Japan Drone展で年々存在感を増す、水中ドローンの展示は今年も活況だった。KDDIは水空合体ドローンの展示、日本海洋は汎用ROVの展示、ジュンテクノサービスとCFD販売は水槽でのFIFISHシリーズ操縦体験、スペースワンも水槽でのCHASINGシリーズのデモを行っていた。
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こちらは、KDDI、KDDI総合研究所、プロドローンが発表した「水空合体ドローン」。世界初の試みであり、またサンダーバードを彷彿とさせる構造が人気とのことで、展示ブースには連日多くの来場者や報道関係者が集まっていた。
水中ドローンを潜らせたい場所まで空中ドローンがLTEなどのモバイル通信で飛行し、着水後に水中ドローンが出てきて水中を点検する。空中ドローン側には水中ドローンをリアルタイムに遠隔操作やデータ伝送するテザーケーブルが搭載されており、水中作業後はケーブルを自動で巻き取って再び機体を空中ドローンに格納する。
水中構造物の点検で、これまで点検箇所まで船を使っていた場所に“飛んでいく”ことができ、両機体に音波センサーを装備すれば水中ドローンの位置情報を取得することも可能だという。
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日本海洋のブースには、アームを装着した汎用ROV「BlueROV2」が展示されていた。この機体はさまざまなセンサーを同時に複数搭載することや、用途に応じたカスタマイズが柔軟にできる。同社はセキドとともに「水中可視化システム」として提供しており、故障や対人対物損害に備えた保険サービス"セキドケア"についてもパネルで告知していた。
こちらはジュンテクノサービスとCFD販売の展示ブース。水槽が2つ設置され、続々と操縦体験を希望する来場者が訪れていた。オプションのアームを動かすところを間近に見る、水中ドローンのカメラに映った自分の姿を見られるなど、水中ドローンに馴染みのない人にもその使用感を感じられるような興味をひく工夫があった。
ブースの奥に入ると、やはり気になる各機体の価格や拡張機能説明から、FIFISH V6 PLUSに搭載できる水中ポジショニングシステムや外部給電システムの実機展示もあって、水中ドローンの多彩なバリエーションが訴求されていた。
こちらはスペースワンの展示ブース。CHASINGの最新機種、CHASING M2 PROの展示が目立った。水槽では実演デモが行われており、やはり多くの来場者が立ち止まって見入っていた。CHASING M2 PRO用に新登場した外部給電システムや、さまざまなオプション製品とのハブとなるドッキングステーションなどが、前機種にあたるCHASING M2でも続々と使えるようになりつつある、同シリーズのトレンドがよく伝わる展示だった。
CHASING M2 PROには、追加でマルチナロービーム、LEDライト、前と左右と下方向に衝突防止機能のある距離ロックソナー(10cm単位で距離指定可)、外部カメラなども搭載できる。拡張のバリエーションが増えてきたため、実機に1つずつ搭載して分かりやすく展示してあった。
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従来からあったアームも進化していた。アーム先端部分を用途に合わせて、付け替えできるようになった。写真は、砂を採取したりするためのボックス型のアーム。輪っか型のアームは対象物を引っ張って手繰り寄せるために最適化された形状だ。
そして展示会2日目には、DRONE.jp編集長も登壇したパネルディスカッション「ますます広がる実用域、注目の水中ドローン」が行われた。日本では100mよりも浅い海域でのロボット活用が進みつつあること、そうした用途に最適化された国産の機体がまだまだ少なくビジネスチャンスがあるということ、産業活用において水中ドローンを安全に運用するためのさらなる技能向上が求められていることなどが論じられた。