本実証実験では、大規模災害が発生し、陸路が利用できない場合や、遠隔医療と組み合わせた地域医療への貢献などを見据え、空路での医薬品配送の実用化に向けた課題の抽出や運用ルールについて検証を行ったという。
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背景
和歌山市南部の和医大周辺は、南海トラフ大地震が発生した際に、2~5m規模の津波が到来すると予測されており、このような大規模な震災の発生により陸路が利用できない場合でも、医薬品を必要とする患者への供給が滞らない供給網の構築が求められている。
このような中、3者はドローンを活用した医薬品配送の可能性を検討してきたという。
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国土交通省より「レベル4」飛行の段階的な飛行実現を可能とするロードマップが示されたことを受け、本実証実験では、ドローンによる医薬品配送の可用性を検証するとともに、運用課題の抽出を行った。
本実証実験の概要
本実証実験では、医薬品卸業者であるケーエスケーが、和医大から医薬品の発注を受けたことを想定し、和歌川河川公園テニスコートから病院内施設屋上まで、ドローンにより偽薬を配送した。
配送ルート
各者の役割
ケーエスケー | ・医薬品の適正流通ガイドライン(GDP)のノウハウ提供 |
・医薬品卸目線(供給者)でのプロジェクト参画 | |
和医大 | ・医薬品受領対応 |
・医療機関目線(受領者)でのプロジェクト参画 | |
NTT Com | ・ドローンベンダーとの連携 |
・「LTE上空利用プラン」の提供 | |
・ドローン運航支援(ネットワーク品質の確認) | |
・ AI顔認証ソフトウェア「SAFR」の提供 | |
・温度センサー、加速度センサーの提供 | |
・かんたん位置情報サービスによる位置情報の提供 |
本実証実験における検証結果
(1)輸送品質 | |
保冷ボックスの内部には温度センサーと加速度センサーを搭載し、内部が適切な状態で輸送できているかを確認しながら、和歌川の上空を通過する「レベル2」の飛行カテゴリにて、7分36秒で約1.5km離れた和医大図書館棟屋上まで配送した。 | |
(2)顔認証による受領者確認 | |
到着したドローンから、病院関係者が偽薬を受領する直前に、AI顔認証ソフトウェア「SAFR」を用いて顔認証による受領者認証を行い、病院関係者が適切に受領していることを確認する仕組みを取り入れた。 | |
(3)ドクターヘリ指令室との連携 | |
和医大の付属病院は全国47都道府県にて56機が運用されているドクターヘリの基地病院であるため、実運用を見据え和医大院内のドクターヘリ指令室との連携を確認した。 本実証実験の予定時刻で、ドクターヘリの出動が3回発生しましたが、ドクターヘリ司令室とも綿密な連携を行い、飛行時の安全確保を十分に確認したうえでドローンを飛行させた。 |
今後の展開
本実証実験の実施により、配送時間や品質管理面では十分に実運用が可能であることが確認できたという。一方、天気などの外的要因により飛行できない場合のバックアッププランの策定など、実運用時の課題を明確にした。
この結果を受け、今後も3者が連携し、レベル4での飛行検証や、和歌山県内に複数ある、へき地診療所およびその周辺に住まわれている患者様への医薬品提供を想定した実証実験を行う予定とのこと。