バクテリアの代謝機能を活用した自己治癒コンクリートや、コンクリートの3Dプリンティングなどユニークなソリューションを提供する會澤高圧コンクリートは、今年も異彩を放つ展示を披露した。なんと、機体が置かれていない…。
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かわりにあるのは、人が何人も歩き回れるスペースと、大画面のモニター。會澤高圧は、関連会社のアラセ・アイザワ・アエロスパシアルを通じて、大型二輪エンジンを搭載した産業用ドローン「AZ-500」を開発中で、今回はHoloLens 2を活用したインタラクティブ展示を披露していた。
HoloLens 2は、現実世界に高解像度ホログラムを投影して、バーチャルオブジェクトを操作できる「Mixed Reality(複合現実)」に対応したデバイスで、Microsoftの次世代注力領域だ。
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HoloLens 2をかぶり、離陸・着陸ボタンを操作すれば、同社が開発中の世界初となる「大型二輪エンジン搭載」産業ドローンを間近で見ることができるよう工夫した。
こちらは飛行中の機体を側面からみたところ。
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ブースにある大画面モニターには、俯瞰でブースの様子を捉えた映像のうえに、HoloLens 2装着者だけに見えているホログラムをリアルタイムに重ねて表示されていた。
実際には、こんな感じ。傍目にはその感動は分かりづらいかも(笑)。
しかし、現実世界に対角2.5mもの実寸大の機体が映し出され、さらにプロペラが回って離陸する様子を目の前で見られる、飛行中の機体に好きな角度から回り込んでじっくり観察できるという、これまでにない贅沢かつエキサイティングな展示体験だった。
このようなインタラクティブ展示を可能にしたのは、會澤高圧とドローンの自律航行システムの共同開発を開始したハニカムラボの存在が大きい。
ハニカムラボは、これまでもMixed Reality技術を活用した開発をてがけており、2017年には米マイクロソフトがグローバルで展開するHoloLensおよびMRの公式開発パートナーであるMRPPの認定を受けている、日本国内でも有数のリーディングカンパニーなのだ。
こちらは、現実世界を3Dデジタル化してAIに空間認識させることでドローンが自律的に飛行ルートを計算して、全く同じ現実世界でも実際に建物を回避しながら飛行する「デジタルツイン」をHoloLens 2で具現化したプロトタイプの体験映像。
いま都市や施設などの3D化を、各国各企業が競って進めている。数年後には三次元データの産業活用が当たり前になることを見据えて、今後はハニカムラボと協働してデジタルツインの取り組みを加速するという。非GPS環境下における飛行手段として、画像認識や点群化とは全く違うアプローチであり、新たなビジネスとして伸びしろもある。
2021年9月22日には福島ロボットテストフィールドで、こちらの大型二輪エンジンを搭載した産業用ドローン「AZ-500」のデビューフライトを行うとのこと。同機の開発にはなんと、スズキ「ハヤブサ」のエンジン開発者である荒瀬国男氏がコミットしており、世界初の試みは注目を浴びそうだ。
エンジン直駆動のためパワフルかつ、長い航続時間を確保できる。いったんはペイロード搭載時にも最大離陸重量を150kg未満におさえられるよう、主な用途は防災や物資輸送を見込んでおり、設計上は40kgのペイロード搭載時にも5時間の航続飛行が可能だという。将来的には、さらなる大型機も開発して、同社が手がけるコンクリートの3Dプリンターをドローンに搭載した「空とぶコンクリート3Dプリンター」も目指すという。