建設現場の労働力不足の解決を目指したこのテスト環境での実証実験を踏まえて、今回実際の建設現場において、建設未経験者によるロボット遠隔操作で、現場技術者の鉄筋結束作業の約8割をロボットに置き換えることに成功した。実際の建設現場でのロボットによる鉄筋結束作業は日本で初めてだという。
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背景・目的
超高齢化と少子化の課題先進国である日本において、人手不足は深刻な状況にあり、特に地域経済を支える建設や農林水産業、介護などの現場において魅力的な職場環境への転換は急務で、ロボットの活用が期待されている。中でも建設業界は、猛暑や極寒等の厳しい天候への対応や、中腰姿勢等の無理な体勢よる健康被害の防止、危険作業への対応などの労働環境の諸課題があり、ただでさえ不足している現場技術者不足をより深刻にしている。
このような状況に対し、NTT西日本と建ロボテックはすでに現場導入が進んでいる鉄筋結束ロボット「トモロボ」を利用。現状の現場作業の課題を解決するべく、
- 遠隔操作による現場技術者の負荷低減
- 簡単なGUI※4 により、誰でも業務ができる環境構築
を目指し、「トモロボ」に遠隔操作システムを機能追加する開発を進めたという。
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また、今回の実証実験は、NTT西日本の旧本社ビル跡地の建て替え現場にて実施し、操作の実用性や現場評価について検証を行った。
実証実験の内容
実施日 | 2023年5月2日(火)、2023年5月8日(月) |
実施場所 | 建設現場:NTT西日本 旧本社ビル建て替え現場(大阪府大阪市中央区馬場町3-15) |
遠隔操作 | 建ロボテック 本社ビル(香川県木田郡三木町大字上高岡246番地2) |
実施内容
- 「どこでも」操作できる遠隔操作システムの開発
- ロボットに搭載されたカメラ映像を見ながら、ロボットを遠隔操作・制御
- ロボットの稼働に関するステータス情報(例:作業量(結束数)、移動履歴、バッテリー残量)をクラウドにアップロードし、遠隔操作者が現場技術者と同等に状況把握
- 「誰でも」操作できる簡単な操作画面(GUI)の開発
- トモロボに設置した合計 6 カ所のカメラによる現場状況の把握
- 進行方向の決定や発進等の基本指示を出した後は、ロボット自体が自走する簡易な操作性
実証実験の結果
実証実験の結果、現場技術者による鉄筋結束作業の80%をロボットへ置き換えに成功した(トモロボによる削減効果約50%、遠隔操作による削減効果約30%)。
今回のロボットとその遠隔操作による現場作業削減により、鉄筋結束作業に関わる現場技術者の稼働は約20%に抑えることができ、より高度な業務に従事可能となったとした。
今後について
NTT西日本は、同実証実験の結果を踏まえ、実際の建設現場の課題に向き合う鉄筋事業者様と共に、日本の建設現場の様々な環境に適応したサービスの具体化検討を実施していくとしている。
また、上記にあたり、共に建設現場のロボットによる課題解決に向き合うディベロッパー、鉄筋事業者を広く募集、早期の社会実装を目指すとしている。