開発を進める川崎重工業株式会社から、液化水素ポンプ開発の委託を受けており、2025年度に納入することを目指している。
背景
燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素を燃料とする水素航空機は、航空分野の脱炭素に向けた次世代の航空機として有力視されているという。水素は液化すると気体の800分の1まで体積を圧縮できるため、液化水素が燃料に採用されている。
川崎重工は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」に「水素航空機向けコア技術開発」を提案し、21年11月に採択された。日機装は川崎重工から再委託を受け、液化水素ポンプの開発を担当している。
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液化水素ポンプの特徴
今回、日機装が開発している液化水素ポンプは、液化水素を燃料タンクからエンジンポンプへと昇圧して送液するブースタ・ポンプだ。航空機用ポンプは小型・軽量であることが求められ、また水素は低密度で昇圧しにくいことから、日機装は従来のポンプ設計よりも高速回転の電動モータを開発し、必要な圧力や流量を確保することを目指した。
熱収縮率の異なる金属で構成されるポンプを、極低温の液化水素が満ちた状態で高速回転させるには高い技術力が必要だが、日機装はLNG(-163℃)など極低温流体に対応した産業用特殊ポンプにおける製造実績が豊富だ。この経験から培ったノウハウを活かしながら、液化水素の極低温下でも高速回転が可能なモータや高速回転に耐えうる軸受、高効率なポンプなどの設計・開発を行っているという。
実験の成果と今後の展開
実験は6月に、JAXA角田宇宙センターにおいて実施し、設計通りの良好な結果を得た。実験で得られた結果を分析し、さらなる小型・軽量化と長寿命化を目指して、試作機の改良を行っていくとしている。