同社は、企業・団体16社にて「実証コンソーシアム」を構成し、同実証事業を秋田県大仙市、潟上市、鹿角市、美郷町で実施。ローカル5Gの環境構築は同社マネージド型ローカル5Gサービスの「ギガらく5G」を利用する。
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実証に至った背景
高齢化・人口減少社会を迎えて脆弱化が懸念される国内食料生産基盤の強靱化を図るため、スマート農業技術の生産現場実証により超省力化技術の社会実装を実現し、生産性・利益の向上を図る必要がある。しかし、最先端スマート農業技術導入による生産コストの増加に伴い、経営体の利益は必ずしも改善しておらず、社会実装加速の妨げとなっている。
スマート農業の社会実装加速に向けては、産地単位での作業集約やシェアリングモデルの実証を通じて生産コストの低減を実現することが求められているという。このような状況の中、同実証では、生産から販売に至るフードチェーンの各段階でローカル5Gの高速伝送を活用し、高精細動画やリアルメタバース技術などによる産地活性化モデルの実現を通じた生産コストの低減を目指すとしている。
主な実証内容
技術実証
同実証ではビニールハウス2拠点と道の駅1拠点をフィールドとして各拠点にローカル5Gの基地局を1基ずつ設置し、技術実証を行う。ルーラルエリアに位置するビニールハウスと道の駅それぞれにローカル5Gシステムを整備し、電波伝搬特性を測定することで、エリア構築に関する技術の確立およびエリア構築の柔軟性向上を目指す。
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課題実証
生産から販売に至るまでの各過程でローカル5Gを活用し、超省力化をめざした以下取り組みを実施する。
- リアルメタバース技術とAI画像認識を活用した遠隔指導・収穫敵期判定
- イチゴ収穫・運搬ロボットの遠隔制御
- リアルメタバース技術を活用した遠隔ショッピング
シェアリングや作業集約など普及性を考えたデータ駆動型農業を実現することで、持続可能な農業経営・所得向上をめざし、産地活性化モデルを実証する。
実証期間
2023年1月4日~2023年3月末日
※同実証事業終了後は、構築したローカル5Gシステムを活用し、農林水産省「スマート農業実証プロジェクト」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)と連携し、課題実証作業に取り組んでいくとしている。
実証スケジュール
- システム構築は2022年12月下旬に完成
- 技術実証において、電波特性試験などを実施。2023年1月下旬に作業完了
- 課題実証では、ローカル5Gを活用した自動収穫ロボットやAI画像認識などによる農産物の生産・収穫工程の省人化やメタバースを活用した遠隔ショッピングにおける販売効果を実証。2023年2月中旬までを予定
現場での関連機器の設置模様
コンソーシアム構成メンバー(16社)の役割
機関名 | メンバーとする理由、主な役割 | |
---|---|---|
代表機関 | 東日本電信電話株式会社(NTT東日本) | 同実証東日本地域における地域電気通信業務の他ICTなどのサービスを提供。ローカル5Gの社会実装加速に向け、産学共同で「ローカル5Gオープンラボ」を設立し、パートナー企業や大学などとユースケースを共創。同実証では代表機関としてプロジェクト全体の統括・推進を行うほか、電気通信事業者として、ローカル5G環境を構築すると共に、各種環境・作業データ取得用のネットワーク構築などを担当。 |
共同実証機関 | 株式会社ポケット・クエリーズ | 「ゲームのちから」を実用ソリューションに転用するという事業理念に基づき、VR/MR/XRなどを活用した事業を展開。同実証においてはローカル5Gを活用した技術指導と生産現場監視のリモート化及び道の駅へのリアルメタバース遠隔ショッピング技術提供を実施。 |
株式会社秋田食産 | 秋田県内において、新規作物の生産パイオニアとして、リーダー的存在としてイチゴ・コーヒー・バナナなど栽培に従事。同実証では、一貫体系技術を導入した圃場でのイチゴ・コーヒー栽培の生産および営農データ取得などを担当。 | |
秋田県仙北地域振興局 | 秋田県の大仙市、仙北市、美郷町の農業振興を担当し、「新ふるさと秋田農林水産ビジョン」の実現に向け、各種普及推進事業を立ち上げて農業の振興に資するスマート農業の実証・社会実装|に従事。同実証ではイチゴ栽培などの技術アドバイス及び実証後の地域普及を担当。 | |
大仙市 | 大仙市の農業を核とした産業ブランディング推進事業「稼ぐ農業」の実現に向け、収穫を楽しめるまちづくり、新たな企業を誘致するアグリテック集積、大曲花火大会に次ぐ観光分野への展開・施策を推進。同実証では地域行政の立場から儲かる農業都市の実現に向けてのアドバイスや支援を担当。 | |
美郷町 | 美郷町の農業者育成確保、新規就農者支援、普及活動の推進及び試験研究推進などをミッションとしており、農業振興に寄与。同実証では、実証内容の効果確認及び今後の地域普及を担当。 | |
潟上市 | 潟上市の農業者育成確保、新規就農者支援、普及活動の推進及び試験研究推進などに寄与。同実証では、実証内容の効果確認及び今後の地域普及を担当。 | |
鹿角市 | 鹿角市道の駅おおゆに対する集客人数や収益拡大を見据えたデータ推移の確認。道の駅で実施するリアルメタバースを活用した遠隔ショッピングの管理と技術普及を担当。 | |
株式会社NTTアグリテクノロジー | NTTグループ初の農業専門会社として2019年7月に設立。一次産業の課題解決に向け、自治体向けコンサルティングの他、IoTを活用した生産性向上や省力化を実現。同実証では、病害防除、各種環境・作業データの活用によるデータ駆動型農業を担当。 | |
株式会社フィデア情報総研 | 生産者や地域の経営向上に向けて取得したデータを経営面から分析し、改善効果および将来へ向けた持続的成長に関する検討及びアドバイス・支援を担当。 | |
秋田県立大学 | 次世代農工連携拠点センターとして「アグリイノベーション教育研究センター」が設置され企業や市町村などと連携して最先端技術の取組みを実施。同実証では、農工連携向け情報基盤構築における各種モデルのアーキテクティングやシステムデザインマネージメントの遂行、および、農業分野における適材適所なNW構築に向けたアドバイスを担当。 | |
国立大学法人福島大学 | コーヒー栽培圃場を教師モデルとした、データ共有及び遠隔指導法の確立におけるアドバイス・支援を担当。 |