グーグルが昨年10月に特許申請をした「Automated Package Delivery To A Delivery Receptacle(配達レセプタクルを使った自動化小包配達)」の許可が、2016年1月26日にアメリカ特許商標庁から下りた。この特許内容には、空路を利用した配達デバイス(=ドローン)で安全な場所まで配達する方法が説明されており、Googleが2017年までに商用化する予定の配達用ドローンプロジェクト「Project Wing(プロジェクトウィング)」と紐づける内容となっている。
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書面では「正確で信頼性の高い小包配達」と説明されており、Amazonが動画でも紹介している「Amazon Prime Air」サービスの配達システムのようなドア・ツー・ドアとは異なり、安全なハブとなる場所までをドローンが配達する、というものになっている。
配達容器を含んだロボットとも解釈できる“mobile delivery receptacle(移動型配達レセプタクル)”は、光ビーコンを利用して空中のドローンと通信し、配達までを誘導するという。レセプタクル自身の詳細は書類には説明されていないが、コンピューティング能力を搭載した車輪を持った箱型が設計されており、これによりドローン輸送に加えてグラウンドを移動することが予測される。
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まずドローンが荷物を搭載して、割り当てられた配達場所まで飛行する。ドローンが通信範囲内に入ると、配達レセプタクルが光ビーコンで通信を開始し、誘導を始める。ドローンは、荷物の受け渡しが可能になる位置まで到達すると、荷物をレセプタクルへ移し替える。荷物の受取人は荷物が到着した通知を受け取った後、その受け取り場所に行って荷物をピックアップするか、指定した場所まで運んでもらうか、選択する。
この配達方法であれば、ドローンが配達目的地で下降していく際に、そばにいるペットや子供に回転翼で怪我をさせる恐れがない。また配達目的地に電力線や危険な障害物がある場合や、ドローンが入れない国有・私有財産である場合も、未然に防ぐことができる。ただ、今回の特許申請認可の書類上では、受取人が荷物をボックスから取り出す方法や、荷物到着通知後から荷物を保管する期間については説明がなされていない。
プロジェクトウィングについては2014年にグーグルがYouTubeビデオで内容を明らかにして以来、何度かのフィールドテストが行われている。YouTubeでは、米国でドローン飛行の許可が得られていない関係、オーストラリアで飛行テストをした模様を映し出していたが、その後、米国内でもNASA AMESリサーチセンター内で飛行テスト等を実施している。
(山下香欧)