いよいよ師走、サッカーワールドカップでの日本快進撃のさなかに今年最後のコラムを書いています。残すところあとひと月ということで、香港在住ドローンユーザー視点で今年を振り返ってみます。
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2月24日 ロシアのウクライナ侵攻においてドローンが活躍
今も続く戦地からの映像には頻繁にDJIドローンが映っており敵地視察やミサイル発射の目標確認などで使われているようでした。また私が見たニュース映像ではウクライナ市民が所有するドローンを軍隊に提供しているといった報道もありました。
5月20日 DJI Mini3 Pro発売
数年前から何度かこのコラムでお伝えしているように香港DJIオンラインストアから直接購入はできませんが、香港のDJI代理店では購入できるようになりました。
This is the DJI Mini 3 Pro: Redefining what it means to fly Mini
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Discover more about this drone: https://t.co/iMawXBBYo1 pic.twitter.com/7uwmlxnEqR
— DJI (@DJIGlobal) May 10, 2022
私も代理店経由で購入し完成度の高さからとても気に入っています。このコラムでも紹介していますが、DJI Air 2SとMini 3 Proは性能的にかなり被っていると感じたこともあり、所有していた Air 2Sを友人に譲って現時点で私のメインドローンはこのMini 3 Proになりました。
6月 香港において「ドローン機体登録制度」開始
ドローンについては規制が緩かった香港でしたが、本年6月から250g以上の機体及びパイロットの登録制度が始まりました。
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緩さから街中で飛ばしていた無謀ユーザーが事故を起こしたこともあり、これも必然だと感じます。登録制度が始まったことでユーザー数は減少すると思いますが、長い目で見れば健全なドローン社会の構築に寄与すると考えます。
私もパイロット登録に加えて手持ちドローンを数台登録しました。日本と違って無料なのでユーザーにとっては嬉しいですね。
6月20日 日本において「ドローン機体登録制度」開始
2022年6月20日以降の改正航空法で、ドローン規制の対象が100g以上に引き上げられました。このコラムでも紹介しましたが、3年ぶりに日本に帰省しましたので、私のDJI Mini 3 Proも登録、所々に人的な確認が入るのか登録完了に時間がかかりすぎるという印象、もう少しスムーズなシステム設計をしてもらいたいですね。
8月25日 DJI AVATA発売(ただし日本未発売)
2021年に発売されていたDJI FPVに続く小型FPV機「DJI Avata」が発売されました。
DJI Avata is lightweight, agile, and opens up a whole world of content possibilities
Find out more about just what Avata can do with this in-depth unboxing
— DJI (@DJIGlobal) August 26, 2022
小型化された機体とゴーグルは非常に魅力的、ゴーグルを通した映像も高精細になって初代FPVよりも魅力度が増したと感じます。
11月2日 DJI Mavic 3 Classic発表
一年前に発売されたDJI Mavic 3、Cineシリーズの廉価版という位置付けでしょうか。値段も手頃で私にとっての魅力度がグンと増しています。
This is the DJI Mavic 3 Classic
It features the same 4/3 CMOS Hasselblad Camera, 46-minute flight time, obstacle sensing, and O3+ transmission system as the original Mavic 3 – delivering flagship imaging to even more creators.
Explore Vivid now: https://t.co/Eajz7sXLTp pic.twitter.com/OpAZXgrPwv
— DJI (@DJIGlobal) November 2, 2022
Mini 3 Pro付属のRCが共用できるので、機体のみ単体発売されれば購入したいと考えています。
11月22日 DJI O3 Air Unit 発表(ただし日本未発売)
先に発売されたDJI Avataからカメラ及び通信ユニットを抜き出し自作FPVドローンユーザーに使ってもらうという製品。Avata未発売の日本では当然この製品も発売されないと思われます。
Upgrade your FPV drone with the new DJI O3 Air Unit
Equipped with flagship DJI O3+ Video Transmission, the O3 Air Unit delivers a crisp ultra-low-latency feed, letting you fly with absolute confidence.
Discover More: https://t.co/DJu8gzLRBP pic.twitter.com/6ZJ7tUwPmw
— DJI (@DJIGlobal) November 22, 2022
12月5日 新制度施行開始・ドローン国家資格スタート
国家資格がスタートしたといってもドローンを飛ばすのに免許や資格が必要になるということではなく、むしろ新たに規定されたレベル4という有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)が可能になるといった、これまで不可能だったことを資格を取ることで可能にするというもののようです。
ということで印象に残っていることを時系列で並べてみましたが、特に赤色でハイライトした部分、
- ドローン規制の対象が100g以上に引き上げ
- ただし日本未発売
この2点について私見を述べたいと思います。
まず100g規制について
私の住む香港を始め、アメリカや中国などドローンユーザーが多い国でも規制対象は機体重量250g以上になっていることから、DJIを始めとするドローンメーカーは250g未満のコンシューマードローン開発に注力しており、今回のDJI Mini 3 Proはまさにその努力の結晶だと言えます。
今回日本の規制が100gに改正される以前の200g未満という規制は、世界標準より厳しいルールでしたが、DJIは日本マーケットに向けて規制をクリアした特別モデルを供給してくれましたが、さすがに今回の100gには対応できなかったと思います。
2製品が日本未発売となったことについて
2製品が日本で発売されない理由は5.8GHzという日本国内での使用が難しい周波数帯をこれら製品が使っているからだと思われます。
これまで発売された多くのモデルはソフトウエアにより日本国内での使用時には5GHz帯を無効にする処置で対応していましたが、今回は何らかの理由で日本向け対応ができなかったことから日本発売を見送ったのでしょう。
空を飛ぶドローンは危険なものであり安全を目的として規制するのは当然です。しかしだからと言って必要以上に規制を強化したり、製品仕様に足枷をはめることは健全なドローン社会の発展を阻害することに繋がりかねません。
例えばドローンは災害時の被害状況確認に役立つツールです。被災状況の確認や被災者の発見・救助などこれまでヘリコプターがやっていたことをもっ
と迅速に行えます。災害大国日本でドローンが活躍する場面は今後さらに拡大するでしょう。
その時にこういった規制が足かせとなって最新ドローンが日本に導入されなかったり、十分なスキルを持った操縦者が日本国内に育っていなかったとしたら…そんな不安が頭をよぎります。
こういった状況を考えるに日本だけが独自ルールであることは今後のドローン社会の発展を阻害するように思えてなりません。このコラムを書いているその日、ワールドカップで日本はドイツに続きスペインも撃破しました。我々世代には忘れられない「ドーハの悲劇」のあの日から今回の「ドーハの歓喜」にまで日本チームが成長したのはなぜでしょうか。
カタール・ワールドカップ代表26選手のうち実に19人が海外チームに所属しているそうで、そのような世界の強豪に連日揉まれている選手たちにとってはワールドカップも日常の延長であり、ドーハの悲劇の頃のように気後れすることなく戦えたことは成長の大きな要因だと思います。
いま日本政府にお願いしたいのは、極端なまでに安全サイドに固執するのではなく世界と同等の規制にして欲しいということです。それによって海外メーカは日本に参入しやすくなり、日本のユーザーも自由に最新機種に触れることができます。ひいてはそれがドローン社会の発展を支えることになると思います。
サムライブルーを応援しながら未来のドローン社会に思いを馳せる、そんな師走です。