ビジネスから社会貢献までドローンの活用が拡がりをみせるなか、カナダを拠点とするスタートアップのFlash Forestは、ドローンを使って10億本の木を植える活動をスタートさせ、大きな注目を集めています。
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ドローンを用いて植栽を自動化する
Flash Forestの活動を紹介する動画
2019年の初めに設立されたFlash Forestは、2人のスペシャリストを中心とする小さなグループで活動をスタートしました。CEOでファウンダーのBryce Jones氏は生態学の博士号を持つメカトロニクスエンジニアのスペシャリストで、もともと林業の業界で働いていました。
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そこでわかったのは、地球上から毎年130億本の樹木が失われているのに回復しているのはその半分未満という状況で、改善するための新しい手段がほとんど見つかっていないということでした。そこでFlash Forestを立ち上げ、これまでシャベルと人の手で行ってきた植栽を、植生調査に使用していたドローンを用いて完全に自動化することに取り組み始めました。
カナダのFlash Forestはドローン植樹の活動を世界で行っているスタートアップ
気候変動をテーマにした国際パネルによると、2018年に人間から放出された二酸化炭素量は340億トンにものぼるとのことですが、これに対して1本の木は平均して約40ポンド(約18kg)の二酸化炭素を吸収してくれます。コストも安さからも植樹による二酸化炭素量の削減は最も効果的であり、Flash Forestの計画では1ヘクタールあたり平均2000本の植栽が可能だとしています。ゴールに掲げているのは2028年までに10億本の木を植えること。そのために1日に10万本の木を植えようとしています。
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ドローン植樹向けに開発された種子ポッド
Flash Forestには空中マッピングシステム、空圧システム、オートメーション技術、生態学など幅広い分野の知識を持つスタッフが集まっています。たとえば、植栽に使用する種子ポッドをオリジナルで開発していて、あめ玉ぐらいのサイズの生分解性カプセルに入った種子は、ドローンの下にあるタンクから指定された場所に落とせるようにしています。もし水が少ない場所であってもある程度湿度が保たれ、しばらくは生きられるように設計されています。
ドローンを使うことで植樹効率を大幅にアップするだけでなく、適切な植生を復元できる
ドローンを使って植樹を無人化するというのではなく、地域にあわせた木の選択や植樹の進め方、さらにそれらにあわせたドローン運用技術が用いられていて、場所によってはエアガンのような道具を使って地中深くに種子ポッドを植えるようにしています。現在、活動に使用しているドローンは、オペレータ1人あたり1日で最大10万個の種子ポッドを植樹することができるそうです。
活動としては2019年8月に手動での植樹テストを成功させ、2ヶ月後にドローンによる自動植樹テストを行い、3分で165本を植栽することに成功しています。さらにカナダのブリティッシュコロンビア州やオンタリオ州で運用を検証したあと、次にハワイでの植樹を予定しています。さらにその後は、大規模な火災があったオーストラリアやコロンピア、マレーシアなどでの活動が予定されています。もしかしたら日本のどこかでもFlash Forestの活動が行われるようになるかもしれませんね。