Image courtesy of TED
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ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリヒ校)教授でありドローンのエキスパートであるRaffaello D’Andrea(ラファエロ・ダンドリーア)氏が先月、「Meet the dazzling flying machines of the future(未来の空飛ぶマシンを目撃せよ)」というタイトルでTEDトークを行った。ドローンについて非常に興味深い内容であるので紹介したい。以下はTEDのウェブサイトより、プレゼンテーションの紹介文の抜粋である。映像と合わせて参考にしていただきたい。
「ドローン」という言葉を聞いた時、あなたはおそらく何か便利なもの、もしくは恐いものを想像するだろう。しかし、そこに「美しさ」はあり得るのだろうか?
空飛ぶマシンを開発する自律システムの専門家であるラファエロ・ダンドリーア氏は、最新のプロジェクトで、妨害を受けても自ら体制を立て直しホバーする「羽」や、8枚のプロペラを持ち回転しても見分けのつかない航空機、そして統率のとれたマイクロクアドコプターの群れまで、自律飛行の限界に挑戦する。TEDステージ上でホタルのように飛び舞うドローンを披露した
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トークの内容は、近年の商業向けドローンの盛り上がりの紹介から始まる。フランスのFRAC Centreで生の観客の目前で行われた、自律飛行するドローンによる1500個の箱の積み上げ実験や、数年前から実験されているロープと組み合わせた飛行等を例にあげながら、検査、環境モニタリング、撮影、そしてジャーナリズムまで、商業向けドローンが数十億ドルの市場になりつつあることが説明された。
その後、自律飛行がもたらす可能性を広げることを目的とした、彼の研究グループによる最新のプロジェクトが紹介された。まずはETH Zurichの研究室からスピンアウトしたVerity Studioによる、外部カメラを使わない位置検出を用いたデモが行われた。これらのマシンは、機体に積んだセンサーのみで自らの位置を算出し、機体上のコンピューター処理で次のアクションを選択する。Tail-sitterという、まるで一枚の羽のような形をした、ホバリング可能な機体を紹介し、いかなる状態にあっても姿勢を保つことのできる設計及びアルゴリズムを開発していることを証明するために、自ら機体を何度も上へ放り投げるというパフォーマンスも披露し、拍手喝采を浴びていた。
その後、たった一つの可動部分だけでフライトをコントロールすることができる、という発見をもとに開発したMonospinnerという、世界で最も構造上シンプルな飛行マシンを紹介し、唯一の可動部分はプロペラだけであるものの、その飛行を実現するためにコンピューター上では多くの計算が行われていることを説明した。またMonospinnerと反対に、「過剰さ」を追い求めた結果8枚のプロペラを持つOmnicopterという機体も紹介した。Omnicopterは向いている方向に関わらず空間上のどこにでも移動することができ、回転にアンビバレントとなっていることを説明した。他にも、モーターやプロペラが停止する等といった何らかの不具合があった際にも飛行を続けることのできるという、安全性と信頼性を追い求めた、二つの機体を組み合わせたマシンを紹介した。
最後に、新しい美的表現を可能にする、統率された自律飛行をとる大群のデモが行われた。特別なアルゴリズムと位置検出機能を搭載したマイクロクアドコプターが一台、また一台と登場し、最終的に何十台ものマイクロクアドコプターの群れが観客席の上を華麗に舞うというフィナーレが用意されていた。
ダンドリーア氏は最後に、自律飛行を研究する意味について語った。
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現実では、これから開花しそうなテクノロジーのインパクトを予測するのは難しい。我々にとっては、創造の行為および過程が本当のご褒美だ。我々が住むこの世界がいかに素晴らしく不思議で、かしこくクリエイティブな生き物たちがこうした見事な方法で生きることを可能にしているということをいつも思い出させてくれる。このテクノロジーが大きな商業的、そして経済的ポテンシャルを持っていることはただの副産物でしかない。
こうして締めくくられた彼のTEDトークは、観客によるスタンディングオベーションで華々しく幕を閉じた。ドローンを使った美的表現の可能性を、是非読者の皆さんにも目にして頂きたい。