12月19日、株式会社IDDKは、人工衛星にて微小重力環境を利用した製造実験プラットフォームの開発を行うSpace Forge社と業務提携を締結し、共同で民間主導による宇宙バイオ実験の実証を行うことを発表した。
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Space Forgeは、2023年前半に人工衛星による微小重力環境における製造の実証のために、実証機Forge-Star-0を地球低軌道上に打ち上げる。両社は、宇宙でのバイオ・ライフサイエンス実験を行うための持続可能なプラットフォームとして、IDDKの開発するワンチップ顕微観察技術(MID)を用いた小型バイオ実験室をForge-Starの中に構築するという。IDDKのMID技術を用いた超小型3次元蛍光顕微観察デバイス開発については、JAXAが実施する第8回研究提案募集にも採択されている。
微小重力環境における宇宙バイオ実験は、これまで国際宇宙ステーションにて研究から産業用まで幅広く実施され、筋ジストロフィーの新薬開発に貢献するなど様々な成果が実証されてきた。一方で、国際宇宙ステーションにおける実験では、利用できる国や企業が限られている、価格が不明瞭で産業利用においては採算が取れない、実際に宇宙で実験するまでのプロセスが複雑で長い等、様々な課題があるという。
今回のIDDKとSpace Forgeによる試みは、今まで国主導にて行われてきた宇宙実験を民間主導に移行していくための第一歩となる。宇宙実験のプラットフォームとして、有人の国際宇宙ステーションではなく人工衛星を用いることにより、国際宇宙ステーションの運営に携わっていない国の企業にとっても宇宙実験環境へのアクセスが容易になる。また、無人のプラットフォームとなることから、従来よりも安価で緩和された手続きとなり、実験可能な範囲の拡大も期待される。
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IDDK代表取締役社長 上野宗一郎氏コメント
宇宙でのバイオ実験は新薬の開発に貢献する可能性があるなど、人々の便益となることが、国際宇宙ステーションの実験成果で分かっています。IDDKは独自技術により、国主導で国際宇宙ステーションにて行われてきた宇宙バイオ実験を民間主導へ移行することを目指します。
この実現のため、日本のみならず、世界中でパートナーシップを構築していくなか、今回、新たにSpace Forgeとの提携を進めることができたことは、顧客に対して大きな付加価値となると考えています。今後、各国地域との連携も深め、民間主導による宇宙バイオ実験のプラットフォームを構築していきたいと考えています。
さらに、宇宙空間で人類が安全に活動を行うためには、微小重力や宇宙放射線などの特殊な環境が人や生物にどのような影響を与えるかを研究する必要があります。人類が宇宙空間での活動の幅を広げていく上で、今後数年間が重要になると考えております。
Space Forge 共同創業者兼CEO Joshua Western氏コメント
Forge-StarプラットフォームにてIDDKとの提携で宇宙バイオ実験のデモができることを嬉しく思います。 私たちにとって、宇宙環境へのアクセスを容易にし、地球上の人々のために宇宙の恩恵を利用できるようにすることは、私たちの使命です。 イノベーションを推進し、宇宙研究の真の市場の可能性を実現するためには、民間部門のイニシアチブが重要となると考えており、IDDKとの協力によりそれが実現できることを期待しております。