株式会社空解と株式会社NTTドコモは、
ドローンによる約40km先の離島への救援物資などの運搬実証実験に成功したことを発表。
「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス(以下、高精度GNSS)」を活用し、あらかじめ設定した着陸地点に、正確に着陸したことを確認したという。
同実証実験は6月22日、沖縄県座間味村古座間味ビーチで行われた。
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ドローンの自律飛行は、長距離をいかに高精度で飛行できるかがポイント。
だが、これまでの自律飛行時に行われてきたGPSの単独測位では、誤差が数m程度発生することがあった。
また、海上や着陸時の気流の変化が激しい場所では、高度の誤差が数十m発生することもあり、自律飛行による正確な着陸は、あらかじめ着陸スペースの余裕を持たせることが必要なだけでなく、場合によっては困難だった。
マルチコプター型ドローンの航行は最長30分程度のため、長距離飛行は難しく、離島への物資配送は困難とされてきた背景がある。
今回の実証フィールドである沖縄県座間味村は、沖縄本島より北西約40kmに位置する離島で、交通手段は1日3便の航路のみ。村内に病院はなく診療所しかない。
本実証実験の目的は、災害や病気などの緊急時における座間味村の住民の不安解消だ。
緊急必需品の配送や将来的な飲料・食料などの生活物資配送を想定し、沖縄本島の豊見城市から座間味村まで約40kmをドローンで輸送した。
これは、離島への電動ドローン物資輸送の国内最長距離だという。
本実証実験に使用されたドローンは、空解が開発した新型VTOLドローン「QUKAI FUSION®︎ 2.0」。
固定翼型のいわゆる飛行機の形状でありながら、離着陸は垂直上昇、垂直下降ができる電動VTOLドローンだ。
滑走路なしでどこでも離着陸できる上に、マルチコプター型ドローンの課題だった飛行距離を大幅に改善した機体で、特殊FRP構造により高剛性を確保することで飛行の安定性を向上させているという。
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本実証実験では、QUKAI FUSION 2.0に搭載したGNSS受信機へ高精度GNSSの位置補正情報をリアルタイム配信することで、1秒ごとに数cmの誤差内の高精度測位が可能となった。
あらかじめ設定した着陸ポイントに対し、海風の影響がある中、自動で正確に着陸することに成功したという。
今回の実証実験の結果は、有人地帯での目視外飛行の実現の際、高精度GNSSを活用することで、人の手を介さず事前に計画された正確な離着陸が可能にするだろうという。
空解とドコモはこの結果を活かし、自治体などと連携して物流・防災・観光・点検など多種多様な分野でドローンを活用し、社会課題の解決を目指すとしている。
物流ドローン実証実験の概要
(以下、プレスリリースより引用)
- 実証実験実施日:2022年6月22日(水)
- 飛行経路:
- (離陸場所)沖縄県豊見城市 オリオンECO美らSUNビーチ普通
- (着陸場所)沖縄県座間味村 古座間味ビーチ
- 飛行距離:約40.81km
- 飛行時間:33分47秒
- 使用機体:QUKAI FUSION 2.0 (日本製 電動VTOL固定翼ドローン)
全長1,475mm 全幅2,100mm/機体重量2.5kg/ペイロード(貨物最大積載重量)2.5kg /最大航続距離120km/最高速度120km/h - 積載内容:医薬品、食品、飲料など