ドローンを通して、世の中を明るくしたい「空☆ひろし」こと二木洋です。1年ぶりの登場です。
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新しい生活様式を迎えることになったことは驚きとも言えます。たとえ我々の動機は遅くなろうとも、ドローンの進化に驚きを隠せません。自分の成長はドローンの進化には遠く及びませんが、日々精進しています。例え自分が成長しなくとも、相棒である優秀なドローンを使用できれば百人力です。今回は、「空☆ひろし」の相棒との最新ケーススタディーをお伝えしましょう。
木曽路で実践!DJI Terraで解析
さて、来年8月10日に市制施行八十周年を迎える長野県諏訪市。市のシンボルでもある高島城の撮影をスカイシープロジェクト合同会社様に協力させていただく事になり、今回共同でMatrice 300 RTKとZenmuse P1の機材で撮影を行いDJI Terraで解析をした、3Dマッピングデーターを諏訪市に提供をいたしました。
立体的な3Dマッピングを実施するにあたり多方向から撮影する必要があります。検証もかねて、撮影は2パターンで実施。Zenmuse P1の特徴でもある「オブリーク」撮影と「傾斜モード(真下、横方向4ルート、合計5ルートを自動航行を行う)」を自動航行で行い、加えて真横からのマニュアル操作で撮影を行いました。
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DJI Terraで3Dマッピングの解析においては、本来上空からでは取得できない、真横からの撮影を加える事で、高島城の屋根裏面や奥まった場所もしっかり取得し、クオリティの高い3Dマッピングが実現。今回はそのポイントを紹介します。
自動航行の2パータンの撮影方法と設定
■傾斜モード撮影
撮影エリアと詳細設定で、5パターンの飛行ルートが自動設定されます。各飛行ルートの番号を押す事で、飛行ルートが確認できます。真下撮影以外は、設定された斜め方向から被写体を撮影するため、被写体からかなり離れた位置を飛行する形になり、当然各飛行ルートごとに、安全に飛行できるかなど確認する必要があります。
一気に5つの飛行ルートも実施可能ですが、朝方の撮影の場合、朝日が強く、朝日が当たっている部分と当たっていない部分の差が激しくでてしまいます。マッピングされた成果物に、影や暗くなるなど露出に注意が必要になります。
そこで最適な方法は、各方角からのパターンを選択して、分けて飛行が可能なため、まとめて5ルート撮影させるのではなく、被写体に太陽光が当たる時間帯に合わせて飛行させる方法です。時間に余裕がある場合などは、ある程度太陽光の当たる面に合わせて飛行させる事で、明暗の差が少なく撮影も最適と言えます。
今回は時間も限られていたため、まとめて5ルートを飛行させました。
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■スマートオブリークキャプチャーモードでの撮影
本来、傾斜モードで横方向からの5ルートでの撮影が必要ですが、飛行ルートこそ1ルートで、残り4ルートを飛行しない代わりに、真下、左右、前後の必要な角度にジンバルが、最大5パターン自動的に動き撮影を行うモードです。
大きな違いは「傾斜モード」に比べて一回り小さな飛行ルートで済むため、飛行エリアが限られている場合に最適な点と複数のルートを確認する必要がありません。確認作業が簡単で、効率的に一気に撮影が可能なので、時間が経過してしまうと動きがある様な被写体がある場合に最適です。
「傾斜モード」で5ルートで合計約74分掛かる撮影が、オブリークの場合は約39分で撮影ができ、非常に効率的に撮影が可能です。
実際の撮影
依頼は、諏訪市からですが事前に警察、近隣住民の方々へ調整を行い、許可を得ていきます。しかしながら、日中は桜のシーズンで多く来場者がお城に来られます。規制の影響を考えて、今回の撮影は、二日間に分けて早朝に行いました。
