インターステラテクノロジズは、エア・ウォーター北海道より供給されるLBMを使い、今秋にも北海道大樹町の宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」内「Launch Complex-0(LC-0)」にてエンジン燃焼器単体試験を予定している。
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性能や調達性に優れ、地球環境に優しい燃料でロケット打上げ
液化メタンは価格、燃料としての性能、扱いやすさ、入手性、環境性などが総合的に優れた燃料で、SpaceX社(米国)のスターシップをはじめ、近年、世界的に採用するロケット会社が増えているという。ロケット燃料には不純物を含まない高純度メタンが必要なため、インターステラテクノロジズは燃料に液化メタンを選定した2020年以来、その調達方法を検討してきた。
一方、エア・ウォーターグループは北海道十勝エリアを中心に、家畜ふん尿から発生するバイオガスを、LNG(液化天然ガス)の代替燃料となるLBMに加工し、域内で消費する地域循環型のサプライチェーン構築に取り組んできた。2022年10月には、帯広市にLBMの製造工場を国内で初めて稼働させ、食品工場、LNGトラック、船舶燃料等への燃料供給に向けた実証を進めている
今回の試験で使用するLBMは、バイオガスの主成分であるメタンを分離・精製し、約-160℃で液化したもので、従来ロケット燃料に使用される高純度メタンと同等の純度(99%以上)となる。インターステラテクノロジズは性能面に加え、調達性にも優れていることから、エア・ウォーターのLBMをZEROの燃料として採用することに決めた。
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地球温暖化や環境問題に具体的に貢献
エア・ウォーター北海道は2021年5月より、インターステラテクノロジズの企業向けパートナーシッププログラム「みんなのロケットパートナーズ」に加入し、これまでも各種試験で使用するLNGの供給やタンクの製造をはじめ、技術・物資面で支援してきた。
メタンは二酸化炭素に次いで影響の大きい温室効果ガスであり、牛から出るメタンの排出量低減は地球温暖化における課題となっている。また、地域内では家畜ふん尿に起因する臭気や水質汚染などが社会問題となっており、インターステラテクノロジズとエア・ウォーター北海道はLBMの使用により、ロケット重量の大半を占める燃料をサステナブルにすることで地球温暖化対策に具体的に貢献するとともに、酪農が盛んな北海道に本社を置く企業としてエネルギーの地産地消や環境問題対策に寄与していくとしている。