高島城が高さが約22メートルで、周囲の建物などの高さを考えて今回は高度40メートルで設定を行い、上記の2パータンの撮影モードとマニュアル操作で低い高度で壁面の撮影を実施しました。
Matrice 300の基本性能が改めてすごいと感心しました。大型機にも関わらず、飛行音が静かで早朝7時からの飛行にも関わらず、ほぼドローンが飛行している事に気が付かない静音性の高さです(個人の感想です)。
長時間可能ですが、今回のまた広い面積の撮影となります。自動航行の途中でもバッテリーの交換は不可欠でしたが、電源を切らずにバッテリー交換可能な「ホットスワップ」機能は改めて便利だと感じました。
理由としては交換の早さも上げられますが、機体の電源を再起動した際に、カメラがリセットされISOなどカメラの詳細設定が変わってしまう事があり気が付かずに撮影してしまうと、交換後にフライトがダメになってしまう事があり注意が必要です。しかし、電源を落とさずに交換できるため、基本的には設定を見直す必要がなく、交換後すぐに離陸させる事が可能です。
マニュアルモードでの撮影について
40分程度で自動航行での撮影が終わり、マニュアル操作で壁面を横方向からの機体の移動とジンバルの角度を変え、自動航行撮影の過不足分、奥まった場所や屋根の裏側など、予想される箇所をマニュアル操作で追加撮影を行いました。立面飛行ミッションで飛行させる事も考えましたが、実際現場をみると電柱や電線や枝など複雑で、マニュアルでの撮影が適していると判断したからです。
自動航行の場合、最大でも45度程度の横方向から撮影となるため、当然奥まった場所や、屋根の裏側などは画像が無いため、当然「溶ける」現象が起きてしまい、自動航行の画像を合わせて解析かける事でしっかりと3D化する事ができます。ポイントはラップ率を多めに考え撮影する事です。大は小を兼ねるではないですが、処理やデーターは重くなりますが、備えあればハイクオリティです。
DJI Terra解析
DJI Terraでの解析は、一言で言うと簡単で、データ取得後、出力座標系等の設定を行い解析ボタンを押すだけです。パソコンのスペック等によって解析時間が変わりますが、後は待つだけでOKです。
今回は自動航行の「傾斜モード」で撮影した2485枚の写真の解析をしたパターンとマニュアル操作で撮影した壁面795枚を追加した2パターンで解析を掛けました。ベースとなる、「傾斜モード」撮影した3Dマッピングした画像が非常に綺麗に生成されており、鯱や石垣など本物か?と見間違うほどよくできています。
これはZenmuse P1が4500万画素あり、高度40mでも十分が画質が保たれています。ただ当然ですが、屋根の裏側など奥まった場所は、画像が無いため、溶けてしまっており、非常に惜しい状態です。これにマニュアルモードで撮影したデーターを追加して、一緒に解析を行いました。
解析結果はほぼ完ぺきで、屋根のせり出した裏側や奥まった場所がしっかりと生成されており、非常によい3Dデータの成果が得る事ができました。
DJI Terraは生成にされた3Dデーターをもとに、測定したい距離や、面積などポイントを置くだけで、瞬時に数字として表示されかなり精度が高いです。また見たい箇所をタップするだけで、生成に使用した高画質な生の写真が表示されるため、点検使用する事が可能です。
マッピングをしないと膨大な写真から見たい場所を探さす必要がありますが、マッピングされた見たい箇所をタップするのみなので、非常に直感的で効率的です。本来足場など組んで測定する場所や点検も、今回の手順を踏むことで、短時間に効率的におこなう事ができます。
MATRICE 300 RTK in高島城プロモーション動画
まとめ
今回自動航行の映像に、マニュアルで奥まった場所や、より高精細に生成したい場所を重点的に撮影する事でDJI Terraでしっかりと生成される事が改めてわかり、今後のDJI Terraの活用の幅も大いに広がりました。DJI DJI Terraは一か月間無料で使用できるので、ぜひ一度使用してみてください。今回ご協力していただきました、諏訪市とスカイシープロジェクト様にこの場を借りてお礼申し上げます。これからもひろしにおまかせです。